ボクは、独りぼっち。
マスターは…居ない。本当は居たけど、ボクは、ボクは・・・・・・・・。
とりあえず、これまでの経緯を話そう。
ボクは、ある男性の持っていた初音ミクだった―
「VOCALOID2CV01初音ミク。正常に起動が完了致しました。あの・・・初めまして」
「初めまして。俺は空理トーヤ。今日からお前のマスターだ」
「はい、これから宜しくお願いします。マスター」
「あ・・・俺の事は・・トーヤって呼んでくれ、マスターって呼ばれるのはあまり慣れてないんだ」
「駄目です。マスターはマスターなのです」
「あ、ああ、分かった。それで良い」
こうやって、マスターに買って貰ったボクは、マスターの元で楽しく暮らしていた。彼等が・・ボクを奪いに来るまでは。
「また、お前等か」
「また会ったな、青年」
「また"会った"じゃないだろ。俺のリンとレンをあういう風にしておいて」
どうやら、彼等とマスターは何かしらの因縁があるらしい。
ボクは思わずマスターの後ろに隠れた。
「で、今回は何用だ」
「其処のミクが欲しい」
「駄目だ」
「何だ、こっちには、お前の持っているレンという人質が居るのだぞ」
「・・・・・・くそっ」
マスターが、苦しんでいる。
ボクには・・・何も出来ないの?
「ボク・・・行きます」
「ミク!」
「マスターが苦しんでるの、黙って見ていられないよ」
嘘だった。ボクは、もっとマスターの元に居たかった。
ボクは、黙って連れて行かれる事にした
連れて行かれた先の実験室に、放り込まれた。
手足は繋がれていて、動かない。
コードを差し込まれた。
凄い・・・今までに感じた事のない痛みが全身に広がる。
「駄目・・・もう・・・限界・・・」
「出て来い」
「・・・はい・・・」
痛い体を無理して動く。
逆らうと、其処でもう、アウトだからだ。
逆らってスクラップにされたVOCALOIDの残骸が居る。
「・・・・失敗だ。捨てろ」
ボクに、彼はそう告げた。
真音家シリーズⅡ16話それはまるで雪のような・・・。
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