「今日は兄さんでいてね」
マスターが僕に念を押した言葉の意味を考える時間があった。
「いいですよ。……とはいえ、どうしましょう」
「恋人でもマスターでも無い。妹になってみたかったの」
「僕はあまり普段と変わらないんじゃないですか」
「そう?どうしよう。……抱っこ」
これでは妹というより幼児化してしまってる、と思ってギクシャクした空気になったけど、そのままハグの姿勢をとろうとする。
「え、ほんとにやるの?」
「ミクにだってしませんよ。マスターが言いはじめたんでしょう」
言い出しっぺなのに照れ始めたので静止する。ちょっと惜しいな、その表情をもっと見ていたいと思ったものの、少しお小言でマスターを小突いてみる。
「お兄さんがいるとこは車出して貰ったり、迎えに来てくれたりしてるけど」
「僕としては、ボーイフレンドでは無いし、主従関係でもないのに優しくあろうとしてます」
「僕の方がちょっと格上というか、強引でもいいんでしょうか」
「強引というよりリードしてよ、KAITO兄さん?」
「難しいですね。仮に風邪でも引いたら看病イベントには参加できますよね」
「分かってるぅ」
ミクやリンレン、ルカみたいに扱うのもかしこまってしまって、うまくいかない。敬語じゃなくてもいいことに気がついた。
「そうだ。ゲームしよう。負けたら一つ言うことを聞くこと。いいね、僕の妹さん」
「うん!」
そして、カーレースゲームに興じたところ、意気揚々と提案したのに僕は負けてしまった。
「えっと、もう一回、やろう?」
「KAITO兄さんが一つ言うこと聞いたらね」
「ただの兄さんじゃなくて、『いい』兄さんの日だからね」
「やっぱり、抱っこ!」
今日のマスターはすこぶる変な甘え方をするなあと思いつつ、本日の命令を受ける覚悟をしながら思わず笑みがこぼれた。
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