いずれ、影は消える。
暗い部屋に、一人の少女と、一人の少年が居る。
―ねえ、私、貴方に何か出来てた?―。
少女は少年に聞く。
                     ―うん、僕は君に救われてた―。
少年はそう答える。
―ごめん―
少女が少年に謝った。
                     ―君は謝らなくて良いよ―。
―だって、私の力がもっと強ければ、貴方は、まだここに居れたのに―。
―私、私!―。
少女は泣いていた。
                     ―ごめんね、僕も、ずっと、君と一緒に居たかった―
                     ―でも、許されないんだ。僕は―
―やめて、やめてよ。私が悪いのに・・・―
                     ―君から生まれた影なんだから―
―ねえ、それじゃ、あの時見たあの歌と同じだよ―
―私、ルルと離れたくないよ―
ルルと呼ばれたその少年は、少女の言葉に、こう返した。
                     ―あの時見たあの歌―
                     ―確かに、一緒だね。でも、僕は自らこれを選んだ―
―何で、行っちゃうの?私、一人になるの?―
                     ―一人じゃない。マスターたちが居るじゃないか。―
                     ―それに、ララにはランラが居る―
―でも、ルルの代わりは居ない―
―ルルがここに居た事は、例え記憶から消されても―
―心の奥に、刻まれる―
                     ―大丈夫、また、マスターや、ルン達と話せるよ―
                     ―そして、ミリアさんにも―
ルルの体が薄くなった。
―ルル!―
                     ―何でだろう、寂しいな―
―ルル・・・・―
                     ―ララにお別れを言えてるのに―
                     ―マスター達にも言いたいって思ってる―
―馬鹿、今更、ラル達が恋しいって―
―今まで、ずっと一緒に居たのに―
                     ―別れてから、気付いたみたいだ―
                     ―確かに、今更だね―
―失くしてから、気付くよね―
―本当に大切なものって、失くしてから気付くものだね―
―私だって、ミリアさんを亡くしてから、後悔した―
―どうして、有り難うって、言えなかったのかな―
                     ―そうか、今、僕はそれを感じてるんだね―
―きっと、そうだよ―
                     ―ララと会えなくなるのも悲しい、でも―
                     ―マスター達とずっと一緒に居れないのも―
                     ―話す事ももう出来なくなるのも―
ポタッポタッ
大量の涙がルルの目から落ちる。 
                     ―ものすごく、寂しい!―
ルルは、そう叫んだ。
ルルの姿が、また一段と薄くなった。
―ルル、また、会えるよね!―
―そう、言ってよ―
―大丈夫って、いつもみたいに、ねえ、ねえってば!―
ララの顔はもう、涙でぐちゃぐちゃだ。
                     ―うん、大丈夫―
                     ―ララ、皆、さようなら―
―ルル―
                     ―皆と居れて、とても楽しかった―
―ルル、ルルゥ―
                     ―また、どこかで会おう―
そういって、ルルは消えた。
後は、少女の、ララの姿だけがそこに残り、こう言った。
『私は、強くなる、また、ルルに会うために、私の幻想を、現実にする』              
少女は、強い決心をした。                                            

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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影が消えるとき。

ララの影、ルルは消える時、共に日々を過ごした日々も思い出す。
少し暗いお話です。

閲覧数:80

投稿日:2011/05/21 16:33:10

文字数:1,731文字

カテゴリ:小説

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