僕は当然のように勉強し、親に従い、先生に従い、生徒会長になった。
実際のところ僕は顔も申し分ないので、それなりにモテる。
―決められたレールの上を歩いて何が楽しい?
あぁ、つまらない。
でも、それが一番安全。
正しい道を歩く。
「雨…」
雨が降ってきた。
傘を忘れた僕は雨の中を歩く。
雨ではないしょっぱいものが頬に流れたが、気にせずに歩く。
「あれ、会長さん…ですよね?」
無邪気に笑う彼女が僕に向かって問いかけた。
僕はそれに作り笑顔で答えた。
「はい、生徒会長です。」
「傘もささないでいると風邪引きますよ、会長さん。」
自分がさしていた傘を僕に渡した。
「でも、君が…」
「私はいいんです。折り畳みありますし。でも、会長さんって」
「優しいんですね。」
―僕は優しいのか?
決められた道を歩いて。
自分の意思なんかなくて。
チャレンジなんて出来ない臆病者で。
「そうですか?ありがとうございます。」
みんなにいい顔をして。
「あっ、」
「あ、会長さん。どうしました?」
「この間の傘、ありがとうございました。助かりました。」
「いいんです。お役に立てて何よりですから!」
屈託のない笑顔。
彼女になら、僕のこと…
「あの、」
「あれ、会長じゃない?」
周りを見渡せば通りすがりの人。
ざわめきたつ。
「い、いいえ、何でもありません。では。」
どうして自分はこうも臆病なのだろう。
自分をさらけ出すことさえも臆病になる。
「あのっ!」
彼女が僕の前に走ってきた。
「どうしました?」
「間違ってもいいんですよ?会長さん、人生は間違うものです。」
何故、分かってしまうのか。
彼女には僕を読み取る機能でも付いているのかもしれない。
―そうか、間違ってもいいのか。
正しい道なんてつまらないのだ。
「僕、つまらない人間なんです。嘘ばっかりの、ダメ人間なんです。」
「うん。」
「僕、君のおかげで成長しました。」
「うん。」
「ひとつ、答え合わせしませんか?僕、君が好きです。君の答えと合ってますか?」
もう、迷わない。
僕は僕なのだから。
「私の答えは―――」
だから、僕を温めてください。
fin.
コメント3
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ご意見・ご感想
檸檬飴
ご意見・ご感想
コメ遅れてごめん!!
リクエスト書いてくれてありがとう(*^^*)
文才、超あるね!!
感動したよ(;_;)
次は「Fire◎Flower」とか「からくり卍ばーすと」とかみたいな~。
2011/06/30 21:02:58
日枝学
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妄想スケッチきたあああああああああ!
以前自分、これ解釈して書こうと思ったことあるのですが、結局解釈出来ずに心折れました。
こういう解釈ありですね GJ!
2011/06/30 00:24:45
魔熊
ご意見・ご感想
禀菟の文才が上がっているだと……?
良い話(T_T)
会長さん、お幸せに…
っていうか、書くの早いね。
スゴイ!!
テスト頑張ろうねwwww
2011/06/29 21:33:15