僕が僕である必要性なんて
世界にはどうしたってなくって
それが遣る瀬無い日には
眠るために酒をあおった

赤錆びた左手首は
今ではもう勲章みたいに
掲げて見せても誰にも
賞賛なんてされなくて

愛してほしいって叫びを
具現化した血だまりが
更に人を遠ざけて
今では立派な一人上手だ
苦い薬を飲んだって
ただ生き続けるための道具で
幸せなんかじゃない
幸せなんかじゃない

割れた窓でしか見えない世界が
あるんだよって強がって
別に望んで出来た視界でもないと
強がりも摩耗して
いっそ君みたいになれたらって
曖昧な光を夢想して
そんな理想の『君』なんて
僕の世界にはどこにもいないのに



「あの頃は楽しかったな」なんて
都合よく思い浮かぶような
記憶すらないことに気づいた日には
薬と酒がよく進んだ

繁華街近くに
生まれて育ってきたはずなのに
そこいらにいる鼠や鴉のほうが
この街に詳しいんじゃないか

別に死にたいわけじゃないが
生きる理由も見つからなくて
そんなのあとからついてくるよと
他人のことなら背中を押せるのに
誰でもいいが僕の肩を
叩いてくれる人もいないから
思考は更に宵闇だ
救われやしない
救われやしない

好かれるのに理由が必要でも
無関心に理由なんてないよな
君のなかの景色に馴染んで
雑踏に紛れた世界の隅で
誰か助けてよって叫んだら
少しは僕を見てくれるかな
振り回した狂気に喚ばれるのは
きっと救いじゃなくて
好奇の目


「白線の内側にお下がりを」
流れた警報音を無視して
制止板を踏み越えたら
少なくとも透明ではなくなるか
浴びせられる舌打ちの数と
まるで拍手のようなシャッター音
どうしてこうなるまでという記事に
いのちの電話の番号掲げて
それが定型文みたいに
ただの定型文みたいに


僕が僕である必要性なんて
世界にはどうしたってなくて

助けてほしいという呟きは

雑踏に紛れて溶けていった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

衝動

助けてくれと遠回しに辛さを伝えても、「人それぞれ色々あるよ」と宥められそれで終わる。
「辛いのはあなただけじゃない」という言葉を飾る言葉は慰めのつもりだったのでしょうか。
私にはあの日、突き放されたようにしか感じなかったのだけれど。

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投稿日:2022/10/04 20:41:52

文字数:816文字

カテゴリ:歌詞

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