喉元を押しつぶされたように
何も出てこなくなって
口元にも何かが邪魔をして
言葉が吐き出せそうにない
左手は力なく震えるだけだから
開放弦しか弾けなくなった
チューニングなんてわからないのに
プラグ差し込むアンプも無いのに
いつか聞かせたかったメロディー
こんな風に伝えられるの待ってた?
拾ったボロボロのピックは今にも
割れて粉々になりそうだよ
肺が呼吸を上手くしてくれない
穴だらけの風船みたいに
おなかに力が入らなくてグラリ
何を届けたいかも忘れそう
右手の力振り絞って肩を通した
ストラップが首輪みたいに
カポタストなんて知らないのに
アーム押し込む力もないのに
いつか響かせたかった旋律
こんな感じで広げてくの待ってた?
歪んでギリギリ鳴るペグはもう
弦を引きちぎってしまいそう
練習する時間がなくても
鳴らせる自信がなくても
涙で楽譜が読めなくても
僕には開放弦しかない
スポットライトなんて無い
きっと誰にも届かない
聞かせる相手もいない
僕が受け止めるしかない
脳が思考を理解してくれない
手のひらがスポンジみたい
涙さえ受け止められずスカスカ
何を吐き出せば良いか教えて
立ってるだけでなんとか精一杯
重みで前へ倒れそうになる
ストロークなんて知らないのに
エフェクター踏む力もないのに
今も鳴り止まない音階
あんな感じに聴かせるの待ってた?
埃かぶってカビすら生えそうなギター
僕が代わりになれたら良いのに
自分の余りの不器用さに笑って
右腕の力が抜けたのならもう
涙を拭く必要も無いからほら
恥曝しみたいに掻き鳴らすよ
ピックが割れそうでも関係無い
切れそうな弦もどうだって良い
闇の中で涙で滲む視界で
響いたこのクズみたいな音が
僕の鼓動だ
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