これは、少年少女が、立ち向かうお話。

その、ほんの始まり―――



【目を逸らす話】



…つまらない。つまらないつまらないつまらない。

答えが分かる問題しか存在しないこの世界は、なんてまらないんだ。

「また満点なんだねー」

隣の席の君は、そう言って笑う。

「…そーゆーアヤノは、また50点か?」

「なっ!?違うよぉーだっ!」

頬を膨らまして拗ねる君は、なんて可愛いんだろう。

くるくると表情を変えて、僕を楽しませてくれる君。

―キーンコーンカーンコーン

「…ばいばい、シンタロー。」

「ん。また、明日な。」

チャイムが終業時間を告げて、僕らは別々に席を立ち、教室を出た。



次の日、君は学校を休んだ。

珍しいなと思いながら、担任の話を聞き流す。

「こないだの小テスト、明日返すからなー。」

…アヤノ、明日は来るのかな。

また僕の100点を見て、自分の点数を笑うのかな。

…そうに違いない。

だって君は、そういう無邪気な奴だから。

―――ごめんアヤノ。僕は君を、全く理解してなかったんだね。



終業のチャイムを聞いてから家に帰る。

いつも通りの空が憎くて、顔を歪めた。

「…さみー。」

小走りで家に入ると、テレビのニュース音に気付いた。

そのままリビングへ向かう。

「母さん?ただい『亡くなった方は17歳、高校2年生でした。』

その瞬間、目に映るのは、君。

紅いマフラーが印象的な、君の写真。

テレビの中のニュースキャスターは、悲しそうな声で続けた。

『警察は今のところ、自殺と判断しているようですが、詳しいことはまだ何も分かっていません。…次のニュー』

―プツン

突然テレビ画面が真っ黒になって、一瞬、君の顔が映った気がしたんだ。



―――嗚呼、やっぱりこの世界はツマラナイ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

カゲロウプロジェクト Ⅰ

透明アンサー 編

**

シンタローはただ、アヤノが好きだったんだ

彼のツマラナイ世界を楽しくする、唯一の人間だった、彼女だから―――

**

自然の敵P様、1stアルバム・1stシングル、発売おめでとうございます('∀'●)

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投稿日:2012/09/30 11:41:28

文字数:778文字

カテゴリ:小説

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