「めーちゃん、僕、リン連れてちょっと出掛けてくるねー？」
「分かった、レンは私が見ておくから」
「よろしくね」
「うん」
一人だけ目を覚ましてしまった娘を抱いて、どうやら彼は散歩に出掛けるようだ。
すやすやと眠る息子の寝顔を眺めながら、うちの旦那は気が利くわねなど思って、メイコは破顔する。
「ちょっ、リンちゃん、なんか今日テンション高いねあっ待って髪掴まないで痛い痛い痛い」
──寝起きのリンは、随分テンションが高いようで。
扉の向こうで、そんなカイトの声ときゃっきゃっと楽しそうな笑いが聞こえる。
それも次第に遠ざかっていき、辺りに残るはレンの寝息だけとなった。

「……そういえばあんた達、別々に行動するなんて初めてなんじゃない？」
頬をつつく。
レンは、ぱちりと目を開けた。
「……我が子ながらすごい起き方。ボタン押したら起きる人形か」
きょろ、と右。
きょろ、と左。
いつも側に居るはずの片割れを探して、レンは視線を彷徨わせた。
「ああ、リンならカイトと散歩よ、すぐ帰ってくるから」
──告げる母親を、ただじっと見つめて、そのうちに、寝返りを打った。
そのまま四肢で体を支えて、これは所謂ハイハイの体勢。
(──しまった！)
ばっと伸ばした手は、空を切った。
猛然と玄関へ向かう一人の赤ん坊。
「はやっ！ちょっ、まってーーっ」

大の大人が、結構本気で追い掛けているというのに何故だ。

数々の障害を難無く乗り越えて、レンは、玄関の戸をばん、と掌で叩いた。
振り返る。何かを要請する目。
言葉もなく、ただ、ばんばん、とその音だけが。
「っああーもう！分かったわよ！連れて行くわよ！行きたいんでしょ!?レンも！」
爛々と輝く目は無敵の武器だ。
ぐしゃぐしゃと頭を掻いて、メイコは盛大にため息をついた。
「双子だと、苦労も二倍って本当だわ……！」

ライセンス

【ばぶみね】てちてちを小説にしてみた【ぴこた】

音坂＠ついった

仲良くさせて頂いてるぴこたさんの絵を元ネタに＾＾
カイメイは兄ちゃん姉ちゃんも捨てがたかったんですが
夫婦で許可を頂いたので。ばぶばぶ鏡音可愛すぎる。
■タグありがとうございます(´ω`*)!!
ベビリンベビレン……！

投稿日：2010/05/16 13:57:26

文字数：778文字

カテゴリ：小説

コメント2
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ご意見・ご感想

お名前

wanita
ご意見・ご感想
苦労も二倍だけど、幸せも二倍かもしれませんね！全力で主張するレンが可愛すぎるｗｗｗ☆
いいもの読ませてもらいました^^）
2010/05/19 22:54:36
- 音坂＠ついった
  うわーんwanita様あーーー！最近全然コメントできてなくてすいませ…！
  相変わらずの素敵文に毎回感銘受けてます…！(ここでいうな)
  
  一言も発言しないばぶみねさん達ですが、自己主張は人一倍だと思いますw
  めーちゃんも、子供達を眺めながら結局幸せ満喫してればいいんですよ＾＾
  読んでくださってありがとうございますうう！」
  2010/05/20 22:42:00
ぴこた
ご意見・ご感想
おおおおおお！！！ばぶみねｗｗｗ！(*´ω｀*)
なるほどねｗｗそれでレンは全速力でハイハイしてたのかあｗ
やっぱ二人は２セットじゃなきゃだめだね(ノェ`*)笑
ありがとう！音先生(*´Д｀*)
2010/05/16 17:33:52
- 音坂＠ついった
  お目汚し大変失礼しました!!^^
  私が考える異常に早いハイハイのパターンはこれでしたよニヤニヤ。
  二人セットで昼寝の図とか考えて萌えて、片方が片方を探し回るというのにも萌えてで色々やったのだけれども……どうしてだろうか、うっすらギャグ臭がｗｗ
  こちらこそありがとうぴこた先生！
  楽しく書かせて頂きました(*´ω`*)
  2010/05/16 18:09:23