6月ハーモニー 未来音符 そのじゅーゴ



流香先輩にお願いされたから、ここまでついてきたけど…もうお終いだ。

「先輩は……私とデートして…どうでした?」

隣にいる流香先輩でも、今の私の考えに気付いていないはず…

海斗先輩は少しだけ悩んだ後

「ん~とね……やっぱり緊張してたけど、楽しかったよ?うん…それに

1年前からずっと初音さんと話してみたかったから、デートできるって

なった時、メチャメチャ嬉しかったんだ…すっげ~楽しみだった」

先輩の言葉で知った……いや、改めて気付いてしまった。

そうだ……この人は私がこの人を知らなかった時から私の事が好きで、

ずっと片思いをしていたんだ…

私がこの人と会う前から、この人はずっと片思いをしていたんだ…

そうだった…じゃあ私とのデートも、もしかしたら1年前からずっと

夢見ていたことだったんだ…

その後、私は迂闊にも想像してしまった。

ずっと好きだった私が隣にいたのは、どれだけ嬉しいことなんだろう?

1年間ずっと片思いしていた相手が隣にいるのは、どのぐらい嬉しい

ことだったんだろうか?

私はそんな片思いをしたことが無いから分かんない…

でも…もしかしたら、それは想像以上の嬉しさなのかもしれない…

1年もの間、勉強しながらも私を想い、部活であんな真面目な顔をしながら

サッカーやってる時も、私を想っていたのかもしれない…

私がデートに誘われてから、どんな所に行くんだろう?と考えて、楽しく

過ごせたらいいなと考えたことを、もしかしたらこの人も、ずっと…

ずっと考えていたのかもしれない……

1年間、私を見かけるたびに、心の中だけで好きだと言っていたのかもしれない…

私を見かけるたびに、話してみたいと思っていたのかもしれない…



私が思ってる以上にこの人は、私とのデートを喜んでいたのかもしれない…

ぽけ~っとしながらも、実はすごく嬉しがっていたのかもしれない…



そこまで考えた時、先輩への怒りが薄まっていった。

風船から空気が抜けるように、怒りがしぼんでいってしまった。

し、しまった……怒りが無くなった…

実際に先輩に聞いたわけじゃないのに…私が勝手に想像しただけなのに、

その想像で許してしまうなんて私は馬鹿ですか?

「……………」

先輩の感想を聞いて、そうですか…と言って帰ろうと思っていたけど、

怒りが無くなってしまったので何にも言えなくなってしまった。

「ミク…?」

「初音さん…?」

流香先輩も海斗先輩も何にも言わない私を不思議に思ってるみたいだ。

そ、そりゃそうか……ここは私が何か返さないといけないもんね…

でも……なんて言えばいいんだ…?

「「…………?」」

流香先輩も海斗先輩も私の返事を待っているみたいだ。

う、う、う~~ん……な、なんて言えば…?

と、とりあえず、感想を聞いたからそれの返事から…

「そ、そうですか…嬉しかったんですか……それは…なによりです…」

……なによりですは…無いな……

「え?う、うん……嬉しかったです…」

海斗先輩も私の返事に少し戸惑っている

「「…………」」

この後は……なんて言えば……困った…

そして私達はまた沈黙してしまった。すると流香先輩が助けてくれた。

「ミクは海斗くんがデートの時、特に緊張してなかったって言ってたけど、

でも海斗君はやっぱりデートの時に緊張してたって言ったでしょ?

海斗君は確かに考えなしのお馬鹿さんだけど、でも悪い子じゃないし、

お馬鹿なことを考えたと反省もしてるし、許してあげられないかな?」

「そ、そんなにお馬鹿お馬鹿って連呼しないでもらえますか?流香先輩…

そう優しく言われると、逆に響くってゆうか……」

流香先輩にそう言われ(お馬鹿さんのことは無視して)、私はぶっきらぼうに

「………まぁ…流香先輩がそう言うなら………今回に限り……」

私がそう言うとお馬鹿さん呼ばわりされた海斗先輩が嬉しそうな顔して

「ホント!?ありがとう!初音さん!!」

「良かった~~私もお礼するわ。ありがとねミク」

2人に感謝されたし、このまま先輩を許すことが何となく気まずいとゆうか…

バツが悪い感じ……違う、変な居心地の悪さ…

もういいですよ…と言って許すことができるほど大人な態度を取ることが

できなかったので、海斗先輩に

「で、でも!私はまだ許していませんよ!?だから…ぇと……イベントの後、

喫茶店に行く予定って先輩は言ってましたよね!?だ、だから今から

喫茶店に行って私の好きな物を奢ってくださいね!?いいですね!?」

怒ってないのにわざと怒る振りをしてしまった。

やべぇ…完全にツンデレの発言だ……

「うん!いいよ!何でも奢ります!!」

海斗先輩が奢らなきゃいけないのに、とっても嬉しそうな顔して返事された。

すると流香先輩が笑いながら

「ミクったら…不器用な子ね~」

私は流香先輩をジト目で見ながら、うるさいですよと目で言うと

「喫茶店に2人が行くんなら、私はお邪魔ね?じゃあここで~」

んな!?2人っきりにする気ですか!?

流香先輩はそう言いながら私に背を向けたので、その肩を私は掴んで

「ま、待ってくださいよ流香先輩…」

今ここで2人っきりにされても困ります!!

先輩はとてもキョトンとした顔で(まぁ演技だろうけど…)振り返って

「どうしたのミク?だってこの後デートの続きをするんでしょ?

だったら私は部外者だから退散したほうがいいんじゃない?」

「そ、それは……」

考えろ私!!考えるんだ!!

なんとか流香先輩を止める方法を考えるんだ!!

私が脳をフル回転させ考えると、海斗先輩とのデートの初めを思い出した。

そうだ!!流香先輩が私にメールを送ったんだ!!

あれだ!!私が緊張してるのに、デート頑張ってってメールを送ってきたんだ!!

「どうしたのミク?」

まだキョトンと演技してる流香先輩に

「流香先輩には聞きたいことがあったんです…昨日、私が映画を見る直前に

メールを送ってきましたよね?デート頑張ってって…なんですかアレ?

流香先輩だったら私がかなり緊張してたのが分かってたはずなのに、なんで

あんな意味の無いメールを送ってきたんですか?

なんでもっと具体的なアドバイスや、私の緊張をほぐすようなメールを

送ってきてくれなかったんですか!?」

問い詰めた瞬間、先輩はタジタジになった

「え、え?あ、あれは…あーゆうメールを送ればミクは怒って、緊張が

ほぐれると思って…ミ、ミクのためを思って送ったんだけど~?」

「信じられません…てゆーか、ついて来てください。

いま2人のされても困ります。それに先輩も昨日の夜に言ってましたよね?

ちゃんと海斗先輩に注意しとかなかった自分も悪いって…じゃあ来てください」

「え、え、でも~私はお邪魔でしょ~?」

「全然お邪魔ではありません。だから来てください」

私が尚もお願いすると、先輩が折れてくれた

「わ、分かったわよ…もぅ、しょうがない子ね…」

「だ、だって~」

このまま海斗先輩と2人になっても上手く話せないんだもん…

「はいはい…まぁミクがなに考えてるかは分かったわ…」

話さなくても分かっていただけましたか…ありがとうございます



そして私達3人は近くの喫茶店に入り、お茶をすることになった。

お茶しながら話した事、とゆーか海斗先輩がずっとさっきの試合のことを

熱く語ってたから、話したとゆうより聞いたこと、と言った方が正確だ。

しかし先輩がいくら熱く語ってきても、私はサッカーのルールとかよく知らない。

だから

「そうですか~」「よかったですね~」「ふ~ん…」「ナイッシュー」

そんな返事しかできなかった。

だって先輩は知らないだろうけど、少しは見てたし…

でも、私がそんな返事しかしてないのに先輩は語ることを止めなかった。

「そんで最後にまた1点取れて勝てたんだよ~」

「よかったですね~凄い凄~い」

先輩が語り終えたので、適当に拍手しながらそう言うと海斗先輩が唐突に

「そうだ…デートの続きって言えばさ、喫茶店の後に本屋に行って初音さんに

面白い本を教えてもらおうと思ってるって昨日、言ったよね?

だからさ、一緒に行ってくれる?」

「………はい?え、え~っと…」

いきなり聞かれたので、横にいてただ話を聞いていただけの流香先輩を見ると

「私に聞くんじゃありません…行ってもいいなら行けばいいし…

行きたくないなら行かなければいいじゃない…自分で決めることです」

先輩は私のほうを見ないでそう言った。

先輩は厳しいな…

「え、えと…じゃあ、まぁいいですよ?はい…」

しかし面白い本を教えてほしいと言われても、どうすればいいんだ?

私がよく読んでるのはラノベだから……でもラノベを教えるのは……恥ずい…

「ホントに?じゃあ明日の放課後メゾールに一緒に行ってくれる?」

海斗先輩の言葉は予想外だった

「はい?え?今日行くんじゃないんですか?明日行くの?マジ?」

「え?うん…だって試合やって疲れてるし、もう腹減ってるから飯食いたいし、

明日の放課後に行っても別に問題ないでしょ?」

明日の放課後に先輩とメゾール?誰かに見られたらマズイ!恥ずいよ!

メゾールは学校から近いから、よく生徒達が学校帰りに寄っている。

「え?で、でも明日は…」

部活があるから…と言って先輩との放課後デートを回避しようとしたら、

今まで何にも話さなかった流香先輩が

「そうね~海斗君は試合で疲れてるだろうし、明日の放課後に2人で本屋さんに

行けばいいんじゃない?ねっ?」

私の目論見を潰すことを言ってきた。

「ちょ!?流香先輩、私は明日…」

私はあって無いような部活動のことを言おうとしたが

「さ~て、じゃあ海斗君も疲れてるだろうし、もう帰りましょっか?」

流香先輩がそう言いながら立ち上がると、海斗先輩も

「そっすね~じゃあ帰りましょう」

と立ち上がった

何そのコンビネーション!?打ち合わせでもやってたのかよ!?

「ちょ、ちょっと待ってよ2人とも…私は明日…」

立ち上がった2人に、明日は部活があって行けないと、まだ言おうとしたら

「ほら、ミクももう帰るから立って~」

流香先輩が私の手を引っ張って私を立ち上がらせた

「ちょ、ちょっと先輩?話はまだ終わっt…」

終わってないと言いかけた私の口を流香先輩が手で塞ぎ、にっこり笑顔で

「ミク~?往生際が悪いわよ~?サトミちゃんに言えば部活は休めるでしょ?

喫茶店には付き合ってあげたけど、本屋さんぐらいは2人で行きなさいね~?

だって~これは海斗君とのデートの続きなんだから~~ね?」

くそ!!先輩には私の考えはお見通しか!!てゆーか部活って一言も言ってない

のになんで分かってんだ!?

「で、で、でも~放課後に2人でメゾールに行ったら…誰かに…」

「気にしすぎよ~ミクが思ってるほど、回りはミク達のことを見てないわよ?」

またしても私の考えてる事は見透かされていた。

「そ、そんなことは無いn…」

「じゃあ帰りましょ~」

「そっすね~。てゆーか流香先輩と帰るなんて久しぶりっすね?」

「そー言えばそうね~」

無いんじゃないですか?と言いかけた私を無視して2人はお店から出て行った

「ちょ!?流香先輩!?海斗先輩!?」

私は立ち去る2人の背中に言うが、2人は止まってくれなかった





諦めるしか…ないのか……

そう思って私は2人の後をとぼとぼ歩いた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 未来音符 その15

6月ハーモニー 未来音符 その15

恋愛物を書いているはずなのに、ドキドキなんて皆無でもいい。

閲覧数:173

投稿日:2012/08/30 11:45:59

文字数:4,870文字

カテゴリ:小説

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