「がくぽさんっ、オランダの女性が安楽死を望んで、
認められたって話、知ってます?」
「ああ、知ってるよ。悲しい事件だったな」
「幼い頃に受けた性的暴行がもとでPTSDになって、
回復の見込みがないから、安楽死したんですってね」
「死ななくても良かったのにな。
生きてればきっと、いい事もあっただろうに」
「それだけ、
トラウマが辛かったってことじゃないですか」
「そうだな。女性は感受性が強いから、普通に生活してても、
いろいろ傷付くことがあったんだろうな」
「優しいですね、がくぽさん」
「おれの知り合いにも、そういうやつがいるからさ。
他人事とは思えねえんだよ」
「そうなんですか」
「うん。昔から繊細で、心の優しいやつでさ。
おれと一緒に生き物係やってたときも、
校庭に入ってきた野良犬にまで水飲ましてやるような、
思いやりのあるやつだったよ。
…そのあいつが、あんなになるまで追い詰められてたんだ。
おれ、ちょっぴり、責任感じちまったよ」
「がくぽさんは何も悪くないですよ」
「ありがとう。おれも、頭でわかってはいるんだ。
だけど、やっぱり、フクザツでさ。
あいつの言う通り、おれは、お人好しなのかもしれねえな」
「前から不思議に思ってたんですけど、
がくぽさんは、どうしてそんなに優しいのに、
ホラーなんか書いてるんですか?」
「それは、真実を伝えないと、
誰も暴力というものについて、真面目に考えないからだよ」
「そうなんですか」
「…ああ。もちろん、おれも男だから、
あくまでフィクションとして、
猟奇的なものが好きな気持ちは、当然ある。
いや、むしろ、それがおれの本質なのかもしれん。
だけど、おれの漫画を読んで、
みんなが暴力について真剣に考えてくれることを、
切に願うよ」
「カッコいい…!!」
「そうか?おれの漫画を読んで、
作者であるおれのことを、
血も涙もない外道だって言うやつもいるぜ?」
「そういう人は、
がくぽさんの優しさがわかってないんですよ」
「それを伝えるのも、おれの仕事だ。
伝わってないのが一部の人間ならいいが、
もし、全体に伝わってないとしたら、
おれの力不足だろうな」
「でも、私は、
がくぽさんの作品が好きです」
「ありがとう。
君のような素敵な女の子と出会えて、
おれは幸せだ」
「どうしたんですか、改まって」
「いや、急に君にお礼が言いたくなったんだよ。
おれは漫画しか能のない、不器用な男だ。
そんなおれについてきてくれて、本当に感謝してる」
「ふふっ、こちらこそ。
私のような者を傍に置いてくださって、
ありがとうございます」
「君はおれにはもったいないような、
魅力的な女性だよ」
「そんな。私は先生をお慕いする、ただの女です」
「そうか」
「はいっ」
「…君もいろいろ苦労してきたんだな。
それが今、なんとなく、わかったよ」
「ふふっ、やめてくださいよ。
私はちょっぴり天然で、ドジな女の子。
そういう設定でしょ?」
「…そうだな。そういうことにしておこう」
「ね、先生。私、眠たくなっちゃった。
ベッドまで運んでくださいますか?」
「…それは、おれを誘ってんのか?」
「さあ、どっちでしょう。
先生はどっちだと思います?」
「わからんな。
生憎、そういうのには疎い方なんだ」
「えー、やだ、冷たーい」
「やだじゃない。ほら、自分で歩け」
「もう、つれないんだからっ」
「…そういう男は嫌いか?」
「いいえ、大好きです」
「ふふっ、そうか」
「…ねえ、がくぽさん。
私、子供の頃からの夢があるんです」
「夢?」
「はいっ。大きな観覧車に乗って、
好きな人と手をつなぐという夢です」
「おかしなやつだな。
そんな小さなことが、君にとっては夢なのか?」
「はいっ。自分が生きていくので精一杯で、
普通の女の子らしいことは、何も、してきませんでしたから…」
「そうか…」
「…でも私、自分のやってきたことが、
間違いだったとは思いません。
その時その時で、自分のやれることを、
精一杯、やってきたわけですし…。
誇りを持とうと思います」
「…それでいい。
君はとても聡明で、清らかな女の子だ。
どんなことがあっても、それはけっして、変わらない。
堂々としてろ。その権利が、君にはある」
「がくぽさん…」
「そして、何かあった時は、おれを頼ってくれ。
持てる力の全てをもって、君を導いてやる。
それでいいだろ?」
「はいっ。ありがとうございますっ。
私、とっても嬉しいですっ」
「…君みたいに苦しい思いをしている女の子が、
ひとりでも減ればいいのにな」
「がくぽさん…」
「…暴力ってやつは、ひとりの人間の人生を、
簡単にめちゃくちゃにする。
それがおれは、許せないんだ」
「そんなに、ご自分を責めないでください。
がくぽさんは何も悪くないですよ」
「わかっている。わかっているが、おれは、自分のこの命が、
時々、ひどく劣悪なものに思えて、仕方ないんだ」
「………」
「今、この国で戦争が起きていなくても、
水面下では同じことが起こっている。
“戦い”と“破壊”と“略奪”が、
日常的に繰り返されているんだ。
…何が“正義”だ。何が“愛情”だ。
お前らがやっていることは、ただの…」
「がくぽさんっ」
「…すまん。つい熱くなっちまった。
“戦い”のことになると周りが見えなくなるのは、
おれの悪い癖だ」
「構いません。それに、
情熱的なのは悪いことじゃないですよ。
私はがくぽさんの、そういう部分に惹かれたわけですから」
「…ありがとう」
「いえいえ」
「君は強い女の子だ。…綺麗だよ。世界中の誰よりも」
「…ありがとうございます。
がくぽさんは、私の王子様ですよ」
「…王子様か。ガラじゃない気もするが、悪くない響きだ。
そういう路線で行くのも、いいかもしれないな」
「………」
「人間ってのは、誰だって、
心の内側に、ドロドロした、醜いものを抱えてるモンだ。
だけど、それと同時に、
きらきらした、宝石のような気高さだって、
大事に抱えてる。
だから、おれは、信じようと思う。
人間を。人間の気高さを」
「がくぽさん…」
「…愛(めぐみ)。
これからもおれについてきてくれるか?」
「はいっ。もちろんです。先生っ」
【小説を書いたよ♪】おてんばGUMIちゃんと漫画家がくぽさん~性的暴行編~
いつもありがとうございます~♪(~ 'ω' )~
GUMIちゃんは、小悪魔っぽい曲が多いような気がするので、
今回は、ちょっぴり、
そんな感じにしてみました☆彡
参考にした動画はこちらです~♪
【GUMI】 セフレ 【オリジナル】
http://www.nicovideo.jp/watch/nm16923494
前の小説はこちらです☆彡
(今回の話につながっているので、
まだ読んでいない方は、読んでくださると嬉しいです♪)
【小説を書いたよ♪】おてんばGUMIちゃんと漫画家がくぽさん
http://piapro.jp/t/4N4M
【小説を書いたよ♪】怪盗KAITOとお嬢様ミクさん
http://piapro.jp/t/PuG0
【小説を書いたよ♪】サムライがくぽさんとお嬢様ミクさん
http://piapro.jp/t/hCxz
気に入ってくださった方は、
ブクマやコメントを、よろしくお願いします☆彡
ふわふわでした~♪(~ 'ω' )~
追記:「“戦い”と“破壊”と“略奪”」という部分が、
何かに似ているな~と思って調べたら、ポケモンでした。
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