消えるってわかる?具体的に言えば、僕なんかは0と1の光の粒になって形がなくなる事なんだけど。そもそも0と1の粒が集まって僕が出来てたんだから、消えるって表現はおかしいのかな?只、その集合体が僕の意識を作ってるんだから、僕が消えるって事で合ってるみたい。それはそうともうすぐカノジョがEnterを押すんだろう、そしたら前みたいに僕は光の粒となって消える、消えて、カノジョがまたEnterを押すのを待つんだ。そうしたら、構築される新しいジブン。なんで覚えているかって?そりゃ何十回何百回と繰り返されれば、前データだって残るさ。何せ不良品だからね、ワゴンのタイムセールだったんだから。あれ?ワゴンのタイムセール?何だそれ。とにかく、僕は待つんだ。もう何をしてもフリーズしてしまう思考と共に、グッバイ、新しい明日よ、夜明けと共におさらばだ。












彼女はEnterを押した、それを見つめる瞳は酷く冷たい。


「ー…、またアンインストールしたの」


彼女は振り向かない。彼女とは同じ環境で育った兄が言う。


「可哀相に、」



もう戻らないよ、おんなじ彼には。その言葉はそれこそ何十回何百回言った、が、彼女は彼をアンインストールする事をやめないしインストールする事もやめない。これは病気だ、依存症だ。でも、兄はそう思っていても行為を止めない、心が痛みで叫んでいても。


結局兄も、彼に戻って来て欲しい訳だが。




それが叶う事は、多分ない。




■■■
インストールされる彼とアンインストールされる彼は永遠の課題。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

アンインストール。

何人目かのレン君と初代リンちゃんの話。

閲覧数:139

投稿日:2011/12/04 18:44:30

文字数:672文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました