＃３５



「めーちゃん……この子は、あの時の【アイツ】じゃない」


カイトの言葉に混乱するメイコ


「え、だって……さっき！」


メイコが血の後をみて、その後にミクの体を見る


「あ！」


そして、気づいた

メイコの血の気が引いて行くのがわかる


「そうだ、よく見てみるんだ。この子は怪我してないだろ？」

「で、でも！ミクは自己治癒が使えるんだから！」


メイコが青ざめながら、思いだしたようにそういった


「そうだとしても、斬り裂かれた服までは治せないだろう」


カイトがミクの左腕をメイコの方にみせる


「あ、そ、それじゃ……私……」

「そうだよ。このミクは無実だ。アイツじゃない」


メイコは自分がさっきまでやっていたことを思いだして、手が震える


「ご、ごめんなさい……ミク」

「いやっ！！」


メイコがミクに近付くと、ミクは震えながらカイトの後ろに隠れた

メイコは伸ばした手を引っ込める


「めーちゃん……」


カイトもメイコの悲しそうな顔を見て、気持ちが沈む

カイトはメイコが自分のことを思っての行動だったというのをしっている……

けれど、冷静さを欠いていたところに落ち度はある……


「ミク……めーちゃんは、ミクを敵と間違えたんだ。ミクにそっくりなやつがいてね……」


カイトが泣いているミクに語りかけるように優しく話した


「……私に？」


ミクはさっきのメイコがよほど怖かったのか、体の震えが止まらない


「そう……本当にそっくりなんだ。僕も一瞬間違えたくらいだった。」

「だとしても……ひどいですよぉ……ぐすっ」


それでもやっぱり、泣きやまないミク

メイコはただうつむいているだけ……


「めーちゃんは、そのミクそっくりなバグから、僕を助けてくれたんだ。そこにミクが来て…………だから、めーちゃんの気持ちもわかるよね？」


カイトは自分でそういいながらも、無理な事を言っていると感じていた


「……でも……こわかったですよぉ……わぁぁぁん」


余計、ミクは泣いてしまった

カイトはそれを黙って、頭をなでてやることしかできなかった






「―――！！！」


その時、カイトがはっとして立ちあがった


「……そ、そんな……」


カイトが慌てて通信機を使う


「おい！リン！！リン！！応えてくれ！」


カイトの慌てようをみて、ミクとメイコもカイトが何を感じ取ったのかを悟った


「レン！どうしたんだ！リンは……リンはどうなった！…………応えろ！レン！」


けれど、レンからの返答はなかった


「カイト！どういうこと！いったい、二人の身に何があったの！」


メイコがカイトにつめよる


「リンの反応が……消えた……」

「え？！……リ、リンさんが……じゃ、レンさんも！？」


ミクがたちあがって、こちらもカイトにつめよる


「いや……レンの反応はある……あるが……反応が弱いんだ」


それをきくと、メイコとミクは部屋を飛び出していった

その後をカイトも急いで追った