!WARNING!
□男マスター、KAITO、AKAITO、NIGAITO、帯人が出てきます。
■兄さんずはねんどろいど的な小さいやつをイメージしています。
上記を見ておk、ばっちこい!って方はお進みください。
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
◇月▽日
暑い…暑すぎる!
暑いと何かと苛々するからこの季節は好きじゃない。
仕事が終わり、鞄を手に家路についた俺は駅からちび共の待つ家へと足を急がせているわけだが。
コンクリートの照り返しが暑いのなんの。
歩く度に体力が奪われていくのが分かるような気がする。いや、きっと気のせいではないな、うん。
そんなに遠いわけではない数百メートルの距離がものすごく長く感じる。
ああ、早く帰りたい。
最近ちび共といる時間が自分の癒しの時間だと言っても過言ではないのだ。
帰るのが楽しみでならない。
そう思えるほど、俺はちび共のことが好きらしい。
長く感じた道のりがようやく終わり、我が家へとたどり着いた。
一息つくと、玄関の扉に手を掛けた。がちゃりと音を立てて開ける。
屋内のひんやりとした空気に包まれて心地いい。
だが、そう感じたのも束の間だった。
「ただいまー…、うおっ!っと、」
何かが俺に飛びついてきた。
仕事帰りで抱えていた鞄を下に落としてしまったが、飛びついてきた物体を反射的に抱きとめる。
腕の中には紫ががった黒い髪、包帯が腕や頭に巻かれて、背中には小さなアイスピックらしきものを携えた……カイト?
「お、おかえりなさいマスタぁー」
「くっ、帯人このやろう…!」
「痛い、…」
見慣れたちび共がぞろぞろと玄関にやってくる。
みんな引っかかれたような傷を負っている。ニガイトにいたっては既に泣きそうだ。
見慣れた三人がそこにいる。それじゃあ、こいつは?
「…おかえりなさい、マスター」
そう言っていい笑顔を見せたそいつは眼帯までしていてなんだか痛々しさを覚える。
「た、…ただい、ま…?」
何がなんだか分からなかったが返事を返すと、本当に嬉しそうに笑う。
こんな展開は今までになかったが、背丈や外見からしてカイトの亜種であろうことは目に見えていた。
性格はそれぞれに違うが、こいつは一癖も二癖もありそうだ。
このアイスピックを携えた紫を降ろそうとしたが全力で抵抗された。
…俺から離れるつもりはないらしい。
「…お前、名前は?」
「帯人です、マスター」
帯人というその紫は可愛らしい笑顔で名乗った。
それを見ていたアカイトがキッと睨み付けた。
「帯人てめぇ!マスターから離れやがれ!」
「嫌だよ、……マスターは俺のだ」
先ほどの笑顔からは想像できないような表情で睨み付けると低く鋭い声で言う。
二人の間にバチバチと散る火花が見える。…ような気がする。
っていうか、俺は俺のだぞちび共。
カイト、ニガイトは既に蚊帳の外だ。ニガイトはカイトの服の裾を握りその様子を涙目ながらもじっと眺め、カイトは呆れたような視線を送るが当の二人は気付いていない。
これ以上は収拾がつかなくなりそうだ。
とにかく、傷だらけの三人に治療をしてやらないと。
「そこまでだアカイト。帯人も。ほら、ニガイトが泣きそうだろ?」
俺はしゃがみこみニガイトと視線を合わせる。
涙目だったニガイトは慌てて裾で目を擦ると「ぼく、泣かないですよ」と言った。
こいつはなかなか我慢強いらしいな。見所があるじゃないか。
アカイトは小さく舌打ちをすると足早にリビングへと向かって行った。
がしがしと苦いとの緑色の髪を撫でてやると帯人を降ろして、落としてしまった鞄を抱き上げると三人をリビングへ連れていく。
各々をソファに座らせてやると救急箱を持ち出し、引っかかれた傷のある三人の手当てをしていく。
「痛かったら言えよカイト」
「大丈夫ですよマスター」
傷薬が染みるだろうに気丈に笑顔で振舞うカイト。
俺を困らせないためか。ん、いい子だ。
ふと何故こんな傷が?という疑問が過ぎる。
俺はガーゼを当てて包帯をくるくると巻きながら首を傾げた。
「しかしこの傷、一体どうしたんだ?」
「帯人のやろうにやられたんだ。こいつ、いきなり現れて攻撃仕掛けてきやがって…」
アカイトがぶつぶつと文句を漏らす。どこか拗ねたような言い方でよしよしと撫でてやりたくなったが、今は我慢だ俺。
カイトの包帯を巻き終わり、アカイトの手当てを始めながら帯人に問いかけた。
「本当なのか、帯人?」
「…俺はマスターに会いに来たんです。でもいなかったから…こいつらが隠してるのかと思って、つい」
「つい、でこんなことされたらぼくたちの身が持たないよ…」
ニガイトが苦笑を漏らす。
帯人の性格を知っているためか咎めるようなことは言わない。
こいつなりの優しさなのか。
「まぁ、とにかく。俺に会いに来てくれた点についてはようこそだ。だが、いきなりこんなことをするのはいただけないな?」
「…すみません」
「ん。素直でよろしい」
素直に謝った帯人を見てにっと笑いかけてやると表情が少しだけ柔らかくなったような気がした。
「マスター、いてぇ」
「お、悪い悪い。ちょっとだけ我慢な」
帯人に気をとられていたらアカイトの包帯を強く巻きすぎていたようだ。すまんなアカイト。
…さて、無事に三人分の手当ても終わり、キッチンで夕飯を作っているとき。
亜種、は兄弟みたいなもんだよな?あいつらは何も言わなくてもきっと上手くやってくれるだろう。
俺はそんなことを思う。
ふと妙に静かなちび共が気になりリビングを覗いてみた。
なんと、帯人が昼寝をしている他の三人にタオルケットをかけてやっているじゃないか。
なるほど、こいつは誉めてやらないと。
「…帯人」
呼びかけるとびくりと震える小さな肩。
振り向くと少しだけ沈んだような帯人の表情。
「こいよ」と腕を広げるとすぐに駆け寄ってきて抱きついた。
「タオルケットかけてくれたんだな。ありがとう、帯人」
「…三人、本当は傷、すごく痛いと思います。俺、手加減無しでやったから」
「…うん」
「…あいつらは、俺のことを家族と認めてくれるでしょうか?」
そんなことを漏らす帯人。
…こいつ、案外馬鹿なのかもな。いや、知らないだけだ。教えてやらないとな。
「カイトとカイトの亜種は俺の家族だ。カイトの亜種はあいつらの兄弟だ。…あいつらだって認めてるよ、お前が家族だって」
そう言いつつ紫ががった黒い髪を撫でてやる。
顔を上げた帯人は泣きそうに表情を歪める。
それを隠すかのように俺の胸元に顔を埋めた。
新しく増えたもう一人の家族。
うちはまだまだ騒がしくなりそうだ。
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ご意見・ご感想
ヘルケロ
ご意見・ご感想
ヘルフィヨトルです。
ようやく旅行から帰ってきました。
霖祢さんの作品はいいですね^^
好きです。
このほのぼのさがたまらない^^
読んでて疲れないですし、何か恐い事件があるのかと身構える必要もないですし。
気楽に読めて楽しいです
続編、楽しみにしています^^
2009/08/16 07:25:03