淡い淡い海鳴りの底、群立つイルカの呼気さながらに
溶けた瑠璃色の泪、視界が滲む
爛漫敷き詰めた青と青、世界は止め処もなく美しく
頓に永久に満ち満ちて居場所をなくした
言葉少なな睡余の街、妙ちきりんな言問繰り返し
今日も亦、惑うばかり彼は誰の空
薄明果てしない白と青、世界は当て所もなく輝いて
遠(おち)に近(こち)に沁み渡り夜の声を隠した
君に聞いて欲しい言葉より、言いたくない言葉が募っていく
夢む風景、幾許かの想いをすべて飲み込んだ
間違いばっかの優しい世界焦がれてしまったんだ
微睡む背景、透明な駅の中独り夜汽車を待つ
何時何時までも延々待てど来るはずもないのにな
紅い紅い林檎の爆弾、足枷の象の歩みにさながらに
妙に間延びした針の音が響く
冬ざれの庭に来鳴く鳥、林檎を啄んでは持ち去って
今日も亦、爆ぜる音で目が覚め夢が閉じた
いつもそうさ壊れそうなものばかり好きになってしまう僕だ
夢む風景、がなり立てる景色が赤に染まっていた
ひどく綺麗だなんて僕は思ってしまったんだ
微睡む背景、水煙縷々と舞う最果ての停車場で
何時何時までも努々忘れぬようにと願うんだ
荒ぶ風の滲む声、海に溶けて漣となれ
寄せて返す時を止めて、儘よ、儘よこのまま眠ろうか
夢む風景、幾許かの想いをすべて飲み込んだ
間違いばっかの優しい世界焦がれてしまったんだ
微睡む背景、透明な駅の中独り夜汽車を待つ
何時何時までも延々待てど来るはずもないのにな
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