「ひとつめのナゾは…」
僕はピアノの脇にいる君のほうを振り向きつつ左手の人差し指を立てる。
「何故彼がひとりの部屋で、毒入りのワインを飲まなければいけなかったのか?」
君は黙っている。僕はそれをいいことに話を先へと進める。
「理由は簡単。彼はあの時死ぬべき宿命と決まっていたのだから。」
僕のこのなんとも肩すかしな回答にも反応することもなく、やや下を向き何かを考えているような風に見える。そこで僕は語りかけるように口調を変更する。
「さぁ、犯人はだあれ?君は答えを知ってるね。だって君の目の前で全て起こったのだから。」
少女はその言葉に僅かに目線を上げる。しかし、自ら口を開こうとはしない。
なに?当たり前だろうって…なぜそう思うの?なるほど、確かに犯人は僕なんだから彼女には犯人なんて分かるはずがないと…確かに彼女が普通の人ならね。でも、僕に自己紹介したときなんという偶然か、彼女も探偵をしていると答えたのだ。たぶん僕が犯人って事ぐらい直ぐに分かっただろう。え?それならよけい言えないじゃないかと…あはは、確かにそうかもね。でも、彼女に言ってもらわなきゃ意味が無いんだ。彼女に思い出してもらわなきゃ…でも、ま、しょっぱなからってのもきついかな。僕はニヤリと笑う。
「君が答えを言わずとも、ぼくが教えてあげよう。この事件の終わりを。」
間髪入れずに僕は指を一本増やす。
「ふたつめのナゾは彼らが海へ落ちたわけ。本当に彼らの中に犯人がいたのか?」
僕はそこで眉をひそめる。君の手がポケットの中で何かを握ったのを確認したからだ。なるほどそう来たか…実力行使というわけだ。僕はあまりこういうのは好きじゃないけど、君が仕掛けてきたら仕方ないな…
ここで僕の心の中にみっつめのナゾが浮かんだ。あの時、あのテラスで、海風が君の髪を撫でていたとき…君は何を思っていたのだろうか。
君がすばやくナイフを取り出し、僕に突き立てる。僕はそれをコートの右腕の部分で叩き落す。衝撃で僕のコートが脱げ片腕の無い僕の姿が露になる。君は一瞬息を呑むが、直ぐに冷静な表情になる。逆にこれには僕の方が動揺してしまった。遠心力を使ってナイフを叩き落とすまでは良かったのだが、この片腕の欠けた情けない姿を君に見せるつもりなんてサラサラ無かったのだ。
しばらくの沈黙…
先に口を開いたのは僕だった。
「さ、さぁ、犯人はだあれ?ほら、君の直ぐ目の前にいる。その名前をさあ言ってごらん。この僕の名前を。」
僕はつまずきながらも、当初はもっと後で言うはずだった台詞をここに持ってくる。本当は腕のことを君に知られるつもりは無かったから…
「本当は君に知られたくは無かった。せめてもの情けだ、逃げるなら今だ早く…」
僕はあくまでも強がってそう言ってみる。コートが脱げたことで、場の主導権を僕は完全に失った。でも心のどこかではまだ君に名前を呼んで欲しいと思っている。
call my name
でも、もう駄目だ。君は僕を受け入れないだろう。僕は小袋を1つ空にして、中身を飲み干す。即効性は無いが僕の持っているもう1つの毒薬…
「答えがひとつとは限らない。それを確認する術ももうじき消えてなくなる。ほら君のすぐ目の前にいるその名前をさあ言ってごらん。この僕の名前を。」
episode2 fin...
犯人の物語―episode2 ナゾトキ③―
ひなた春花さん(http://piapro.jp/haruhana)の名作ナゾトキ(http://piapro.jp/t/1XmV)を小説にさせて頂きました。
なんか、弱音吐いてすみません。とりあえずナゾトキ編は以上です。かなり端折ったけど…
うん、これも味だ(笑泣)
続きはこちら(http://piapro.jp/t/oUJt)
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jah hun mu...
lel twa sjah lenti
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天命を施し
実るまで幾許か
共生 未だ拙い
幼子をあやす日々
そうか 喜べ 皆
災厄と成り 試そう
光 噛ミ足リナイ ダリア抱キ
間違イ 神亡キ街 錆ビタ地下 遺体...燭
wotaku
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