「グミ、帯人と付き合うことになったの?」
学校の帰り道。
ミクとグミは他愛のない会話をしながら帰路についていた。
「…うん」
帯人に告白された時は正直迷った。グミは帯人のことを殆ど何も知らない。当然だ。まだ会って今日で三日。正直あの告白を受け入れる自分もどうかしてると思う。
…………でも。
「帯人、一人じゃ色々辛そうだったからさ…」
「…そっか」
ふっとミクが視線を落としてこちらをまっすぐに見てきた。
「ねぇ、グミ」
「なぁに?」
「グミはあいつを忘れる為に帯人君を利用する訳じゃないよね?」
「……………………」
「…違うよ」
「そ、ならいい」
ミクは全部知ってる。
あたしとあいつとの関係も。その後も。
「…ミ、グミ」
「…っ!!な、何?」
「百歩譲って帯人の家に行ったことはいいとしてさ、何で帯人君はいきなりそんなことグミに言った訳?いくら気になってたとしてもいきなりそんなこと言わなくない?」
「それは…」
明らかに帯人がグミに告白した引き金を引いたのはミクオだろう。だがそのことをミクに話していいのだろうか。
ミクはミクオのことが好きなのだ。だがあの時見た帯人とミクオの関係は明らかに友達の領域を越えていた。
こんなことをミクに話せばミクはミクオのことを……――
「ミク」
「あ、リツ先輩」
ミクの声で後ろを振り返ると一人の女子がこちらへ向かって歩いてきた。
「…誰?」
「ああ、グミは知らないんだよね。同じ部活の先輩の波音リツ先輩だよ」
「初めまして」
ふわりとスカートを翻してグミに挨拶をしてくる。
「波音リツよ。以後よろしく」
「…初めまして、翠川グミです。よろしく…お願いします」
リツはグミと同年齢だと思うほど幼い顔立ちをしていた。だが身に纏う雰囲気はもはや日本人のそれとは掛け離れている。腰より長い髪の毛は夕日と同じくらい紅い。それと心なしかスカートの長さがほかの生徒と比べて長い気がした。
「グミ……って、ああ…」
「?えっと…何か?」
「ああ、ごめんなさい。貴方がアカイトに盾突いた子なんだと思って」
その言い方が何となく気に入らなくてグミはむっとした。
「あれは盾突いたんじゃありません。向こうが帯人にちょっかいを出したのが悪いんです」
ふふ、とリツが笑った。
「そう、ね」
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想