そよそよと吹く風が髪を優しく撫でる、そんな昼下がり。
リンとレンは二人仲良く大きな木に背を預け、微睡みの中にいた。
「ねえ、レン」
「ん?」
暖かな陽気に目を細めながら、リンは隣にいるレンに声をかける。
「夢を、見たの」
リンは一つ一つの言葉を噛みしめるようにして、ゆっくり話し出した。
ぽつりぽつりと降る雨のように、葉の間から差し込む日の光が二人を照らす。
レンの方に頭を預けてリンは目を閉じた。肩口に感じる少しの重さと温もりにレンは目を細め、リンの頭を優しく撫でる。
「夢の中ではね、リンはおばあちゃんで、レンはおじいちゃんだったの」
「うん」
「二人の仲は今と変わらない。ううん、もしかしたら今よりうんと二人は仲良しかも知れない」
「もし、そうだったらきっと、ツンが少なくなったんだろうね」
リンはツンツンしてて、すぐに拗ねちゃうから。
大人っぽく笑いながら続けられた言葉にリンは顔を赤く染めながら、そんなん
じゃないもん、と小さく返す。
こつん、と。レンの頭がリンの頭に軽く乗せられた。
――おばあちゃんになっても、リンはレンと一緒に居られるのかな。
触れ合った場所でレンの体温を感じながら、リンはふと考えた。
「ねえ、リン。大好きだよ」
リンの考えを見透かしたようなタイミングで言われた言葉に、リンは目を見開いてレンを見上げた。
レンは目を閉じたまま続けた。
「オレがじいちゃんになっても、リンがばあちゃんになっても、オレたちはずっと一緒だよ」
リンが離れたいと望んでも、オレは絶対に離さないから。
見開いていた目を丸くして、それでもリンは嬉しそうに言う。
「リンも大好きだよ、レン」
レンは決して目を開けない。リンと目を合わせないのはレンなりの照れ隠し。
さぁさぁ。と風が吹いて二人の前髪を揺らす。
「おやすみ、リン」
「おやすみ、レン」
背中を預けた大きな木に陽に影。そして風。
すべてに優しく包まれながら二人は寄り添うように目を閉じた。
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