茜色、お願い。
 これ以上、誰かの未来を壊さないで――


≪アヤノの幸福理論 2【自己解釈】≫


 そんなことで、面白いことを考えながら、いろいろと悩んでいる。

 今日はあれをしよう。でも、この前みたいに失敗しなければいいな……。私はすっかりお姉ちゃんぶっていた。

 今日は、あるものを持ってきた。

 きっと三人も喜んでくれる、って。

「ねえ、みんな!」

 私は三人の注目を集めた。「何をするんだろう……」的な感じで目を輝かせていた。なんだかちょっと緊張しちゃうな。

 だけれど。

 私は赤いマフラーを首に巻きつけて、変身ポーズを取った。

「うわー! すげー!」

「ひみつそしきみたい……」

「かっけーっす!」

 三人の人気を得られたみたいだった。

 なんだか照れちゃうな、そんなこと言われちゃうと。

 そして、私はもう一個用意していたものを差し出した。

 それは、緑、黒、紫のパーカーだった。

「はい!」

 それをそれぞれセト、カノ、キドに上げた。

 みんなはすぐにパーカーを着て、私と同じようにヒーローのポーズを取った。

 それは、『ごっこ』に過ぎない。

 だけれど、もうつらい過去を思い出させて欲しくない。

 少しでも、みんなに笑ってもらえたら、なんて。

 だからさ。

 今日も、家族でいよう。

 寝ているときも、幸せを願うのも。

 例え、先にある未来がどれだけ悲しいものだったとしても。

「このことは――秘密だよ?」

「解ったよ、団長!」

「だ、だんちょう?」

「お姉ちゃんが始めたんだから、お姉ちゃんが団長でしょ?」

「そ、そうかなあ……」

 そう言うと、皆で笑った。

 そんな、日常が。

 楽しくて、日が沈むのも早かった。



 **


 幾つかの季節を巡り、私もすっかり大人になってしまっていた。

 お母さんが、死んだ。

 キドも、カノも、セトも、まるで自分の母親のように悲しんでくれた。

 だけど、それからお父さんは変わってしまった。

 一番お父さんが悲しんでいたんだろう。いつも、自分の部屋に閉じこもって、一人で泣いていたから。

 理不尽な運命のように、仕組まれていた。

 ある日、お父さんの部屋で見つけた実験資料とやらにあった人間は、お父さんのクラスの人間だった。

 狂い出していたことは、知っていたんだけど。

 誰にも、言えなかった。

 嫌だ。嫌だ。終わるのは。





 幸せが終わる世界は――――!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

アヤノの幸福理論 2【自己解釈】

次で終わる。

原曲 http://www.nicovideo.jp/watch/sm20671920

閲覧数:1,791

投稿日:2013/04/22 20:56:31

文字数:1,059文字

カテゴリ:小説

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