第十話 ―少年少女―
「色々ありがとうございました!」
メイコが代表して頭を下げる。
ミクはいつも「代表はメイコさんなんだなー」と思いつつその姿を見ていた。
「本当にありがとうございました!!私どれだけ感謝しても足りないくらいです!!本当に、本当に本当にありがとうございました!!」
ルカが頭を下げたまま上げない。
「い、いえ、私たちは何もしておりませんので…。ピコが若干パs…いえ、何でもありません。泊まっていただいているので、私たちが感謝する側ですよ」
「いえ、いろんなことでご迷惑をおかけして…。やっと…、やっとユリに会えるんだわ…!」
「良かったですね」
ピコがほほえましいものを見るような目でルカを見た。
「ずっと楽しみにしてたもんな。待ったかいがあったんじゃないか?」
「えぇ。カイトさんにそのセリフ言われたくないですけど」
「どういう意味だよ」
「いえ、気にしないで?(ハルさんは待っても離れていくわよ?)」
7人は旅館をあとにした。
目的地があるのは初めてではなかろうか。
「新鮮だな。目的地に向かうなんてさ」
「レン、お前おつかいにも行ったことないのか」
「いや、それはあるけど。今までの旅で目的地を定めたことないじゃないか」
「確かにそうだね。あたし、普段の生活でもあんまり定めないや」
(リン…・よくそんなんでやってこれたな。しかもいつも一緒にいてそんなの気づかなかったよ!?)
「リンちゃんそれは…。そのうち行ったきりになっちゃうよ?」
「ミク姉もじゃないの?」
「いやいや…。んな訳ないし……」
「私はそもそもがありませんね」
「ハルはそうね。私もほとんど遊郭に籠ってたようなもんだし…」
皆が新鮮さを実感している中、ルカだけが一人になっているのをリンは見つけた。
「ルカさん?どうしたの?」
「いえ…。昨日、ピコ君が『姉さんにやたらベタベタしてきた人ですよ!』って言ってたじゃない?それが心配で心配で…」
「あー…(てか、ピコさんのマネうますぎだろ!!)」
「数年合わないうちにどんな子になってしまったのか、心配で昨日眠れなかったのよ」
「大丈夫ですか?寝不足とか」
「大丈夫よ。私割と寝なくても大丈夫な人だから」
「そうですか」
リンはふと、明治人形が目に入った。
「おい、リン。どうした?」
「え、あ?ああ。ちょっとこの人形が気になって…」
「リンちゃんの格好にそっくりじゃない!かわいいね」
「ホントですね。まるでリンちゃんをモデルにしたみたい」
「そうですよ」
「「「「「「「え?」」」」」」
7人の視線の先には赤いツインテールを縦巻きにしたような髪型の洋服を着た女性が立っていた。
「珍しいですね、洋服なんて」
カイトが女性の服に視線を向ける。
「あの、カイトさん。勘違いされそうなのでやめた方が…」
「何を言っているんだい?ハルちゃん。僕はハルちゃん一筋に決まっt…「いえ、そうではなくてですね」
「また始まっちゃったよ…」
ミクが施しようのないというような顔を向けている。
「言わなくなったら異常よ、異常」
「メイコさん、結構言いますね」
「え?ルカもお相子ぐらいじゃなくて?」
「そういえば、カイトさんは昔からこうなんですか?」
リンは『困っているハルに詰め寄るカイトを見て呆れているミク』を指差した。
「んー…、幼馴染の私から言わせてもらうと…。ハルの位置は昔は私だった」
「え!?でも、メイコさんとハルさんって全然タイプ違うじゃん」
「リンちゃんもそう思う?」
「ルカもリンもそう考えるのね。私は一つ共通点があると思うのだけれど…」
「「「え?」」」
一気にメイコに視線が集中した。
「俺分かったかも」
「え?ホントに?教えて!」
「いや、分からないけどな」
「教えてくれるぐらいいいじゃない…」
「てか、そろそろハルさんの限界じゃないか?」
「「「あ…」」」
4人の視線の先には…。
「いい加減やめてあげたらどうなんですか?私は紳士的ではない人には人形を売りませんよ?」
「母さん、あんまり騒がないでくれよ。周りの人がじろじろ見るじゃないか」
「流湖(ルコ)は黙っていればいいのよ!全く…」
あれ?何か増えてるよ?
「すみません。こんなふざけた変態野郎で…。本当は、こっちの女の子がお店気になったみたいで。入ってもいいですか?もちろん、こいつは入れませんから」
ミクがリンを連れてきた。
「いえ、そちらの方もいいですよ。母さん、お客さんはこちらが選ぶもんじゃないんだぞ」
「まあそうだけど」
7人は(ちゃんとカイト含む)店の中へ入っていった。
店内には文化人形がずらりと並んでおり、どれも目を引くものばかりだ。
「かわいいー!!全部手作りですか?」
「そうですよ。少しルコにも手伝ってもらっていますが…」
リンが店内をはしゃぎまわっている。
「人形についている目って一体何でできているんですか?」
ハルがルコに尋ねる。
「ああ、ガラスですよ。近所のガラス工房でもらってくるんです」
「そうなんですか。綺麗ですね」
ハルはミクと人形を手に取ったりして見ている。
「にしても――。珍しいわね、文化人形を売る店なんて。経緯を知りたいわ」
メイコは冗談交じりで言ったつもりなのだろうが、ルコがふっと寂しそうな顔をしたのをルカは見逃さなかった。
次回に続きます。
コメント1
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ご意見・ご感想
しるる
ご意見・ご感想
赤いツインドリル!!
テトテトテトぉ!!
なんか、そこに反応しすぎてww←
あ~ゆ人形の目ってガラスなのか…知らんかったw
2012/07/17 22:23:15
june
大体の昔の人形の瞳はガラス製ですw
最初ツインドリルと書きそうになりましたが、さすがにww
公式設定はほぼ無視ですよwww
2012/07/17 22:33:52