研ぎ澄ます刃は
人知れず胸を射止めた
待ち焦がれる痛みを 宿したとき
襖越し 対話が
増すごとに命を裂いた
躊躇いなく窮地を 踏む姿
ただ無事を祈っては 文(ふみ)を結ぶ
行き着く望みのない愛の詩(うた)を
さあ、何もできぬ無情を
弄ぶ 後ろ髪も 纏め上げて
もう一度願う慕情(ぼじょう)を
慈しむ 限り 揺れ動く 幼い心
押し寄せる報せは
予断せぬ罪を認めた
目を伏せ啼く悼みを 潜めるとき
隙間風 懐古が
靡くたび遺志を伝えた
哀しみまで殺める 形見分け
ただ遥か遠い地で 誰を庇い
息つく隙(ひま)もなく絶えたのだろう
さあ、逃げもできぬ鼓動を
締め付ける 後悔さえ 拭い去って
もう二度と会えぬ悲愴を
堪え忍ぶ 今は 果てるまで 采配を振る
さあ、後に引けぬ無常で
擦れ違う 守る意味も 纏め上げて
もう一度紡ぐ机上の
平静(へいせい)の 鍵を 求め行く 士気を上げて
さあ、分かち合えぬ鼓動を
飼い慣らす 柵(しがらみ)さえ 薙ぎ払って
もう二度と逢えぬ未曾有(みぞう)を
慈しむ 限り 果たすまで 終わりはしない
〈ひらがな表記〉
とぎすます やいばわ
ひとしれず むねをいとめた
まちこがれる いたみを やどしたとき
ふすまごし たいわが
ますごとに いのちをさいた
ためらいなく きゅうちを ふむすがた
ただぶじを いのおてわ ふみをむすぶ
いきつくのぞみのない あいのうた を
さあ なにもできぬ むじょおを
もてあそぶ うしろがみも まとめあげて
もう いちどねがう ぼじょおを
いつくしむ かぎり ゆれうごく おさないこころ
おしよせる しらせわ
よだんせぬ つみをみとめた
めをふせなく いたみを ひそめるとき
すきまかぜ かいこが
なびくたび いしをつたえた
かなしみまで あやめる かたみわけ
ただはるか とおいちで だれをかばい
いきつくひまもなくた えたのだろ お
さあ にげもできぬ こどおを
しめつける こおかいさえ ぬぐいさあて
もう にどとあえぬ ひそおを
たえしのぶ いまわ はてるまで さいはいをふる
さあ あとにひけぬ むじょおで
すれちがう まもるいみも まとめあげて
もう いちどつむぐ きじょおの
へいせいの かぎを もとめゆく しきをあげて
さあ わかちあえぬ こどおを
かいならす しがらみさえ なぎはらあて
もう にどとあえぬ みぞおを
いつくしむ かぎり はたすまで おわりわしない
無常の世にて、平静を願う
http://piapro.jp/t/IW8A より
戦姫(指揮官)と武将をイメージしました。
一番は、戦姫が武将に思いを寄せるも、自らの指揮で戦地へ送り出す苦悩と、主従の立場から命じるときしか対話できない複雑な心境(喜びと不安)を抱く場面。
二番は、武将が戦地にて亡くなった報告を受けるも、立場上表立って彼の死のみを悼むことはできず、戦姫は哀しみを押し殺す。自分が送り出さなければ、と思いつつも、彼の遺志を形見として変わらず采配を振る場面。
最後は、机上の空論かもしれないが、彼の遺志を継いで平静の世を作りたいと願う。敵味方問わず、守るべき者のために戦うならば、それを纏め上げて柵を無くせば平和になるのではないかと。彼への思いを慈しむ限り、その遺志を果たすまで、彼女の生は終わりはしないという場面。
イメージと異なるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。また、下の方に、ひらがな表記があります。
タイトルは仮です。他の候補に「一姫一勇」「形見分け」「遺志」があります。
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