急にふわり地面が消えるような
そのまま身体ごと奪われそうな
空を飛ぶ感覚はまだ慣れない
体は地面にいた頃を忘れない
風に馴染んだ頃には幾つかな
自嘲気味に笑みがこぼれる
魔法でもない科学でもない
解明出来ない力で私は
今日も空を舞っている
いつ終わるかも知らないで
脳天気な大人たちが決めた
空を飛べる子どもが現れて
整備がいるか免許がいるか
飛べない人が決めるの変だな
自転車よりも簡単ですぐに
浮かぶのは難しくなかった
着地の方が難易度が高くて
上手く出来る子に憧れたっけ
自分でもない他人でもない
与えられた力で私は
今日も空へ遊んでいく
どこまでが空かも知らないで
無責任な大人たちが決めた
宙を舞う子どもが現れて
登録がいるか届出がいるか
飛べなくても決めるの変だな
ある日帰らない子どもがいた
それはどんどん増えていって
飛ぶことは禁止になったけど
それを誰も止められなかった
誰かが「空になった」って言った
誰かが「星になった」って言った
大人たちは大騒ぎしてるけど
飛べなければ意味はなかった
最後のひとりが閉じ込められて
どこにも行けないようにされて
その牢獄ごと宙に浮いて
ひび割れた隙間から逃げ出して
地上に子どもはいなくなった
全部全部空に飛んでった
むかし偉い学者の先生が
洞窟の奥で見た絵と同じ
最後のひとりが消える間際に
呟いた「どうして?」寂しそうに
こうべを垂れて音も無く消えて
その理由は今も分からない
ところで君は空を飛んでみたい?
それとも「飛べない大人」になる?
世界で一番の愚問だろうね
答えを待たずに迎えに行くよ
答えを持たずに迎えに行くよ
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