注意 リンレンが双子ではないです。年齢が変わってる人居ます。名前が漢字です。
昼食の時間、私は鞄の中からオレンジ色のナプキンに包まれたお弁当を取り出す。
「ふふふ、お母さんいつも分かってる……」
ナプキンの上から弁当箱の上に置いてある丸い物をなぞるように私は触る。
「倫ちゃん、お弁当一緒に食べよ」
美紅が細長い形のお弁当を抱きかかえながらこちらにやって来る。
隣りには芽衣子がコンビニの袋を振り回しながら、何か良い事あったのだろうかニコニコ笑っている。
「勿論!」
二人はさっさと椅子を私の机のに寄せてどっかりと座る。
そして、美紅はお弁当箱を、芽衣子はパンの袋を開ける。
美紅のお弁当はいつも通り野菜ばかりの緑の弁当(グリーンランチ)で、餓死をしないか心配になる物で、芽衣子は今日はカレーパンで、辺りにカレーの良い匂いが充満する。
私はオレンジ色のナプキンを解き、あのいとおしき可愛いオレンジ色の小さな丸い形の果物の姿を……あれ?
お弁当箱の上のちょこんと置かれている果物は、いとおしき可愛いオレンジ色の小さな丸い形の果物ではなく、鮮やかな黄色の小さな楕円型の果物……
「なんで檸檬なんだよー!」
私は天と、家で寝転がって昼ドラを見ているであろう母に向かって叫ぶ。
何故か弁当箱の上には大好きな甘い蜜柑では無く、そのままの姿では好まれない酸っぱい檸檬……
教室中の視線が私に集まった。
しかしそんなの構わず、私は机の上に突っ伏す。
「蜜柑!蜜柑が無い……蜜柑が無いと死んじゃう……」
「そんな大げさな!」
美紅がビックリして飛び上がる。
誰か……誰か……私に蜜柑……を……
「鏡音さん」
息絶える寸前、何者かが私の背中を叩く。
振り向くと、そこには後ろの席の鏡音練が立っていた。
「鏡音君?……何か用?」
鏡音練と私は苗字がたまたま一緒なだけの、何の接点も無い関係なので、突然話し掛けられて私は少しだけ驚いた。
「……これ」
差し出された鏡音練の左手にはある物が置かれていた。
いとおしき可愛いオレンジ色の小さな丸い形の果物……
「蜜柑!」
「……やるよ」
すぐにそれを受け取り、その輝かしい姿をうっとりと見つめた後、
「有難う鏡音君!」
私の中での世界最大の感謝をした。
鏡音練は「別に……」と素っ気無く言った後、左手をまた私に差し出して、
「檸檬くれない?」
「え?」
予想外すぎる言葉に私は口をあんぐりと開ける。
美紅と芽衣子は笑いを必死に堪えていた。
「檸檬って……鏡音君は檸檬でどうするの?」
「食う」
「食うって……檸檬ってめちゃくちゃ酸っぱいよ?」
「構わない」
余りにも冷静で淡々としているので私は笑う事が出来ず、驚くしか出来なかった。
しかしながらも彼は命の恩人であったので、私は大人しく彼に檸檬をあげた。
「有難う」
そう言って鏡音練は海斗達の元へ戻って行った。
「アイツは何者だ……」
思わず私はそう呟くと、美紅は「そうだね、格好良いのにね……」芽衣子は「私、授業以外でアイツの喋ってる所始めて見た」と呟く。
とにかくお昼食べないと……と、お弁当箱を開こうとした途端、海斗と学歩のうわぁ!止めろぉ!止めるんだ!と言う声が教室中に響く。
何だと思って見てみると、何という事だ……鏡音練が檸檬を齧っているではないか。
「練!そんな自殺行為止めろ!」
「頼む!頼むから止めてくれ!見てるこっちが酸っぱいんだ!檸檬なんかアイスで十分だろ!」
二人が止めるのを無視して、彼は檸檬を齧って噛んで飲み込み続ける。
彼は檸檬の酸味に顔を歪めたりせず、いつも通りの無表情で檸檬を食べ続けている。
「檸檬好き過ぎだろ……」
思わず私は呟いた。
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