もう昇っていく 力など無いわ
次 瞳を開く時は きっと
私は一本の尾鰭で這い
違う呼吸を覚えているわ
私が そうなってしまう前に
淡い光より 碇を垂らして
覚悟があるのなら ここまで来て
あなたが 落ちてきてしまっても
必ず この手で 受け止めるから
両手を解いたまま 願っている
自問の声の中 祈っている
昇っていくのは期待だけ
淀む水底に届く光
今は追憶と 眺めている
もう会えないと思うと 此処は寒いわ
でも もし再開があるとしたら
記憶の私を どれだけ残せる?
どうせ真似事よ 今も昔も
いつか見たわ 此処へ潜る前に
暖かな陽射しに触れた
固く閉ざした蕾のように
違う陽射しの中で触れたら
手を伸ばして 本当の私で
密かに願いとは逆を祈り
音の無い声で 叫んでいる
人知れず沈んだ あの日を
淀む水底で 胸が溢れる
ありふれた涙は 海に消える
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