少年の新しい人生がはじまった。
レンはどうしても神を信じきることはできなかったが、それでも自分の償いのために、一生懸命に教会で働くようになった。
あの日から、鏡に写るのは暗闇だけだ。リンはもう鏡を覗き込んではくれない。
最後に見た彼女の悲痛な表情を思い出すと、レンは激しい後悔に苛まれる。
それでもレンは、毎晩そっと鏡を取り出し、呟くのだ。
「リン、ごめんね」
これほどまでに自分は重い罪を犯したのだ。
教会での仕事をこなし、初めて本当に生きている実感がわく。レンは複雑な思いでそれを受け止めた。
あくる日もあくる日も、少年は働き、神の像に祈りを捧げ、そして鏡を見た。
月日はあっというまに流れ、鏡にリンが写らなくなってからとうとう一年がたった。
「レン」
「はい、神父様!」
ある日、レンは神父によばれ、懺悔室にいた。
神父はいつものように微笑み、レンに言った。
「…覚えていますかレン、約一年前でしょうか、君がここへ初めて来たときのことを」
「えぇ、覚えています。忘れるわけがありません」
「君は、変わりましたね…」
ステンドグラスから光が漏れ、懺悔室は美しく彩られた。
隣の部屋から、聖歌隊の賛美歌がかすかに聞こえてくる。
「あの時の君は、自らの罪で周りが見えなくなっていた。何かを失ったかのように、哀しい顔をしていた。しかし私は思ったのです…、君の声は優しく、心から救いを求めていると」
前にも言われたことがある。哀しい顔をしているのに、声は優しい…
レンは少し俯いて、言った。
「神父様、僕は償えたのでしょうか…」
「レン、君はこの教会で、何を見てきましたか?」
神父の言葉に、レンは目を閉じて、考える。
始めは人とどう接すれば分からず、黙って掃除をするだけだった。
けれど話しかけてくれる人がいて、神父様が見守ってくれて
鏡にまたいつかあの子が写る日に、自然に笑えるようになろうと決めて。
それでも自分の罪を忘れることはなくて、償いを、償いを。
必死に求め、僕は今日まで生きてきたのだ。
教会に来る人は、僕にいつも笑いかけてくれて、優しい言葉をかけてくれた。
「人の温もり…」
神父はただにこりと笑った。
レンも笑みを浮かべる。
「それが答えではないでしょうか」
神父が言った。
レンは反射的にポケットの鏡に触った。
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そんなことを思いながら。
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