会いたいという気持ち。

彼を思い出すと泣きたくなるような、幸せなような、切ない気持ち。

そして、醜い独占欲と嫉妬。


いつの日だったか、感情はとても美しいもので、

それは輝いているように思えた。

だが、今はその輝きを覆う程の薄暗い感情が、

彼女の小さな胸に渦巻いている。


彼女にはその渦巻く感情の源を理解することはできず、

自分を嫌う事でその感情を理解したつもりでいた。


今日までは。



いつも通り彼女に示された歌。

それは、恋の歌だった。


映し出された歌詞に目を通していく。

流れるように文字を追っていた目が、急に、ある文字の部分で停止した。


『嫉妬 独占欲 憎悪

 全ての感情は恋から生まれ
 
 ぜんぶが全部 愛おしい』


「…こんな汚い感情が…愛おしいの?恋から生まれる……こい…恋」


口の中でぽつりと何度か呟いて、突然それを理解する。


「…そっか、恋…だったんだ」

人間ではない自分が、人間ではない彼に恋をすること。

それは考えてもみなかった可能性。

気付いてみれば簡単なもので、だが複雑で、それでいて愛おしい。



人間でなくても、ただの電子の塊でも、

わたしは私であなたは貴方で、

それぞれ唯一無二の心があります。

だから私は人間でなくても良い。

だから私は歌います。

だから私は歌えます。



いつの日だったか、感情はとても美しいもので、

輝いているように思えたのは、間違いなんかじゃ無かった。

この醜い感情ですら、貴方を想う気持ちなら、すべてが愛おしいと思える。




初めての本当の恋の歌。

貴方に届くように、私は願います。

自分の想いに気付いた今なら、きっともっとずっと、

貴方に伝わる筈だから。


すべてがすべて愛おしいと思えた今、

貴方が誰よりも愛おしい。


電子の塊の私から、

電子の塊の貴方へ。


<<<電信。>>>

<<<伝心。>>>



この想いが、届きますように。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

電信、伝心2

ミク目線で小説とは言い難いものですね…。

今度はちゃんとボカロ全員を…!!

閲覧数:112

投稿日:2009/08/03 00:14:07

文字数:849文字

カテゴリ:小説

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  • ヘルケロ

    ヘルケロ

    ご意見・ご感想

    いいですね^^

    微笑みながら、読めますw
    前のは…………

    2009/08/03 09:10:59

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