もう行き場がない。

この恋の、熱量。

この恋の、圧力。

この恋の──切なさ。



空に放った

私の想いは、

叫びは、

大きな大気へ吸い込まれていった。


紅い夕焼けの空が、風を誘い込んでいる。

廃校舎の屋上から、半径10キロ圏内の建物などが全貌できる。


この場所であの人と話した。

この場所で、あの人と約束をした。


─あと2年たったら、結婚できる─

─それまで、頑張ってな─

─俺、お前を守るから─


けど、

この約束は、

悲しくも、

この場所で

破られた。


感情は無い。

気持ちは静か。


─俺、好きな奴できたから、もう別れよう─

そのとき、

すでにあの人は18歳になっていて、

今までの思い出が、ノイズと共に消えていった。

真っ直ぐに、空を見上げた。


悲しむぐらいなら、

いっそ奪い取ってしまえ。


そんな思いが、

頭を横切った。


─宣戦布告─


頬を撫でる風を掴み、

空を見上げ、涙をこぼした。


涙を拭き、

前を向いた。


奪い取ってあげるよ。

貴方が好きになった娘への・・・想いをね。

あたしへの愛情に変えてあげるわよ。


  

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

恋は略奪

恋は戦争を小説にしてみました。

超ハイパーウルトラスーパー短編です。
主人公は…ご想像にお任せします。

閲覧数:75

投稿日:2010/08/01 13:33:20

文字数:513文字

カテゴリ:小説

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