これは、ある1人の少女の物語
ここは1年中雪が降り頻る忘れられた町セントリムズ
そこには1人の少女が暮らしていた
少女は面倒見が良く人々に好かれる優しい子だった
だが今となっては、この町に住む人間は彼女しかいない・・・
それはまだ少女が十歳の時のこと、突然町の人々が原因不明の病に罹りはじめた
1週間が過ぎた。病気の患者は一向に減る事がない、それどころか患者は増えるばかりだった
2週間が過ぎた。人が1人死んだ
1ヵ月が過ぎたころには、町の半分以上もの人間が死んだ
それから、3日ほど過ぎたころに少女の両親はこの世から消えた
しかし、少女は両親が死んだ事を受け入れられなかった
横たわる父と母に少女は呼びかける
「お父さんどうしたの、なんで目を覚まさないの?」
「ねえお母さんお父さんが目を覚まさないよ、どうにかしてよ」
「ねえ返事をしてよ、お父さん!お母さん!」
そこで少女はやっと気付くのだ
2人はもう目を覚まさないのだと、少女の目からは涙が溢れた
それからというもの少女は途方に暮れた
だが、少女が途方に暮れている間にも人々の命は消えてゆく、1つまた1つと
やがて病は国全土に広がりをみせ人々の命を消してゆく
だがこの過酷な現実を少女は生き抜いた
町の人間が自分1人になろうとも弱音は吐かなかった
あれから幾度となく月日は流れ少女は今では老婆になっていた
今では老婆となった少女のの命の灯火も消えかけようとしている
今までに他の国から助けの手が差し伸べられようとも、彼女はこの町この国から出ようとしなかった
他の人間がこの国の存在を忘れようとも、彼女の心の中には残っているのだ
この町で幸せに暮らしていたころの記憶が・・・
ここは忘れられた町セントリムズ
降りやむことをしらない雪の中で今最後の灯火が消えようとしている
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