この小説はテッド→テト→←KAITO要素を含みます。
現代パロディでKAITOとテトは恋人、テッドとテトは双子の兄妹設定です。苦手な方はご注意ください。
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履いているズボンのポケットからケータイを取りだし確認すると、もうすでに深夜どころかもうすぐ明け方という時間帯だった。
通りで辺りが明るいわけだと納得する。
空にはまだうっすらと星が瞬いているものの、その輝きすらも太陽の光に負けてきている。
そんな時間にテッドは家に帰宅した。
靴を脱ぎ捨て玄関に上がるともうすでに誰か起きていた様で、リビングには電気がついていた。その事にテッドは眉を潜める。
いや、「誰か」ではない。
父親はテッドとテトがまだ中学生の時には海外で単身赴任をしていた。
母親は中学生の頃は家に残り一緒に暮らしていたのだが、二人が高校生になると父に付き添い今は赴任先で生活している。当初は父の元で生活するのに渋っていたが、テトが後押しをしたのだ。
テッドにとってはハタ迷惑な話であったが。
「テッド!!!」
帰って来たテッドに気づいたのか、双子の妹であるテトが慌ただしく駆け寄って来た。
「まったく、君は門限という言葉を知らないのか?!今、何時だと思っているんだ!!」
テトが激高する。
「心配していたんだぞ?!遊びたい盛りなのはわかるが少しは謹んだらどうなんだ!!」
怒鳴っているテトを無視し、テッドは自室のある二階に上がっていこうとする。
「・・何とか言ったらどうなんだ?!」
「うるさいな、そんなに騒がなくても聞こえる。」
初めてテッドがテトに顔を向けた。
いつ聞いても慣れない熱の籠っていない声音に、一瞬怯むも自分を奮い立たせる。
「『うるさい』?!僕はただ純粋に君の事を心配してっ・・・・・。」
「余計なお世話だ。」
冷たく言い放ち階段を上る。
自室の前に来ると扉を開け放ち、乱暴に閉めた。
バンッ、という音が響き渡る。
閉める途中、階段下から聞こえたテトの悲痛な声に胸が痛む。
「・・・そこまで言わなくてもいいじゃないかっ・・・・・・・。」
テトは一見気が強そうにも見えるが、精神的に脆いところがあった。
自室に入るとベットに倒れ込み、目を閉じる。
「何でそんな顔するんだよ・・・・・・。」
離れていったのはそっちの方だろ、と呟く。
思いだすのは、昔の記憶。
『テッド!』
今より十歳近くも幼いテトが自身の名前を呼ぶ。
『僕にはテッドよりも大切な人なんていないぞ!!』
彼女はそう言い、
『ずっと一緒にいような!!!』
と、テッドの手を握りながら微笑んだ。
思わず笑ってしまいたくなる様な、心が温かくなる様な優しい思い出だった。
それなのに、
『テッド!!テッド!!!』
多分、あれは高校に入学してすぐだったと思う。
『何だよ。そんなに慌てて』
『あのな、僕、僕・・・・』
あの時の愕然とした気持ちはどういい表せばいいのだろう。
『僕、カイト先生が好きなんだ!!』
『・・・・・・は?』
『それでな、好きだって告白したら・・・実は両想いだったんだ!!僕達。』
『・・・へえ、よかったな!おめでとう、ていうかお前いつから好きだったんだよ?』
無理やり口元に笑みを浮かべて答えた。
その後照れた様にテトが何かをしゃべったが、まったく耳には入ってこなかった。
目を開けると、頬に涙がつたっているのがわかった。
「テト。」
血の繋がった実の妹でありながら、ただ一人愛しいと思う少女の名を呟く。
「愛してる・・・・・。」
この世界中の誰よりも。
その思いを塗りつぶす様に、テッドは唇を噛みもう一度きつく瞼を閉じた。
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