わたしのきらいなおはなし


『ろみおと××××××』


さいごはばっどえんどなの
そんなのいやなの
さいごははっぴーえんどじゃないと


ね?










































「パパ,ママ,おやすみ」


私は両親に就寝の挨拶を告げる


「おやすみアリス」


父さんの生気の無い声
死んでるんじゃないの?



「おやすみなさいアリス」


母さんの声もまるで死人みたい
はは
老いって怖いねぇ


「おやすみなさい」

《せいぜい良い夢をみることね》


そう言って私は自室へとゆっくり歩いていく

さぁ
ワンダーランドでは今日はどんな物語が繰り広げられるのかしら?







これから始まるのは私だけの時間
大人は立入厳禁よ?

大人はもう寝る時間だから
これから始まるのはアリスの時間だから



ふふ
ワンダーランドに迷い込んだなんて嘘
自分から行ったくせにね











【キャラメル】


数少ない,私がこっちの世界の食べ物で好きなものの一つよ
とっても甘いの

ヘンゼルと△△△△△がたどり着いたお菓子の家には負けちゃうけどね



あぁ
ヘンゼルと△△△△△かぁ……
いいなぁ

お菓子をいっぱい食べれるのもそうだし,一番はアレね



魔女とばいばいしたときよ
あのとき,悪いことしたお母さんも一緒にいなくなるでしょ?


いいわよねぇ
憧れちゃう






ねぇ
ヘンゼル
私のお話,聞いてくれない?


ほら
私のこと好きにしていいからさ

あなたなら,構わないわ
ちょっと恥ずかしいけど


私をお菓子の家だと思って!

ほら
食べたいだけ食べればいいよ?








〔今宵は私が開いた舞踏会へ,ようこそお集まりいただきました
 今夜はドコまでイけるのか皆で確かめていきましょう!!〕















えー
それはヤだなー
噛みつくなんて,痛いじゃない

それなら,もっと優しくしてほしい


そっちのほうが私は好き







苦いものってイヤなのよ
きっと,こっちの世界で甘いものばかり食べたせいね

【ママ】っていうのがね,作ってくれるんだけどね,結構おいしいのよ
でも,コレには負けちゃう


コレは甘いだけじゃないの
コレはね,甘くて嬉しくって優しくって……



ちょっと苦い









うーん
よく分かんないなぁ……


ねぇ,王子様
教えてよ!

コレがきっと【こうきしん】っていうやつだよ?


王子様はコレを探しに森の奥まで来たんでしょ?


だったらさ
ほら
探し物は見つかったでしょ?


ねーねー
早く教えてよぉ








王子様
あなたは今,カエルです
でも王子様です!

私がその魔法を解いてあげましょう
そのとき,あなたの全てを私が見てあげましょう



え?
だいしょう?

うーんとねぇ
じゃあ,コレなんかどぉう?


特別にあなたにだけ見せてあげる
私のね……
















私は今,○○○○○
綺麗なドレスを着て,階段を駆け下りてるの
もうすぐ時間!
急がなくっちゃ!!


あ,ごめん
間違えちゃった



私が今着てるのは,ドレスじゃない

普段こっちの世界で着てる制服
とっても窮屈な服
私はこの服が嫌い


みーんなこの服なんだよ?
そんなのつまんない!!








ねぇ
魔女さん

あなたは私に魔法をかけてくれたじゃない?
その魔法をもう一度お願いしていいかしら?


でも,かける相手は私じゃないわ


【時間】




私の手じゃどうしても止められないの……

だから,魔女さん
お願い






理由?


だってね
悪い人が邪魔してくるのよ?

私はその悪い人のせいで,こっちの世界に来ちゃったの
こっちの世界にいるその悪い人は,私にいっぱい命令してくるの


この前は,私のお友達を壊したのよ!?
どう思う!?
最低なことだと思わない!!??


もう,あの人は大っ嫌い
ばいばいなのよ










『一緒に逃げよう××××××』


えぇ
私も一緒に逃げたいわ
でもね,この呪いが解けない限り,私は独りこっちの世界




だから,王子様

ううん
私のロミオ


私にかけられた,この呪いを解いてちょうだい?




『分かったよ××××××』


む?
むむむぅ??

ダメだよ?
その名前はダメな名前



貴方だって,知ってるでしょ?
その名前のヒトは結ばれない


ばいばいのヒト




だから,私,その名前が嫌いなのよ


だからさ
その名前で呼ばないで?



確かに,その名前は私と貴方はその関係
だけど,その名前じゃヤなの

そうね……





【○○○○○】なんて良いんじゃないの?


そうね
コレがいいわ!


コレなら,最後二人はハッピーエンド
幸せになって終わるの

周りのヒト?
そんなもの,知らないわよ


私と貴方
その二人が幸せなら,周りなんてどうでもいいでしょ?



でも,嬉しい!

これで,ロミオと○○○○○は幸せだね!
楽しいね!!





ねぇ,私と生きてくれるわよね?

























今日は,ながーいマスカラをつけてみたの

どぉう?
可愛い??


ちょっと背伸びをしてみましたぁ
へへ



良い子になりますよぉ?
でも,明日からね
今日は,私もワルいコなのだぁ



……きっと










母さん
今だけ私をお赦し下さい



あ,間違えちゃった



神様
今だけ私をお赦し下さい






こうだね
【母さん】だなんて……


腐っちゃうね




















今日のお洋服はね,黒いふりふり
レースがいっぱいなの

この境界線,越えたらどうなるんだろう……?
楽しいことなのかな!?





ねぇねぇ
ロミオは知ってる?

ねぇえ
知ってるんでしょぉ?


もったいぶらずに,教えてよ



ねぇ










「駄目です」って言っていっつも私を縛り付ける人は今日はいないの
お仕事なんだって

だからね
今この空間を邪魔する悪い人はいない



ねぇ
いつもじゃできないこと,しよ?













えー
噛みつくのぉ?

痛いのはあんまり好きじゃないんだよ?
だけど,今日は特別
貴方のためなんだからね?




あ,
そうだぁ

噛みついていいよ
うん
いっぱい噛みついて


その代わりね,私のこと好きになってね?
もっともっと好きになっていってね?







ねぇ
そうでしょ?


私に噛みついてるんだから,貴方が好きになっていってるのは私




違う?
あれれ?




私は貴方が大好き

でもね,こっちの世界にいる『パパ』
悪い人の一人なんだけどね
貴方のことが嫌いなんだって


酷いよね




何でなのかなぁ?































「こんなもの,まだ好きなのか!?
 こんな歳にもなって,恥ずかしくないのか!!??」



【パパ】は普段,穏やかに喋らない
私と喋るときは特にそう

怒鳴るか,喚き散らすか……


そんなこと,美しくないのに
































「さぁ」


って貴方は手を差し伸べてくれる


嬉しいな
……でも,ちょっと複雑




貴方が握ってるのは,ガラスの靴じゃない


首輪






それってどういう風に使うの?
私にはよく分かんないなぁ







「さぁ,一緒に逃げよう」


うん!


一緒に逃げちゃおう
いっぱいいっぱい遠くに行こうね

きっと私は叱られちゃう
だけど,そんなことどうでもいいの!


だって,貴方と一緒にいられるんでしょ?











遠くで鐘が鳴り響いてる

○○○○○は12時になったら,急いでお城から帰らなくちゃいけないの
魔法が解けちゃう
そしたら,貴方にも本当の私の姿が見られちゃう


そんなの嫌





だからね,帰らなくちゃいけない

ほら
ちゃんと,私がここに来た証を置いていくから


ガラスの靴



片方しか置いていけなかったけど大丈夫
貴方なら,もう片方も見つけ出してくれると信じてるから



だから,早く見つけてね?
一番じゃなきゃダメよ?

……悪い夢に焦らされちゃうわよ?






きっと,あの子もそうだったのよ
○○○○○もそうだったのよ


【落とした】だなんて嘘
ウソなのよ




貴方は気づいてないでしょうね
でもね,女の子なら誰でもイタズラしたくなるものなの


分かってちょうだいね?







だから,私もそうなの
私,ワルいコになっちゃってる?


でもね
私,もっと愛されたいの








!

【愛されたい】だなんて……
私,こっちの世界の住人みたい










ほら,私はここにいる
貴方のすぐそば


近くて遠い





なぁに,それ?
私,そんなもの知らないよ?
































《私のココロ
 貴方に差し出しましょう》


いいえ


差し出されたココロじゃ,真実は見抜けない
奥の奥までは見切れない


だから


《そっと,私に気付かれないように覗いてみてください
 そうしたら,真実が見える筈です》


《どうでした?》


《欲しいものだけ溢れ返っていましたか……
 残念です》


《しかし》


《それが,貴方の愛した私の本当の姿
 真実のアリスなのです》


まだまだ


《面白いことを云うヒトですね
 でもそうですね,まだまだ入りそうです》


もっともっと


《ぎゅっと詰め込んで,どうしてくれましょう?
 いっそ貴方の居場所までもこの    で埋め尽くしてしまいましょうか?》


はい


《分かりました
 埋め尽くして,埋め尽くして,貴方の居場所は何処に行くことでしょう》


でも……


《ええ
 そうですね》


それじゃあねぇ……


《はい
 その通りです》







《《それじゃあ,意味がないの》》



































大きな箱より,小さな箱のほうが幸せはいっぱい入ってるんだって

不思議だね
大きいほうがいっぱいなんじゃないの?


雀さんは答えてくれない







でも,このままじゃ大変!

きっと,この法則が皆の中では普通なのよね
私,このままじゃ貴方に嫌われちゃうわ


私だったら,迷わず大きな箱をもらうもの……









でもね,知ってる?

私よりももーっと欲張りな人
【パパ】と【ママ】っていうんだけどね
毎日毎日,たくさんのものを持って帰ってくるの


今日だって変わらず,欲望に溺れていくの
可哀想だね









そうだよね
素直でいいんだよね










じゃあ,ずーっと私が黙ってたこと言ってあげる


実はね,落としたのは金の斧なの
普通の斧じゃないの
ぴかぴかの金の斧!


どうして?
どうして,女神様はそんな悲しい顔をするんですか?




私は素直になっただけだよ?












【嘘】
これって,いけないことなの?



嘘をつきすぎた,○○○○○は狼に食べられちゃったらしいの


あれ?
男の子だったけ?
おばあさんだったけ?



まぁ,いっか
きっと○○○○○だよ!








でも,どうしよう
このままじゃ,私も食べられちゃう
そんなの嫌


私は貴方と幸せになるんだから!!







王子様,お願いします

その前に
私が食べられちゃうその前に……


アリスをこのワンダーランドから助け出して下さい
















































目が覚める


嗚呼,朝日ね



昨日は楽しかった
いっぱい,お喋りできた






ふと,昨日の父さんの声を思い出す


















ねぇ,王子様
今日で18になるアリスからの質問です


私は,あなたの世界が大好きなの
でも,行くことは出来ない
分かってるのよ?

だから,せめて夢を見るだけ


これって,いけないことなんですか?










アリスは永遠に夢を見続けますよ?


貴方に逢える,その日まで

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ロミオとシンデレラ  ……夢見る女の子が出てきます ←かつて書いたことがあるような気がするのは己の気のせいなのかw…………

ここまで読んでくださった貴方
ありがとうございます!



えーと,ロミシンです
dorikoさんです
カラオケやDIVAで大活躍中ですねww!!


この曲では,2年ほど前に書かせていただいていたのですが,
それは過去のことでありまして……
新しく書き直しました!!

本当のことを言うといつの間にか,データーが消えてました!!
はい!
まぁ,昔のことですからねww


夢見る女の子がまた,出てきましたw





ちょっと,分かりにくかったと思うので解説させていただきますと……



『童話の中に恋した女の子』
これが中心となっております



ヘンゼルとグレーテルの『お母さんも一緒に消えた』というのは,
一般的に知られているヘンゼルとグレーテルではなく,
原作の方の話を少しお借りしました

『魔女が竈に放り込まれて,死んだとき母親も一緒に死んだ』
というようなことがWikiに書かれておりまして……
読みながら
「置き去りの月夜抄ぅぅぅぅ!!!」とか叫んでしまったのは,どこの誰のことかwww……



『シンデレラの,周りは幸せじゃない』(的な発言)っていうのは,
最終的に,シンデレラに意地悪したお姉さん達は青い鳥に目をつかれてしまいますので……


あとは,一般的な童話とか昔話を少し入れさせていただきました




長くなりましたが,ご意見・感想を書いていただけると誠に嬉しゅうございます
よろしくお願い致します

閲覧数:283

投稿日:2011/03/27 21:06:34

文字数:5,231文字

カテゴリ:小説

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