直ぐに教室に走ったが生憎七海は休んでいた。まぁ、身内があんな事になったのだから来辛いのかも知れない。

「おーい、暴走会長、今度は何処行く気?」
「桜華しふぉんをエサに七海を…。」
「止めなさい。第一其処までする理由あるの?全部順調に行ってるじゃない、なのに今更掻き回してどうするのよ?」

鶴村が少し不機嫌そうな顔で言った。確かにそう言われると反論は出来ない。リコリス祭は無事に終わったし、例のゲームテストもまぁ上手く行ってるし、行方不明だったスタッフも戻って来たし、危ない奴は捕まったし、今更だ。だけど何処かで何かが引っ掛かっている。

「ほら、もう止め止め、もう少しで終わるんだし、危ない目とは無縁の日々。」
「…今何て?」
「え?もうほじくり返したりは止めって。」
「違う、その後。」
「ああ、危ない目とは無縁の日々だよーって。」
「…無…縁…。」

その言葉に頭の中にバラバラにあった点が繋がった。リストやそれぞれのプロフィールを漁って、その引っ掛かりは確信になった。

「無い…。」
「もぉー!1人で勝手に暴走とか納得とかされても解らないってば!」
「だから無いんだよ、ほら!」

眉間に皺を寄せたままの鶴村にリストやプロフィールの束を見せた。何枚かパラパラと捲っては益々不機嫌になってしまった様だ。

「何が?」
「接点だ。」

ゲームの発端となったのは日高鴇彦、そして佐藤莉子。この2人が原案を起こし、幸水さん、輝詞先輩を加えたチームがゲームとそのイベントを企画。佐藤莉子はおそらく日高逮捕のきっかけとなった倉式を主軸にメンバーを選んだ。彼女と親しかった響さん、館林先生、桜華しふぉん、旋堂さん辺りがこの時点で決定したと推測。俺を含め日高の事をブログに書いた者、日向、澤田、萌香姉、鶴村がそれに当たる。蔭澤先輩、来留宮先輩、瀬乃原は輝詞先輩がバイト先の常連だからと推薦した。間さんは旋堂さんの事を調べる為に真壁さんと共に幸水さんにコンタクトを取った。そして七海は七海志揮の代役で参加。

「こんな感じだが解るか?」
「絵が下手。」
「状況を飲めたのかと聞いている。」

鶴村はリストを睨みながら首を傾げた。説明不足だったのだろうか?

「うーん、要するに雉鳴さんは接点が無いって事?適当に決めたとかじゃないの?」
「適当でフランスに居る人間を選ぶと思うか?あの人はリコリスの卒業生でも無いし、わざわざ旋堂さんが推薦したとは考えられないだろ?」
「言われてみればそうなんだけど…目的は何よ?」
「そんな物俺が知る訳無いだろう。雉鳴さん本人に聞くしか無いぞ?」

正直に答えたのだが何故か鶴村に殴られていた。

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いちごいちえとひめしあい-139.目的は?-

閲覧数:266

投稿日:2012/09/26 01:06:27

文字数:1,110文字

カテゴリ:小説

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