Lied~青い瞳の死神~
「Mein Lieder」



 『綺麗な歌ですね』



 ねぇ、死神さん。覚えてる?

 私と死神さんが初めて出逢った時の事。

 あの時の死神さん、すごく驚いてたよね。

 当然だよね。だって、普通は視えない死神さんに
 私が声をかけたからだもの。

 私ね、昔から他の人には視えないものが
 視えてしまう力を持っていたみたいなの。

 だからかな……。
 周りの人達は気味悪がって、私に近づかなかった。


 私はいつも『独り』だった。


 寂しかった。誰も私を受け入れてくれない。

 悲しくて、苦しくて……。


 『せめて、この瞳(め)が視えなくなれば……』


 ……なんて、考えたりもした。

 結局、怖くて何も出来なかったけど……。


 『私』は『私』が嫌いだった。


 自分が何の為に生まれてきたのか、分からなかった。


 消えてしまいたかった。

 でも、そんな意気地もなくて。



 ……『私』は……『私』が……大嫌い……。



 そんな日々を送っていた時だった。
 アナタと出逢ったのは……。

 アナタは、とても穏やかな表情で歌っていた。

 最初は天使かと思った。
 あまりに綺麗だったから。

 ううん、もう死神とか、天使とか……。
 アナタが何者でも関係なかった。

 唯、アナタの歌がとても素敵だったから……。

 私はあの時、思い切ってアナタに声をかけた。



 『アナタの優しい声、好きだな……私』



 ねぇ、死神さん。あの言葉……。

 半分本当で、半分嘘だったんだよ。



 私は、初めて逢った時から『アナタ』を好きになっていた。



 『アナタ』と過ごした日々はとても楽しくて。

 『アナタ』の『歌』はとても心地好くて。

 『アナタ』の傍に居られる事が『幸せ』で。



 でも、この『想い』を打ち明ける事は……ない。



 だって、私はもうすぐ居なくなってしまうから……。



 自分の事だもの。ずっと前から何となく分かってた。

 ……分かっていたけど……。



 アナタと一緒に居た時間が……『幸せ』過ぎて……。



 死神さん……ごめんね……。

 もっと……ずっと……アナタの傍に居たかった。

 アナタの歌を……隣で聴いていたかった……。



 ……私は……居なくなっちゃうけど……。

 ……歌う事は、やめないで……。


 ……私の事は……忘れちゃっても……いいから……。



 『……アナタの、歌……大好き……だから……』



 【もしも……叶うのなら……
  もしも再び、アナタに出逢えたら……
  私は、今度こそ……アナタに、伝えたい……】





 『                   』





 嗚呼……
 アナタと過ごした……『幸せ』を抱いて……



 ……私は……逝きたい……。





 ……そして、また……いつか……『アナタ』……と……。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

Mein Lieder

注:経験の浅いサンホラ好きの妄想です。

まぁ……サンホラでいう所のボーナストラック部分というか……。

Mein Lieder(マイン・リーバー)はドイツ語で「愛しい人」。

実は両想いだったのに結ばれなかったっていう展開が
好きなので……考えました。><

これでLiedは完成です。……多分。(←オイ)

暗号の方が解けた方は心の中に閉まって置いてください。
言葉自体は大した事ないんですが、何となく
大事な(?)事なので、二回言いました。(前回参照)
よろしくお願いします。m(_ _)m

イラスト、歌詞、曲を募集してます。
心の広い方がいたらお願いします。m(_ _)m

閲覧数:227

投稿日:2009/04/18 04:55:01

文字数:1,251文字

カテゴリ:小説

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