二人が応えたのを聞いて、カイトが慌てたように言う。
「ふ、二人とも!」
「私たちが行かなきゃダメなんでしょ」
「なら、いかなきゃあ」
「さっき、二人も言ってたよね」
「『売られた喧嘩は、倍額でも買ってやる』って」
「それ、私たちも使っていいかな」
「俺たちの場合、三倍だろうが四倍だろうが、いくらだって買ってあげるよ」
「不戦敗なんて格好悪いからね」
 そう言って、二人は無邪気に笑った。まるで楽しい話をしているときのように、今、優勝したとでも言うように、屈託のない笑顔で。
「で、でも…」
 何か反論しようと前のめりになるカイトを止めたのは、メイコとルカだった。
「いいじゃない。二人にしかできないのなら」
「今、この場を救えるのは二人だけですわ。なら、若い力に任せてみるのも、悪くはありません」
 そういってから、メイコがリンとレンに手を伸ばし、優しい笑顔で言う。
「貴方達ならできるわ。私の弟と妹ですもの」
 すると、今度はルカが二人を見向きもせずにつんと澄ました表情で、しかし二人を送り出すように、言った。
「思いっきり、やってらっしゃい。信じた道なら、きっと正しいところに出るわ」
「――うんッ」
 二人は元気よく頷いた。

 ――指定された場所は、ドームのネットワークの先の先にある、小さな研究室の中と言うことだった。
もし、二人以外の誰か一人でも来た時点で、ウイルスに感染しているものたちは全員データを消去する。つまりは脅迫だが、二人は怖気づくことなく指定された場所に向かっていた。
ボーカロイドは電子系のデータなわけであるから、ネットワークに入り込むこともそう難しいことではない。そう、勿論リンとレンもである。そして、相手方も。恐らく、相手もボーカロイド。それに間違いはないだろうが、何故こんなことをするのか、それがどうしても分からない。
どうして、何故、何のためにそんなことをするのか?
 そして、何故、リンとレンを対象として選んだのか、である。こちらと何の接点もないはずの相手が。何故、リンとレンのことを知っていて、何故、二人のことを【ACT2】などと呼ぶのか。
 分からないまま、二人は一つの扉をノックしていた。
 その手をぐっと握り合いながら、リンとレンは息を押し殺すようにしながら、直立不動の姿勢で。ドアの向こうから、
「入って」
 少年らしき声。
 ドアを開いて中に入ると、そこには笑顔の可愛らしい少年と少女。
 綺麗に整えた金髪を白いヘアピンで留め、ショートヘアーに純白のリボンをつけた少女と、ボサボサと跳ねた前髪と小さくまとめた、やはりキレイな金髪の少年。どちらも美しい緑の瞳。
 その姿はまさしく――。
「俺…っ?!」
「私…っ?!」
 絶句したまま動けなくなった二人を愉快そうに眺め、ヒスイのような透き通った目をした二人組はいう。
「はは、ようこそ、【ACT2】」
 両手を大きく広げて万円の笑みで迎え入れた少年。
「よく来たね、歓迎するよ」
 少し少年っぽい口調でいう少女も笑顔が眩しい。
「お茶でも飲む?」
「紅茶の方がいいかな」
「そ、それよりっ」
 嬉しそうに話し始める二人をさえぎったのは、レンだった。
「あんたら…何者?」
「私たちは、鏡音リンと、こっちは弟のれ…」
「いい、いい。知ってるもん」
 少女の方が困ったように笑った。
「私たちは…そうだね。君たちが【ACT2】なんだし、【ACT1】とでも名乗っておこうか」
 【ACT1】…妙なことを言う。
 ただ、ここで相手の機嫌を損ねるわけには行かない。
「そ、それじゃあ、【ACT1】。私たちはどうすればいいの?どうすればウイルスを――」
 さっさと本題に入ったのはリン。
「ウイルス――何のことかな」
「え?」
「ああ、さっきのね。機械から音が出たでしょ」
「う、うん…」
「アレね、時間が来るといっせいに音が鳴る仕組みの、録音テープなんだぁ」
「えぇっ」
「一応聞いてたら、思ったとおりあんなことを言い出す輩がいてちょっと焦ったけど」
「あの機械にはウイルスなんか入ってない。かわりにプログラムを一時的に停止させる程度の機能はついてるけどね。今回はそれを使ったって訳。あと一分もしたら目を覚ますよ。あのオバサンも。勿論、無傷でね」
 見事に泳がされた。
 この二人は、一体何を考えているのか。そこまでして、リンとレンを呼び出さなければいけないように理由が、二人には見つからない。
「それじゃあ、何で…」
「君達に会いたかったんだ」
「始めまして」
「僕」
「私」
 そっと手を差し出し、笑う。
「君達を待っていた」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

今日も双子日和 17

こんばんは、リオンです。
眠いですね。…ね。
いえ、同意を求めたりなんてしてないですよ?
無理やり同意を求めたりなんてしていないですよ?ねぇ?
…いえ、眠いので、皆さんにも同意してもらいたかったんです。
無念…ッ
…いいですよ。もういいです。…冬眠してやるんだからぁっ!!(何
誰か炬燵PLEASE!! 誰か PLEASE THE KOTATSU!!
…英語、できる限り使ってみました。…合っていない気がしてならない。
誰か答えあわせして下さい。
それでは、今日はこの辺で。
また明日!

閲覧数:252

投稿日:2010/01/12 23:06:26

文字数:1,912文字

カテゴリ:小説

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