「なんでレンに教えなきゃなんな・・・」
ハッとした。
レンの顔が、私に近づいてくる。
「ちょ、え、レン?」
「・・・きだよ」
「へ?」
よく聞こえなかった。
「好きだよ」
「!?」
今度は、はっきり聞こえた。
「かっ・・・からかうのもいい加減に・・・んんッ!?」
いきなり唇がふさがる。
「んッ・・・・んん・・・」
レンの舌が、私の口の中に侵入する。
がくぽと付き合ってた頃も、こんなことしたことなかった。
「レッ・・・レン!」
唇が離れた瞬間、私はレンの名前を呼んだ。
「何で・・・何でこんなことするの!?」
「何でって・・・」
レンは今にも泣き出しそうな赤い顔で言った。
「お前が好きだからだよ」
今度は、レンの手が私の服の中に侵入する。
「やだ!レン、やめて!!」
でも、レンはやめようとしない。
（だめだ・・・このままじゃ・・・・）
そう思ってても、なかなか抵抗できない。
レンの力は強いし、抵抗してもレンは反発する。
「やめっ・・・あ、んん・・・」
「ルカ、ここ、弱いの?」
レンは私の首筋に唇をあてる。
「やめて・・・レン・・・ほんとに・・・やなの・・・・」
私は、悲しみとも何とも言えない気持ちに陥って、涙が出てきた。
「そんなに、俺がキライ?」
「キライじゃないけど・・・」
レンのことは嫌いじゃない。
レンは優しいし、頼りになるし、嫌いになる要素なんて無い。
でも・・・・
「今は・・・好きな人がいるの・・・・」
「いたとしても!!」
ダンッ
レンが床を強く叩く。
「そいつには、彼女がいんだろ!?その彼女、お前の友達なんだろ!?」
「そ・・・そうだけど・・・・」
「叶うわけないだろ!?どうせアプローチしたって友情も壊れてその相手とも気まずくなって終わるだけだよ!!」
「でも・・・だって・・・・」
何も言えなくなった。
全部、その通りだったから。
ただただ、沈黙の中で泣くしかなかった。
「ごめん」
レンが私に手を伸ばす。
スッ
誰かがふすまを開けた。
「メイコー・・・って、あれ?」
おどけた声。
「え、あ、ルカちゃん・・・って、え!?」
メイトは私の顔を見て言った。
「ま、まだ泣いてたの!?ご、ごめんって、さっきは・・・」
「違う・・・そうじゃなくて・・・・」
私はやっと言った。
「え・・・じゃあ・・・・」
メイトはレンの存在に気づいて、レンと私の顔を見合わせた。
「てめぇ・・・!!」
メイトはレンの胸ぐらを掴んで壁に叩きつけた。
「お前がルカ泣かせたのか!?」
え・・・
『ルカ』って、言った?
「お前も泣かせたんだろ!!俺とルカの間に何があったかなんて、お前に関係ねえ!!」
このままじゃ大変なことになる・・・!
「やっ・・・やめなさいよあんた達!!」
私は二人の間を割って入った。
「メイトも落ち着いて・・・レンを離しなさい」
「ルカちゃん、首・・・・」
メイトが私の首を見て言った。
私の首には、さっきレンにつけられた赤い印がついていた。
「まさかこいつに・・・」
「ちがッ・・・」
「違うじゃねぇよ」
レンは鼻で笑った。
「だから言っただろ?ルカと俺の間に何があったかなんて関係ないって・・・」
「ちょっと!!」
その言い方、まるで私も同意してやったみたいじゃない!!
「え・・・・ルカちゃんそれ、ホント?」
メイトが呆然としている。
その顔を見て耐え切れなくなった。
「だから、お前に関係・・・」
「バカ!!」
ピシャッ
私の手に痛みがはしる。
「なんでそういう誤解を招くようなこと言うの!?私、嫌だって言ったじゃない!!」
「・・・・・」
レンは何も言わずに頬に手を当てていた。
しばらくの沈黙。
「あれ?こんなとこにいたー」
ふすまが開き、女子が入ってきた。
「マナ・・・」
「ちょっとーすぐくるっつっといて遅いじゃん!」
今、すごく見たくない顔・・・
「ルカ、まさか・・・」
最悪な、
「こいつが好きなの?」
最悪な一日――