#11「演技と誠意」



私とグミは被服部の部室にやってきた

……全校生徒が登校するまで、まだ時間はかなりある

グミは黙って、私についてきた


私は部室でのいつもの窓のそばに立つ

グミはいつも通りの椅子に座る……


「で?うまくいったの?」


話を切り出したのは私

グミのあの様子からすると、いずれは聞かないといけないのだ……ならばと、自分から聞く

この問いに対する答えは知っているし、全く意味のない質問

けど、知らないフリをしないといけない


グミはもじもじと、そして、幸せそうに笑いながら私を見た


「……そっか。よかったじゃん」


私は必死に演技する

自分の中ではあまり演技できている気がしない


「えへへ……リンちゃんは凄いなぁ。私が言わなくても、ちゃんとわかってくれてる」


そういって、とてもかわいくグミは笑った

そりゃ……ねぇ……見てましたから


「あ……それと……一つあやまらないといけないことがあって……先週、リンちゃんにあげるって言ってた【手袋】なんだけど……」


グミが申し訳なさそうに私を見る

私は驚いた……アイツに口止めしていたくせに、まさか自分からその話題をいうとは……

さぁ……どんな言いわけだろうか?

作るの飽きた? どこかに失くした? 失敗しちゃった?

いずれにしても、しっかりもののグミがやりそうなことではない



「ごめんなさい!!」


勢いよく頭を下げたグミに、私はあっけをとられる


「実はあの手袋……レン君にあげちゃったの!」


そして、真相を言ったことで、私の中でさらに驚きが増す


「ど……どうして?」

「本当にごめん!雪も降ってきて、必要だったの!……リンちゃんの分も、今、一生懸命作ってるから!今度こそは、絶対にリンちゃんにあげるから!」


私のどうしては、そういう意味ではなかったのだが……

正直に真相をいい、あまりに必死に謝るグミに、私の中のグミの裏切りに対しての憎悪の火が静かになっていくのがわかる


「……ふふっ、もういいよ。頭をあげて?」

「え?でも……私、約束破って……」


グミが肩を縮めておびえ気味に言った


「必要だったんでしょ?それにあれはグミがつくったもの……誰にあげるかは、グミの勝手だよ」


私はグミを許そうと思う……

正直にいって、誠心誠意謝っているのだから、これ以上、彼女を苦しめる必要はない


「……うん……ありがとう。やっぱり、リンちゃんって優しい」


そういってグミが、私の好きな笑顔で笑ってくれる

それだけで十分だった

私はつい照れくさくなって、窓の外をみた

ぽつぽつと登校してくる生徒が眼下に見える

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

私とアイツとあの子 #11

グミちゃんのまっすぐさは、いいところであり、悪いところだと思うww

実はこの先、#11と#12は、くっついていたんですけど
#12が消えてしまったので、書き直し…

閲覧数:216

投稿日:2014/01/28 20:38:40

文字数:1,137文字

カテゴリ:小説

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  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    ああああ……
    グミちゃん……
    レン君も大概の罪な男ですが、グミちゃんのほうが罪な奴なような気がしてきた……

    2014/01/29 19:33:51

    • しるる

      しるる

      リンちゃんは、グミちゃんには甘いですからねww

      まっすぐすぎると、誰かとは必ずぶつかるようにできている世の中

      2014/01/31 19:51:51

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