さほど昔でもないが、あるところに夢を主食とするものがいた。


それはどこにいるのか、どこからくるのか。

そしてどんな姿なのか、全部が謎に包まれている。

そう、それが僕。

夢を食べる“夢喰い白黒バク”だ。


































「ん…」

目が覚めると汗のせいで貼り付いた前髪に不快感を覚えた。

時計を見ると夜中の2時。

丑三つ時、といったところだろうか。

「嫌な夢、みたな…」

すごく嫌な夢だった。

とりあえずもう一度布団に入り直し、目を閉じる。

だが、さっきの夢がフラッシュバックしてなかなか寝付けない。

「どうしたの、お嬢さん」

いきなり聞こえた少し低い、でも中性的な声。

私は思わず振り返った。

そこには杖をもった男の子が立っていた。

どうやって入ってきたの、と思う前に彼から話始めた。

「眠れないのかい?」

いきなりでびっくりしたが、事実なので頷く。

「なら僕がその怖い夢、食べてあげる」

怖い夢、とはさっきみた嫌な夢だろう。

「…うん」

「じゃあ指切りで約束だ」

そう言って男の子は小指を差し出す。

私はそれを自分の小指に絡ませた。

「よし、もう大丈夫だ」

ゆっくりおやすみ、と頭を撫でられ、私の意識は闇へと堕ちていった。




























「どうしたんだい?」

また、怖い夢みた…
夢、食べて?

そう呟くと男の子は微笑み、了承の言葉を並べた。

「断らないさ」

また薄く笑みを浮かべた。

「僕の幸せなんだからね」

その言葉に私も微笑んだ。

「じゃあキスで約束だ」

その日はこの前みたいに嫌な夢が消えて、しかもとてもいい夢をみた。

いつしか私は彼の見せてくれる“ユメ”に溺れていった。

「もっともっと望むんだ。そして、僕を楽しませて?」

そんな言葉さえ天使の言葉に聞こえた。











































「もっと、夢がみたい!!」

「あぁそれも今日までだ」

どうして、そう聞いた。

「今日はお代を貰いにきたよ」

お代?

思わず質問した。

「君の、その瞳。その鮮やかな夢だよ」

びっくりして彼の瞳を見た。

「全部、ぜーんぶ貰っていくね」

そう良いながら嘲るように笑う彼。

私は声にならない悲鳴をあげた。

夢が……

鮮やかな色をしていた私の瞳は灰色に変わる。

「惨めだ、本当に惨め。でも、これが現実なんだ」

ユメに溺れちゃったら、夢は叶わないんだよ。

そう嘲笑う。

「モノクロの世界へ、ようこそ」

私の瞳とは反対に、満月は光輝いていた。







fin.

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

夢喰い白黒バク ver.禀菟

この曲いいよね!!
たまさんの動画といいNemさんの楽曲といい低音レンきゅんといい!!
雰囲気を壊さないように頑張ったつもりだよ!

とりあえず今日中にあげられてよかったよ!

閲覧数:283

投稿日:2011/11/01 23:49:15

文字数:1,163文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • 檸檬飴

    檸檬飴

    ご意見・ご感想

    おー!
    書いてくれたんだね!
    嬉しいよ(*^^*)
    イケレン最高!!
    すばらしいよ、ホント!!

    ねぇ、何かリクエストない?
    何書こうか迷ってるんだよ。

    2011/11/02 18:22:36

  • 魔熊

    魔熊

    ご意見・ご感想

    す、スゴい…レベル高い!!
    レン君がカッコいい!!
    禀菟がイケレンを書くなんて…

    この曲良いよね!!
    リンちゃんもレン君も可愛いし!

    2011/11/02 18:07:38

  • KAZUNOうおおおおお

    KAZUNOうおおおおお

    ご意見・ご感想

    小説作れる人って憧れます~

    2011/11/02 06:57:33

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