君のことが












<Triangle 番外編>








今日は8月31日。

そう、俺の誕生日。と同時に幼馴染のミクの誕生日。
毎年、この日は2人で一緒に過ごしてきた。



全くミクのやつは今日が何の日かも忘れてるし・・・。
このごろ上の空の事が多いし・・・。ミク、大丈夫かな・・・。



俺がちょっとでもミクの力になれたらな・・・。
ダメだ、ダメだ。ちょっと・・・なんて。今から告白しにいくっていうのに・・・!!!
こんな弱腰じゃ・・・!!



「ふー」と息を吐く。
一生でこんなに緊張したことはあんまりないってぐらい緊張してる。



そっとベランダに出た。



「ミク。」

「え?」


ちょ、直視されてる!!まっすぐにミクを見られない。というか喋る事さえやっと。


「クオ、どうしたの?」

「え?いや、別に。」

「・・・部活は?」

「休んできた。」

「・・・なんで?」

「・・・お前わかんないの。」

「クオの思ってることを読み取るなんて超能力あるわけないでしょ?」

「そうだけど・・。」


ああ、もうじれったい。どうしてミクの前じゃ自分の気持ちを素直に伝えられないんだろう。

ミクはグラウンドの方へ目を向けてしまった。
はやく・・・。言わないと・・!!

「ミク。」

「ん、今度はなに?ミクオさん?」

「な、なんだよそれ。・・・お前、今日が何の日か・・ホントに知らない?」

「今日・・?なんかの記念日?」

「・・・ったく。」


やっぱり忘れてる。
それが・・・もどかしくて。俺の気持ちに、はやく気づいて欲しくて。
ついつい、イライラしてしまう。
こういう自分がうざくて。


「あーーーー!!」

「ふぇ!?」

「ホントにバカなやつっ!!」

「な、何なの!?いきなり来てキレだしてっ!私は、クオの八つ当たり道具なんかじゃな・・・」


はやく・・はやく気づけよっ!!!


「・・・え、何コレ。」

「・・・誕生日なのに、来てみたら不機嫌そうな顔しやがって・・。」

「・・・あ・・。」

「クオ、これ・・・。」

ミクが我にかえったように言う。

「そうだよ。」





毎年のことなのに・・・。今年は、この一言を言うのが精いっぱい。






「ミク、誕生日おめでとう。」



「あ、ありがとう・・。」

「いっつもはさ、ミクが俺のとこに来て、プレゼントねだってきたのにさ、今日は俺んとこ来ない
し・・。なんか慣れてなくて渡すタイミングがつかめなかったっていうかなんていうか・・うん、まああ
そういうことだよ!!」

「不器用な伝え方ww」

「悪かったなっ!!・・・で、なんだ、その不機嫌の理由っていうのは。」

「あー・・。えっと・・失恋しちゃって、なんかつまんなくなっちゃったなーみたいな。アハハ。」

「ミク好きな人いたの・・?」

「今は好きじゃないけどね。彼女できたし。」


うそだ・・・。うそだうそだ!!
ミクに好きなやつがいるなんて気づきもしなかった。
なんてバカなんだ俺ってやつは!!!

でもミクの最後の言葉を聞いて安心した。


『今は好きじゃないけどね。彼女できたし。』


それ・・・って・・・。俺にも望みがあるということだ・・。




「ふふっ・・・。あはは!」

「いきなり笑うなよっ!!」

「ふふっ、ご、ゴメンッww」




「すーはー・・・。」
大丈夫、大丈夫。俺ならできる!!




「・・・・・失恋した奴の穴埋めでもいいからさ・・俺と・・付き合うってだめ・・かな。」

「・・・え・・・?」

「率直に言うと、俺は、ミクのことが、好き。だ。」


ミクの口がぽかーっとあいている。
そりゃそうだろ。幼馴染が恋におちるなんてどこの少女漫画だって感じだもんな。

「そろそろ、幼馴染から恋人に格上げなんて・・ね。」

「・・・・!!」

「どう・・かな。」

「そんな・・私、軽くないし・・。」

ミクが口をもごもごさせている。

だ・・・よな・・・・。
やっぱり・・・・。

「そ、そういえば、クオのプレゼントって何だろう!?」

わざと明るい声でミクが言う。
その瞬間ミクが持っている箱がおちそうになった。


「「あっ」」


2人同時に箱を取ろうとした時、ミクの手が俺の手と触れる。


「ひゃっ」


またまた同時に手を引っ込める。
からからから・・・。
結局箱は落ちてしまった。


「ご、ごめん。」

「い、いいの。別に・・。」


やっぱりこんなぎくしゃくした関係までなのかな・・・。


「あ・・・。」


「ミクに似合いそうだったから。すっげー安いけど・・。こんなんで、ゴメン。」

「ううん・・すごく嬉しい。」



ミクが喜んでくれた・・・。よかった。


唐突にミクが話しかけてきた。
「告白の返事なんだけど・・。」

「・・・まだ分かんない。」

「そっか。変なこと言ってゴメン!!」


俺は恥ずかしくて、悲しくて少し泣きそうになって・・・。
後ろをむいて歩いて行った。

「じゃ、じゃあっ!!!!仮恋人っていうのは・・ど、どうかなっ!?」

「か・・仮恋人?」

なにを言っているのか分からなかった。

「く、クオと一回、仮に付き合ってから、私がホントに付き合うか決める。これで・・いいでしょ?」

「う・・うん!」


うそだ・・・。こんな大逆転ってあり?
すごく嬉しい。心の底からぽかぽかしたものが感じられた。




「お、俺!が、頑張るからっ!!/////」
「う、うんっ!!」



その時鏡音とレンが入ってきた。


「ミクー!!お待たせーーっ!!って、あれっ?!初音君だよね?どうしたの?」

「あ、えーと・・俺は・・。」
ッこういう時ってなんて答えれば・・・。

「クオ・・もしかして、初音のこと好きだったのか?」

「れ、レン!」
うおおおおお!!レンんんんn!!!!

「えー、これから私の家でミクの誕生日パーティしようとしてたのにっ!ぬけがけしちゃうなんてーっ」

「リン、そんなんじゃないってばっ!!仮恋人だもんっ!!」
ミクが顔を赤らめて言う。

「じゃあ、リン。とりあえず、クオもリンの家に呼んだら?」

「おk、こうなったら、仮恋人からホントの恋人にさせるんだからっ!」

「落ち着けリンとレン!!」

「ふ、ふたりともーっ!」






俺達は鏡音とレンに背中を押されながら教室を出る。

俺とミクは顔を見合わせると、ぷっと吹き出した。





こっからがホントの恋だと信じて・・・。







8.31 Mikuo's Birthday!!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Triangle 番外編

どうも!!
皆さんより少し遅れましたが☆←
クオ君もミクもおめでとうです!!
またまたMAMIとコラボさせていただきました♪↓
http://piapro.jp/mami0903
コラボしてくれてありがとう!!
ぜひぜひ、MAMIのミク視点と合わせてお楽しみあれ!!

閲覧数:310

投稿日:2011/08/31 13:01:57

文字数:2,783文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 目白皐月

    目白皐月

    ご意見・ご感想

    初めまして、目白皐月です。
    MAMIさんのところから流れて来ました。

    クオの反応のひとつひとつが可愛いです。
    間近にいる幼馴染の、他者に向けた恋心に気づかない鈍さも可愛いです。

    仮恋人……ということで、この後はもうプッシュプッシュですね。そうすれば後はもう……。

    2011/09/01 01:05:51

    • あきのき

      あきのき

      初めまして!!
      返信遅れてすみませんっ!
      クオ君は可愛いですよね?^^

      仮恋人なんて一押しすればそれはもう・・・^q^←
      コメありがとうございました!!

      2011/09/03 14:27:10

  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    読みました! ミクとリンとレン、合計3人の話だったこのシリーズに、今まで出てきてなかったクオの物語が入ってきて、新鮮な、まさに番外編という感じの良い面白さがありました。終わり方、良いですね。こういう終わり方好きです! 執筆乙です!

    2011/08/31 18:03:39

    • あきのき

      あきのき

      おおお!読んでいただけて嬉しいですww
      クオ君は地味にミクの事を思ってたんですね、分かりまs←
      番外編は書いてる方も新鮮でおもしろかったです!!

      終わり方気にいっていただけて嬉しいですww
      コメありがとうございました☆ミ

      2011/09/02 21:28:21

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