早速内容に行きます。
※注意
・カイメイ風味があります。・時代設定が、若干ズボラです。
・あくまで、私の想像です。キャラクターイメージが違う、というところがあるかもしれません。
・KAITO→海斗、MEIKO→芽衣子、となっています。
・自己設定の、架空のものが出てきます(例えば、妖怪だとか)。
・一部、レンが不憫です;;
以上のことが、OK!という方だけお読みください。
暗号─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
異国より来たりし、踊り子の少女の音。
のみめ゛ちさかるんうゆのけら、ふねねん゛、けけうめやはあと。
よな、めひう゜ひにほすらぬぜひやとに、むねうさすのも。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
「う~ん‥‥やっぱり分からないな~‥‥」
翌日、長屋に戻った海斗は、縁側で腕を組んだまま、暗号メモと、じぃ~っとにらめっこしていた。
「はぁ‥もうだめだ、分からない‥‥!」
お手上げ状態で、座布団の上に両手、両足を投げ出す海斗。そして、メモを顔の前に持ってくると、ぴんっとそれを指で弾き飛ばして、
「めーちゃんを返せよ‥バーカッ‥‥」
ぐっと唇を噛み締め、ぐっと目の上で片手を握り締めた。
「‥いつまでも頼ってばかりじゃダメだっ‥‥!」
何を思ったのか、その手を思いっきり、バンッと、縁側の床に叩きつけて勢い良く立ち上がる海斗。
「‥よっし!暗号解き続けるか‥!」
そう言い放ったときだった、先ほど指で弾き飛ばしたメモがなくなっていることに気がついた。
「‥っれ‥どこいったんだろ‥‥」
ふと視線を庭園にやると、一匹の白猫が、海斗が弾き飛ばしたメモをくわえている。
「‥‥っ!あ、あれは‥‥っ!」
海斗が驚いたのは、メモを猫がくわえていたからではなく、その白猫が──。
「ミ‥ミー‥助‥‥?ミー助‥‥?」
なんと、半年も前に死んだはずの、芽衣子が飼っていた猫にそっくりだったのだ。
他には無い、クリームがかった毛の色、まん丸の黒い目、耳の後ろの黒い毛、茶色の尻尾‥‥ミー助だ‥忘れるはずも無い‥‥。
その猫は、くるっと背を向けて、メモをくわえたまま、どこかへ行こうとしている。
「ま、待って!!ミー助っ!!」
あわてて海斗は、草履も履かずに、ミー助を追って駆け出した。
「ちょっ‥海斗‥‥!?」
「海斗さんっ!?」
それに気がついた蓮と鈴も、急いでその後を追う。
──今のは絶対ミー助だった‥‥!でも‥なんでミー助が‥‥?ミー助は‥半年前に死んじゃったはず‥‥!
やっとのことで追いつくと‥そこは‥‥。
「鈴ちゃんの‥家‥‥?」
鈴たちの家の大木の根元で、白猫は止まった。それを、じぃっと見てると、
ドンッ!!
「うわぁっ!」
「きゃぁっ!」
鈴の家から出てきた、二人の若い娘にぶつかってしまった。
「‥ってぇ‥頭ぶつけた‥‥」
「あ、ごめんなさい!大丈夫!?怪我してない!?頭ぶつけたでしょ?」
あわてて駆け寄ってくる娘たち。海斗は、いてて‥と後頭部をさすりながら、木を支えにして立ち上がった。
──‥いつもなら‥めーちゃんが‥‥。でも‥今は──。
芽衣子が傍に居た頃だったら、転んで足を擦り剥いただけで大泣きだった‥‥。だけど、めーちゃんはいない──。
「‥‥大丈夫です、気にしないでください」
痛くて泣きそうになるのを、ぐっとこらえて2人に微笑みかけた。
──僕がしっかりしないといけないんだ‥‥!
「あらあら‥すいませんねぇ‥‥大丈夫‥?海斗君?」
鈴の母親らしき女性が出てきて、海斗を心配してくる。それを見た若い娘たちは、
「すいません、先生。私たちがうっかりしていたもんで‥‥」
「あら、いいのよ。私に謝ることじゃないわ」
──ん‥‥?
そのやりとりの、ある言葉が、海斗の耳に入り、彼の心中に、ちらっと白い光を灯す。
──‥今‥先生って‥‥。
「じゃあね──」
娘が去ったあと、海斗は思い切って、気になっていたことを尋ねてみた。
「あ、あの!先生って‥何かしてらっしゃるんですか?」
「あぁ、そのことね。私は、あの子たちも含めて、踊りを教えているの」
「踊り??」
「そう、だから、あの子たちは踊り子なのよ」
──‥踊り子って‥‥っ!
あの暗号に書いてあった言葉の一つだった。
「じゃあ、鈴ちゃんも‥娘さんも踊り子をしてるんですかっ?」
「そうよ?最近始めたばかりなんだけどね」
──‥で、でも待てよ?ひょっとしたら、思い違いってこともあるかもしれない‥‥。一応だけど‥確かめてみよう!
「こんなこと聞くの、失礼かもしれませんが──」
海斗が、遠慮がちに話を切り出す。
「鏡音さんって、この国の人ですか?気に障ったらすいません」
いやにかしこまった言い方に、母親は、
「くすっ‥‥。そんなにかしこまらなくていいのよ?‥‥夫の家の家系はね、祖父が、海のずーっと向こうにある国の人なの」
興味深そうに彼女の話を聞いている海斗。
「だから髪の色も違うの。だけど、私はこの国の人間だから、名字が『鏡音』っていう、和名になっている、それだけよ」
──‥やっぱり‥鈴ちゃんたちは外国の家系の人なんだ‥‥。
鈴の母親に一言断ってその場を離れた海斗。そして、木の根元に腰掛けて、聞いたこと全てを整理し始めた。
──ん‥‥?異国‥踊り子‥少女‥‥音‥‥。
「海斗君?どうしたの?いきなり走り出したりして‥お父さん、びっくりしてたよ‥?」
──鈴ちゃんの名字は、『鏡音』、母親は踊り子の先生、父親方の家系には異国の人‥‥。
そこまで考えて、はっとして、縁の下いる白猫を見た海斗。
──踊り子‥異国から来た‥少女‥音‥鏡音‥‥この条件が当てはまるのは‥‥。
「ねぇ、どうしたっていうの?返事ぐらいしてよ」
──‥そういうことか‥‥!
海斗は、突然、鈴の両肩を、がっと掴むと、
「り、鈴ちゃんっ!!」
「ふ、ふぇっ!?」
鈴は、いきなり真剣な目で見つめられたもんだから、大パニック状態。その隣で、蓮も驚いて、鈴と海斗の顔を順番に見ている。
何を言い出すのかと思いきや、
「君が、一番気に入っている宝物ってある!?」
「えっ!あ、あるけど‥‥?」
「じゃあ、それ、僕に見せて!今、どうしても必要なんだ!!」
2言目だけ見たら、自分が言われてなくても、ドキッとしてしまいそうな一言である。
思わず視線をそらす鈴。
「え‥えーっと‥‥その‥いいけど‥‥」
──‥こ‥こいつ‥真っ直ぐな目で姉ちゃんに何を言ってんだ‥‥。
蓮がそうあきれている横で、
「ありがとう、早速だけど、見せてくれる?」
「あ‥うん‥‥」
一生懸命な海斗を見た蓮は、それを流し目で見ながら、
──‥ったく‥‥一体、何を思いついんだかよく知らねぇけどよ‥‥。
「じゃあ、縁側から上がって。そっちからが近いから」
「うん、ありがとうね。‥っと‥こっちか」
──‥あいつ‥大事なやつのために一生懸命なとき‥あんなに真っ直ぐな目をするんだな‥‥。
「こら、野良、暗号返せ」
足元に寄ってきたさっきの白猫に、蓮がそう言うと、猫は、
「にゃぁ‥‥」
と鳴いて、暗号のメモを置くと、スタスタとどこかへ行ってしまった。チリンチリンと、首輪についてる鈴が鳴る。
──どっかで見たことあんだよな~‥あの猫‥‥。
蓮がそう思った頃には、白猫の姿は、もうどこにもなかった‥‥。
おまけ:
「れーん!!早くしないと閉め出すよー!!」
「おわっ!バカ!この時期に外に閉め出すんじゃねぇよ!さみぃったらありゃしねぇんだからっ!!」
「じゃあ、はよ入れ!バカレン!」
「青髪の天ボケ野郎と一緒にすんな!今行くから閉めるな!」
あわてて、縁側から入ろうとして、蓮が転んで、さらに、それが鈴に笑われたのもいうまでもない。
「ドジれん、ヘタレン」
「ドジはいいとして、ヘタレンってなんだ、ヘタレンって!!」
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は!、続き、拝読させて頂きました!
ミー助、何となく”何でメモを加えて逃げた”のか、わかりました。ということは、ミー助がどういう関係の存在なのか、そろそろ絞れてきた感じです。
そして、メモの”ヒント”が出てきましたね。もう一度、メモの内容を見直して、考えてみようと思います。
ではでは~♪
2010/04/07 21:17:08
愛夢☆ソライト
>enarinさん
ご拝読ありがとうございます!
ここで、海斗君が積極的に行動してくれたおかげで、ヒントがいくつかでてきました!?ミー助?という猫の存在のことについても、蓮君は何か知っているようです(・ω・)
さて、いよいよ名探偵海斗君が動き始めました!真相はいかに?まだまだ迷宮入りしそうな感じですが、長々とお付き合いください♪
2010/04/08 08:45:25