メイコ視点

「皆はどうなの?カイト」

私は、ふと皆の状態が気になって、カイトに尋ねてみた。

「う~ん、リンちゃんレン君ミクとかは大丈夫だけど…何人か、墜落されてるね」

「そう…」

この戦いは、それ程に今までの戦闘の比ではなかった。
本当に、この戦いに全てがかかっている。
まだ操られたままのあの子達を救う、最後のチャンス。
それが、この戦い。

「私達も、頑張らなければならないわね。あの子達の大先輩として」

「そうだね…この戦いに、僕達の全てを賭ける覚悟で戦わなきゃだね…」

私達は、次々と出てくる悪UTAUを迎撃した。

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キョウ視点

「ミユウさん、大丈夫ですか!?」

「オレは大丈夫…。ただ、少し機体の調子が戻ってないかもな…」

「無理するなよ、ミユウ」

「大丈夫だって、ボイス。オレはもっと強くなるって決めたんだ。リユウの為にも…皆のためにもな…」

私は、ミユウさん、ボイスさん、ノイズさん、マイさん、サウさんと一緒に、悪UTAUと戦っていました。

「にしても、懲りないな、こいつらも…」

「本っ当!ねえねえ、ランチャーとか使ってぱぱーって倒せないの?」

「あのなぁマイ…。俺達の機体にそんなの積まれてないだろ…」

「だよね~」

呑気な会話をしてるように見えるけれども、実際はどんどん出てくる悪UTAUと戦っているのです。
皆さん、凄いですね…。と、感心している暇もなく、敵は出てくるのでした。

「…どこからこんな数沸いて来るんだ…」

「もしかしたら…どこか…この近くに戦艦があって、其処で造っているのかもしれないです」

ノイズさんの言葉に、私は推測で答えてみました。
いえ、それは、ほぼ正解でしょう。

「たしかに…この数を出すってことは、そんな感じだろう。かなり弱いし、敵も切羽詰ってるって所か」

その時、私達の周囲にいた悪UTAUが突然一斉に爆発しました。

「うぉあっ!あ、危ねぇな…」

「…こんな技使えるのって、一人しか心当たりが無いんだが…」

「奇遇だね、サウ。私もだよ…。うまくいったんだね…ルル君」

そう、この技を使えるのは、亜種の中でも、VOCALOIDの中でもたった一人…。

「皆!無事ーっ!?」

「…皆、遅くなった…」

私の大親友である、鈴音ララちゃんが使える技だ…。

「ララちゃん!ルル君!」

<心配かけさせやがってこのヤロー!!>

「ごめん皆。心配かけて…。心配かけた分、頑張るから」

「僕も、目が覚めた…。ミユウのあの一発でな…」

「…ミユウ、お前、殴ったのか?」

「ああ、そうだよ」

「…(相当痛いだろうな…)…」

「ボイスも一回やられてみるか?」

「いいえいいですはい」

『皆…ララちゃんが戻ってきて嬉しいところごめんなんだけど…』

突然実衣さんからの通信が入った。

『何だかユウの様子が変わったって、ユアさんからの連絡があったことと、あと、リオ君が行方不明になったって連絡が入ったの』

「リオ君が!?」

実衣さんの言葉に、私達は動揺を隠せませんでした。
あのリオさんが?

『バクト君やそのマスターさんから聞いた話だと、もしかしたらあのルゥネって子が関係してるらしいの。ルビアさんからの連絡では、あまり気にせずに放っておいてあげてって。だから、皆もあまりこの件に関してはただ聞き流すだけにしておいてね。特に、マキ君の事もあるしね』

マキさんか…確かに、マキさんだったらリオさんが居ないことで心配して閉じこんでしまう事もありそうと思いました。

『で、もう一つ報告があるの。これが一番重要なんだけど…敵方の様子がおかしいの。挙動不審っていうのかな?まあいいや、で、その反応が…丁度、キョウちゃん達の居るところに向かってるの。気をつけて、何か来るよ。エンジェルボイスターからの報告は以上です』

実衣さんからの通信はそれで途切れました。

「…アクアも、何か感じるって。此処からは、少し緊張感を持たないとかな…」

私達の機体のレーダーに、何かが反応しました。

「…来たみたいだよ、サウ」

「…あいつを倒せば、恐らく…」

私達の目の前には、巨大な機体がありました。

【コワセ、コワセ…ウタヲコワセ、オトヲコワセ、スベテヲコワセ。せかいをこわせ…】

「あれ、悪意しか感じられないよ!」

ララちゃんが、少し怯えたような声で言いました。
私にも、それは怖いほどに伝わりました。
何この悪意…とても、怖いです…。

<キョウ…あいつ、ただものじゃねぇ。それにお前、少し顔色悪いぞ…>

「…そう…かな…?ごめん…動けない…」

<…俺が代わりにやる。キョウは少し休んでおけ>

「でも…!」

<いいさ…俺は大丈夫だ>

「ごめん、ソウ…後はお願い…」

私は、暫くソウと交代する事にした。

そうしないと、とても怖かったから。

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メイコ視点

「何よこの反応!」

「近くに居るのは…ララちゃん達だね…」

私達のレーダーに、それが反応したわ。

「早く行かないと、あの子達が危ないわ」

「ああ…。分かった」

私達は、何だか不安を感じていた。

なぜかは、分からない。

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ララ視点

「きゃああっ!」

「マイッ!」

私達は、その機体と戦っていた。
でも、その機体の放つミサイルやランチャーに、私達は手も足も出なかった。
とても強い、あれは、ただの悪UTAUを製造するためだけのものではなかったのかな?

「まさか、あんなヤツがまだいたとはな…いや、これが最終兵器って事か」

最終兵器…確かに、そう言うには相応しい。

「…じゃあ、私も、奥の手を使おうかな。今、思いついたばっかだけど」

「奥の手…?」

「そ、奥の手。アクア!いくよ!」

(お前…ああ、分かった)

それは、私とアクアの力を合わせるという事だった。
私とアクアの力は別々に分断されていて、でも、一つだけ、二つの力をひとつにする方法がある。

「「みんな(あいつら)に…これいじょう手出しはさせない(させねぇ)…」」

「ララ、まさか…」

これは、意識の融合。使える時間に限りはあれども、これを使わなければ、こっちがやられる。

「うおおおおおっ!」

【コワセ…コワセ…スベテヲ…セカイノカギヲコワセ…】

ミユウは、少しボロボロな機体を駆使して、その巨大な機体に立ち向かう。

「ミユウ!あまり無茶するな!」

「大丈夫だ…!これが終われば…全てが終わる…はずなんだ…!」

「ミユウ…。俺も戦う。お前と共にな」

「…ボイス…。分かった、オレも、程々にしとくよ…。でないと、皆に心配かけちまうな」

【コノセカイハフヨウ…ドノセカイモフヨウ…ワレワレノソンザイモフヨウ…】

「「貴方達(てめぇら)に、何かを壊す権利は無い(ねぇっ)!!」」

全てのミサイルと爆弾をセットする。

「「私(俺)達の力、思い知れ!!!」」

【ウガアアアアアアアアッ!】

やったと思った…だけど…。

「なんなんだよあれ…気持ち悪ぃ…」

それは、壊れたところから再生していく。
まるで、それがなかったことのように。

「ララちゃん!」

「ララ!」

「ララ…!」

「…ミク…クオ…ユア…」

私達のところに、ミク姉とクオ兄とユアが来た。

「あれが、悪UTAUの親玉ってこと?」

「…っぽいな…」

ミク姉とクオ兄が武器を構えたその時。

「…敵は、弱ってるみたいね」

「ミク、クオ。君達は戦わなくて良いよ」

「メイコ姉、カイト兄…」

「メイコさん、カイトさん?」

其処に居たのは、メイコさんとカイトさん。

二人は、何をするつもりなのだろうか?

「…!?まさか…」

「ユアさん、ミク達を、頼みます」

「…私達は、もう、いいの。あの子達の成長が、見られたから」

二人は、そう言って。まっすぐに巨大な機体のもとへいく。

「いくら再生能力がよくても、二つのボカロボットの爆発には、耐えられないでしょうね」

「…爆発!?」

メイコさんとカイトさんの突然の言葉に、私達は動揺を隠せなかった。
まさか、二人とも死ぬ気で…。

「そんな、メイコ姉、カイト兄、やめて!」

「…どうして、そんな…」

「止めないで、皆」

「これは、私達が決めたことなの…」

『さようなら』

私達が次に聞いた音は、二つのボカロボットの爆発音だった。

そんな風に、私達の悪UTAUとの戦いは、幕を閉じた。



結局、私は失ってばかりだ。

続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歌姫戦士ボカロボット第46話後半

メイコオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオカイトオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

つくづくララの復活がどうでもよくなるくらいに…「ええ!?」

次回予告
ミク「メイコ姉とカイト兄は自らの命を使って、その戦いを終結させた。私達は、島に戻って、以前の生活に戻った。何人か足りない…そんな、ほんのちょっとの喪失感をいだきながら…次回「ウタとうた」戦いが終わって嬉しい筈なのに…どうしてだろう…」

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投稿日:2012/11/24 16:52:15

文字数:3,610文字

カテゴリ:小説

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