青い空を超えたら何がある?
青い空の向こうにはそのまた美しい青があるんだ
これは寒い寒い北の国に生まれて
初めて夜空を飛んだ少年の話


どこまでも続く地と空
都市光もここへは届かない
暗い空に燃える宝石を
僕はずっと飽きずに眺めていた

空を走る飛行機雲
工具片手に辿った軌跡
舞い踊る銀翼に惹かれ
気が付けば僕もまた青空にいた

飛び疲れて夜風に休んだ丘
ふと、過(よ)ぎる赤
彗星が尾を引いて落ちていく
やんちゃな少年は六角レンチを放り出し
くらくら燃えそうな
あの蒼い宇宙に恋をしたんだ!

見上げれば見上げるほど、届かぬ指と膨らむ夢想
叶うなら翼得て 金星(ヴィーナス)にそっとキスしたい
メーデー、メーデー、今日はお祭り日和
金剛(アルマス)を並べた北の七つ星が綺麗


やがて一人“街”へ行った
星空がとても綺麗だった
寄りぬかれたは二十の同志
束の間の春に未来語り笑った

残ったのはたった二人
共に小さな金のタマゴ
暁を目指す舟の主は
「大地」という名を持つ僕を拾った

足元の地面が揺らいで抜けそう
拍手、「おめでとう」
渡された服は彗星の色
やんちゃな少年は金の大鷲に見初められ
くらくら夢見てた
あの蒼い宇宙へ飛び発つんだ!

ガイアの勇士よ、いざ行かん 至高の財宝眠る海へ
月には花の代わりに 緑の杉の枝をあげよう
メーデー、メーデー、何たる穀雨(ユーリイ)の日
夢を叶えることがこんなに嬉しいなんて


タマゴの僕は運ばれた
いよいよ待ちわびたフライトだ
不安に震える周りよそに
鋼のベッドで高いびき

出発の朝が来た
夕日みたいな金色の朝日
プロパガンダも赤い顔で上機嫌、
まあ、別に意に介しちゃいないけどね

ミサイルに押し込まれ覗く空
歌、揺れるクマ
ノイズは震え風向きを告げる
大丈夫、僕の心臓はまだ動いているよ
三度鼓動が刻まれ
さあついに憧れへと飛び発つ!

“поехали!”

殻を破り、永遠(とわ)の夜空舞う 杉の舟は東へ暁追い
遥か頭上、はっとして見上げるのは薄青い光輪
メーデー、メーデー、君よ聞いているか
・・・一番美しいものはすぐ側にいたんだよ


星が僕を見ている
あまりにも深くて、囚われてしまいそう


くるくる回る視界から
放たれて感じたのは途方もない重力だ
卑小の身がお前を愛した代償なのか
ああ、僕は今や束縛の檻の中

赤い流星(ほし)眺めてももう泣くだけだね
「所詮、夢だったのさ」
籠の外で笑われたけれど
やんちゃな少年はいつまでも少年のままだ
名前通り地に還る運命(さだめ)でも
もう一度、あの青に会いたい

春暁に杉の枝は茂り 雪解けて鳥は飛び発つ頃
神も人もいらない、僕はもっと大きなものを見た
叶うならその御胸に再び抱かれたい
これを恋と呼ばずしてなんと呼ぶ!?

ガイアは自由の翼を得て 心と体今音速を超える
重力の鳥籠脱し、空で愛しいお前を見るよ
メーデー、メーデー、さあ行くぞ、待っていろよ!
流星が青い地平超えていく


糸杉は燃えたか、星は輝いているか
今僕は青い丘であの岩に触れて立っている
くらくら燃える彗星(ほし)と蒼い宇宙眺める
五十二回目の春が来るよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

Boy meets the earth

――――少年は宇宙に恋をした。

「地球は青かった」、有名なある宇宙飛行士のお話。そして彼に憧れるあなたや私のお話。
思えば宇宙開発はたった五十年でよくもここまで進歩したものです。20億キロ先の小惑星に行って、探査機が帰ってこられるんだもの。
しかしやはり私たちが住むところはこの惑星しかないのですね。

宇宙開発はしばしば無駄だと言われます。彼の時代からずいぶん経ちましたが、いまだに事故は絶えません。それでも人類が宇宙に対して憧れ続けるのは、多分彼も見たであろう途方もない魅力がそこにあるから。そして自分の故郷がこんなにも美しく、そこに抱かれていた自分は幸せだったのだと感じたいからだと思います。

ああ、宇宙行きたい。

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投稿日:2013/07/28 22:38:22

文字数:1,325文字

カテゴリ:歌詞

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