ルカ→ミク百合小説第二弾!百合注意っす><
題名作らなかったことを激しく後悔……見難い(ノ△T)
以前かいたものの続きでありんす~




side ルカ

ミク。それは私にとって特別な名前。
人間なのに私に優しくて、言葉を返さないと知っているのに言葉をかけてくる。
街で迷った私は餓死しそうになり、そこを助けて貰った。それからすっと同居している。

「ミク、どこ?」

私は人間の姿でシャツを引っかけ家の中を歩いていた。
ミクの姿が見えない。たったそんな事が私の不安を煽る。

「ミク?」

「なぁにー?ルカこっちだよー」

声のした方、洗面台にミクはいた。洗濯していたようだ。
ミクは洗濯機の中に手を入れていた。

「居なくなるならなるで一言いってよ」

「あーごめんごめん。だってルカ可愛い顔で寝てたたから」

「ば………! ちょっと目を閉じてただけじゃない」

「はいはい。もう眠いよね。これ干したら一緒に寝ようね」

「……仕方ないわね」

ミクが洗濯物を干し終わるまでの短い時間。私は特にすることもない。
だからじぃっとミクを観察する。
人間。そう、彼女は人間で、私はオオカミ種。そして私は人間が大嫌い。
他の種族にも自我を押しつけるような自己中心的で、同じ種族の中で欺瞞を繰り返す。
あまつさえ自分たち以外の命は軽いものだと軽蔑する。
だから人間は街という自分たちの都合の良い環境を造り、それを壊すことを繰り返す。
人間は嫌い。

「ルカ?眠いなら先寝て手よ。すぐ行くから」
 
嫌い。だけど、ミクだけは違う。ミクは私にほほえみかけた。
その優しげな顔で、私の感情はとろんと溶けてしまう。何も考えられないくらいに。
ミクは少し湿った手を私の頭に乗せ、ぽんぽんと軽く叩いた。

「ん………」

くすり。ミクが笑った。

「ごめんね。すぐ行くからね」

だから、私の頬も崩壊した。









■■■■■









じゃあ、行ってくるね。お留守番よろしく。
そう言って出て行ったミクを見送り、この家には私一人きりになった。
とくにすることもない。私はとりあえず服を脱いだ。この暑くて邪魔なものは嫌いだ。
しかし人間の姿で全裸なものだから少し肌寒い。人間は面倒な生き物だ。
一枚だけ羽織ることにした。風邪をひいたら心配するから。

「……………………暇ね」

TVは五月蠅いし嫌い。でも寂しいのも嫌い。
小説は理解できないから嫌い。でも図鑑は面白いから好き。
色んな種族を確認しようっていう人間の探求心だけは評価してもいいと思う。
というわけで、こないだミクがお土産に買ってくれた図鑑を読み返すことに。
とりあえず猿から。うわー、ぶきみー、あ、こいつかわいー。

ぴんぽーん

誰か来たっぽい。でも私は出ない。出る必要がないもん。
とりあえず無視。

ぴんぽーん ぴんぽーん

うるさい。
むくっと立ち上がると、勢いよくドアを開け放った。
そこには見知らぬ匂いの奴。誰こいつ。人の縄張りに勝手に入ってるし。

「あ、初音さんですか?荷物のお届けに、ぃぃい!?」

「うるさい。ミクならいないわ」

「あ、あわわ、あ」

あ、倒れた。帽子で顔は見えないけど、声は雄のものだ。
でもどうして鼻血なんて出して倒れてるんだろう。まぁいいや。関係ないし。
外はやっぱり少し寒いかも。開けはなっていたYシャツの前を閉めた。
部屋でまた寝転がり、ゴロゴロとミクが帰ってくるのを待つ。

「早く帰ってこないかしら………」

ミクがいないとつまんない。寝たらすぐ帰ってくるかしら。
私はベッドに移動し、ごろんと横たわる。それはミクの匂いがして、とても心地よい。

「ん………ミク………遅いわよ…………」

私を待たせるなんて。
いや別に?寂しくなんてないわよ?







寝ていると、なんだか懐かしい夢をみた。
それは山の奥に同じ種族で暮らしていた頃の夢。
私たちは人間をおそれ、常に移動しながら生活を営んでいた。
夜を好み、人を避け、獣を追う。
そんな生活は私にとってあたりまえで、幸福な時間だった。
でも私は一度、怪我をして人間に捕まったことがある。
そう。それが幼い頃のミクで、私が街に行った理由でもある。

『わんわんさん、どうしたの?』

車にはねられた私は、両後ろ足と腰にに激痛を背負っていた。
喉から漏れるのは自分の声とも思えぬ、低いうなり声。
焼け付く喉をなんとかして動かし、仲間を呼ぼうとしていた。
そんな時に、あの脳天気はやってきたのだ。
幼いミクは、私にとってただの敵にしか映らなかったけれど。

『わんわんさん、あしおかしいよ?だいじょうぶ?』

甘ったるい声が私を苛つかせる。
目障りなこの人間を殺してやろうかと思った。けれど今の私にできるはずがない。
唸って牙を見せつけ、今できる全力をもってこの人間を排除しようとした。
しかし、うまくいかない。

『びょういんいこう!きっとせんせーがなおしてくれるよ!』

人間はひょいと私を抱き上げた。
声に成らぬ激痛が私を襲い、小さかった私は一瞬で意識を持って行かれた。
それから私は、何日もの間、薬という未知の匂いを嗅がされつづけた。
抵抗しようなどとは思えないほど心が折れた頃には、私は彼女の家につれていかれた。
そこで歩けるようになるまでリハビリというものを経験させられた。

『わんわんさん、まだいたい?』

廃人一歩手前の私は、何をされても従順なままだった。
これ以上の屈辱があるものか。食事も排泄も行動も管理されているというのに。
いっそ殺してくれと何度思ったことだろう。

『はやくなおそうね。いまね、おかあさんにいって、わんわんさんをかおうっておねがいしてるの』

私は彼女の話なんて聞いていない。勝手にしてくれと思うばかりで。

『でもね、おかあさん、わんわんさんはやせいだから、しぜんがいいんだっていうの』

子供の話を本気にするほど、私は愚かじゃない。

『わんわんさんとはなれるのいやだけど、わんわんさんがいいなら、いいのかな?』

一人にして。
私はベッドの下から動かなくなった。







『名前、ルカにした』

『はぁ。あっそう』

元居た場所で解放されたあと、待っててくれた仲間のもとに戻った。
暫くは人間の匂いが染みついててみんな敬遠したけど、でも嬉しかった。
ようやく匂いも薄れた頃に、私は自分の名前を変えることを告げた。
とくに名前なんてものの重要性を理解していなかった私たちには、なんでもいい事だ。
幼馴染みのテトはさもどうでも良さそうに返した。

『じゃあ今日からルカって呼べばいいのね?』

『そう』

テトは簡単に承諾した。理由も特に聞かなかった。
森で走り回って泥だらけになると、ふと思い出すことがある。

『わんわんさん、ばっちぃね。みくとそろい~』

林でとらえた生き物を食べていると、ふと思い出す。

『んふふ~、わんわんさんおいしい?』

木の根で寝ようとすると、またふと思い出す。

『さ、ねよっか!わんわんさん』

どうして彼女のことばかり思い出すのだろう。
私はずっと、彼女が憎いせいだと思っていた。だから思い出すたびイライラした。
でも。
そんなことが一年(詳細不明)も続くと、違うんじゃないかと思った。
もう随分会っていない。彼女は何をしているんだろう。
別れ際、彼女が大粒の涙をこぼして言った。

『ねぇ、ほんとはね、なまえきめてあったんだよ』

目を擦って擦って、真っ赤になっても擦って、それから前を見た。
私はそのときの彼女を忘れない。
涙を流しているのに、人間はどうしてこんなに心から笑えるんだろう。

『なまえ、るか。うちでかぞくになるってきまったら、おしえようって…でも、ばいばいだね』

呼吸がとまった。私はようやく、彼女を見たんだ。
笑顔はすぐに崩壊して、彼女はまた目を擦った。
もし此処で、私が彼女に寄り添っていったら、今はきっと違っていたんだろう。

『ばいばい、わんわんさん』

何かから逃げるようにして森の中へ入っていった。
お礼を言わなかった。こうして帰してくれて、ようやく今までのことを理解したのに。
背中に呼びかける声が悲痛すぎて笑えた。私は、そんな名前じゃないのに。

『るかぁ!やだよう、るかいないの、やだよぉ………』








「泣かないで………ミク…………」

「え?」








もう嫌だ。私は自分の身で焼かれるということを体験しいていた。
熱されたコンクリート。五月蠅い上に熱い空気を吐き出す車。それにざわつく人間。
どうしてこんなところにいるんだろう。帰りたい。
私は人間によって作られた街で、絶望を感じていた。
もう何日も食べていない。汚くてまずい水しか飲んでいない。

『もぅ………だめ…………………』

どうしてこんなところにいるんだろう。
そもそも、彼女に会いたいなんてどうして思ってしまったんだろう。
もう季節はなんど繰り返しただろうか。会いたいと思っても、それは遅すぎた。
彼女だって大人になっているだろうに。もう私なんて覚えているはずもないのに。
たすけて。
私は人間達から逃げるようにして細い道を好んで進んだ。
おかげで自分がどのへんにいるのかすら分からない。
たすけて。
視界がぼんやりしてきた………本当に、もう駄目なんじゃないだろうか。
背後から足音が聞こえた。ああ、人間だ。きっと捕まってしまう。
でももういい。やっぱり、私は人間によって殺されてしまうんだ。
人間のせいで傷ついて、人間に惑わされて死んでしまう。なんてお笑いぐさだ。

『ルカ?』

ぴんと、耳が立った。
もしかして……なんて、頭の回らない私は、きっと、ずっと期待していたんだ。
ピンチになったら、彼女が来て助けてくれるんじゃないか、って。
そんな自分自身に嘲笑し、私はぼーっとする意識に身をゆだねた。

『ルカ、なの?』

もういいや。きっとあのとき、自分は死ぬ運命だったんだ。
しかし視界に飛び込んできた彼女をみて、懐かしい匂いが鼻孔をくすぐって、目が覚めた。

『そんなわけないか。きみ、大丈夫?』

ああ、大きくなったわね。あんなつたない話方だった貴女が、こんなに綺麗になって。
もう動く元気すらなかったはずなのに、私はよろっと立ち上がる事ができた。
彼女の足下まで来て、力つきたけど。

『くぅ~ん』

『ん、よしよし。うちくる?すぐそこだし』

尻尾が自然と揺れる。
彼女は嬉しそうに、汚い私を抱き締めてくれた。
ずいぶんと経っているはずなのに、彼女は暖かいままだった。








「ん……………」

「あ、起きた?」

頭を撫でられて、私はゆっくりとまぶたを開けた。
目の前にはベッドに腰掛けて微笑むミクがいて、私はどうやら膝枕されているらしかった。

「おはよう。ごめんね、退屈すぎて寝ちゃった?」

「ん………」

なんて気持ちいいんだろう。私は両腕をミクの腰に回した。
女の子の柔らかい身体。でも心地良いのは、きっとそれがミクだから。

「ミク……綺麗になったわね………」

「へ!?…………あ、ありがと………、ん?」

「泣かせて………ごめんなさい………」

「………………ん」

ああ、眠たい。きっと、今はまだ夢なんだろう。
ぬるま湯に浸かっているみたいな感じ。ずっとこのままでいたい、そう思った。
ミクはまた優しく頭を撫でてくれた。

「もう少し寝ていいよ。でもご飯作るから、あとで起こしちゃうかも」

「ん………いいわ……………」

もう少しだけ。あと少し、このままでいてさえくれれば。
私はもっと強く彼女を抱き締めた。

「おやすみ、ルカ」

彼女の柔らかい声が耳に届いた。
けれど、もう返事できない。

「おかえり、るか」



ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

ルカ→ミク 百合注意>< 第二弾

書いたら消えて絶望した………orz
とりあえずテーマは「寝ぼけルカ」「わんわんさん」「ぜんrry
というかテトの扱いが酷すぎる………!ごめんねテト………!
テト誕生祭までには、テトのイメージ固まるといいなぁ………←

リクエストあざっした!

閲覧数:2,171

投稿日:2010/03/06 04:40:29

文字数:4,879文字

カテゴリ:小説

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