春の訪（おとない）
感じる日和
何ということもなく
不思議と心、浮き立ちます

三寒四温 乗り越えて
二葉は六花（ろっか）を融かしゆく
一色（いっしょく）景色は一変し、
閉ざした五感は目を覚ます


浮かれましょう
花々たちも嬉しそう
浮かれましょう
とりどりの色に酔い痴れて

梅は香り、桜は踊る
桃は明るく咲（え）み広げ
菫は風と咲（わら）うから
人は全てを愛でながら
歌い、踊り、笑うのです

春の霞が晴れるまで
心ゆくまで、浮かれましょう



鶯 留（と）まる枝葉揺れ
ふわりと香（こう）が舞い降りる
つられて見上げる、空の青

花冷え耐えた 蕾たち
春陽（しゅんよう）浴びて綻びる
百花繚乱 煌めいて
開（ひら）いた五感は満たされる


浮かれましょう
鳥たちさえも嬉しそう
浮かれましょう
さまざまな歌に酔い痴れて

あっという間に消える夢
あっという間に消える夢
楽しむために 見るのでしょう
人は全てを愛でるから
歌い、惜しみ、泣くのでしょう

春の霞が晴れるまで
心ゆくまで、浮かれましょう



愛の歌を口ずさみ
恋に心を躍らせて
美しさには ときめいて
麗しさには 打ち震え
儚さには、
きゅうと胸を締め付けて…



花は そよいで鳥は舞い、
遠くの尾根は白めいて
風が楽しく吹き抜ける
人は全てを愛でながら
歌い、踊り、笑うのです

愛しい世界を慈しみ
心ゆくまで、愛しましょう


春の霞が晴れるまで
春の霞が晴れるまで

心ゆくまで、愛しましょう






【ひらがな】


はるの おとない
かんじる ひより
なんということもなく
ふしぎとこころ、うきたちます

さんかんしおん のりこえて
ふたばは ろっかを とかしゆく
いっしょく けしきは いっぺんし
とざした ごかんは めをさます


うかれましょう
はなばなたちも うれしそう
うかれましょう
とりどりのいろに よいしれて

うめは かおり、さくらは おどる
ももは あかるく えみひろげ
すみれは かぜと わらうから
ひとは すべてを めでながら
うたい、おどり、わらうのです

はるの かすみが はれるまで
こころゆくまで、うかれましょう



うぐいす とまる えだはゆれ
ふわりと こうが まいおりる
つられて みあげる、そらのあお

はなびえ たえた つぼみたち
しゅんよう あびて ほころびる
ひゃっかりょうらん きらめいて
ひらいた ごかんは みたされる


うかれましょう
とりたちさえも うれしそう
うかれましょう
さまざまな うたに よいしれて

あっというまに きえるゆめ
あっというまに きえるゆめ
たのしむために みるのでしょう
ひとは すべてを めでるから
うたい、おしみ、なくのでしょう

はるの かすみが はれるまで
こころゆくまで、うかれましょう



あいの うたを くちずさみ
こいに こころを おどらせて
うつくしさには ときめいて
うるわしさには うちふるえ
はかなさには、
きゅうと むねを しめつけて…



はなは そよいで とりは まい、
とおくの おねは しろめいて
かぜが たのしく ふきぬける
ひとは すべてを めでながら
うたい、おどり、わらうのです

いとしいせかいを いつくしみ
こころゆくまで、あいしましょう


はるの かすみが はれるまで
はるの かすみが はれるまで

こころゆくまで、あいしましょう