餞
夢が終わる時
道に三輪咲いた彼岸花
貴方に似合っていると
ふと思ったから
夕立がとてもとても良く似合う女の子
雨合羽着た
袖を振って飛沫く
雨と君が同化してゆく
「薄く薄く翳ってゆくのだろう」と
投げ掛けた言葉
掻き消した雷鳴思い出す
夢が終わる時
庭に気高く咲いた金木犀
貴方に似合うと
君がふっと溢したから
秋晴れに深く深く色付く木々が映えている
風が吹いて
町がふっと香る事を喜び寂しがる
いつもいつも君の言う事を聞けば
正しくあれたから
その通り進んで行くだけ
冷え込んでゆく気温
冷めた君の手が
震えているのを見た
それは本当に寒さのせいか?
何故か日々がふと恐ろしくなるのは
僕らが期限付きだから
花束がとてもとても良く似合う女の子
寒空の下
未知の一歩踏み出す時に
君のように震えたんだ
出会い別れ
いつでも起こりうるからさ
その全ての事が
夢のような景色だといいな
そう願うよ
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