「ルキともう会えないのは悲しいな・・・」
「え?」
「ルキともう会うなって。そんな男と関わり持つなんて許さないって言われたの。下手すればルカとももう会うなとか言われそうだったし・・・それは絶対ヤダって反抗したけどね」
めぐみは笑いながら言うけれど、その笑顔はやっぱりどこか大人っぽくて、どこか悲しそうだった。
「・・・でも、私とめぐみは一緒にいられるのよね?」
自分はめぐみに会えるという事実を確認した。
「・・・ううん」
「え!?」
「あたしに・・・ボディーガードって言うのはおかしいけど、そういう奴がつくの。あたしのいとこで、あたしがルカと一緒にいないかって見張るんだって」
そんなの・・・
「そんなのおかしい!」
「何がおかしいんですか?」
いつの間に、病室のドアが開いていて、そこには学ラン姿の男がいた。
「グモ・・・」
「ご自分の立場を分かっていらっしゃるのですか?今一度ご確認の上、この病室にいていい人間か判断なさるよう、お願い申し上げます」
「なっ・・・」
男は深々と頭を下げ、丁寧な口調で言ったはずなのに、怒鳴られるより気分が悪かった。
「私はいていい人間だもん!それに、めぐみに危害を加えたのは兄のルキじゃない!!なんで妹の私までそんな・・・」
「あの兄の血を引く妹のあなたも同類だ」
「・・・っ!」
視界がぼやける。
私は無意識のうち、グモの腕にしがみついていた。
「私には・・・私にはめぐみしかいないの!めぐみがいなきゃ、私・・・何にも出来ないの!!」
「あんたの事情なんて知るか!」
「痛ッ!」
「ルカ!!」
グモは私を突き飛ばした。
壁に背中を打った。
「とにかく、出て行ってください」
反抗する気にもなれなくて、打った背中をかばいながら病室を出た。
「・・・んで」
何で私まで・・・
ルキに怒りを覚えた。
でも、ルキを恨んだ所で何になる?
それより、めぐみは私の親友だから、一緒に居られなくなるのは寂しいし、そんなのご免だ。
私にいよいよ孤独になるのだから。
それに、グモ・・・
グモはどこかで見たことのある顔だ。
たしか、幼い頃に会ったはず・・・
グモは、私の幼い頃、曖昧な記憶を辿っていくと、私達より2歳年下だ。
私に敬語を使ったのは、そのせいだとも考えられる。
最後に会ったのはいつだっただろう。
グモは小5か小6の頃引っ越したはずだ。
私はグモと話した記憶も明確にはないし、会った記憶もあまり無い。
家に向かうまで、幼い記憶を辿っていた。
「・・・いや、ルカちゃんばっかり」
ふと、幼い頃の私達3人、いや、がくぽを含めて4人の会話が脳裏に浮かんだ。
「ずるいや、ルカちゃんばっかり」
「・・・どうして?」
昔から冷めた性格だった私は、年下のグモが目を潤ませながら言ったセリフにさえ冷たくあたっていた。
「めぐみにばぁーっかりくっついて!ずるい!がくぽ君が居るのに、ずるい!!めぐみは僕のなのに!!」
「ルカとあたしは親友だもん!ねー、ルカ!」
「ねー!」
「ずるい!」
「諦めろ、グモ!!」
・・・・そうか。
定かではないが、グモは私を嫌っていた。
いや、嫌いじゃなくても、好いてはいなかっただろう。
私は彼からめぐみを奪ったも同然なのだから。
グモはきっと、年上の頼れる姉のような存在、めぐみが大好きだったに違いない。
でも、優しいめぐみは友達のいない私を気遣って、グモにあまり構っていなかったのだろう。
だから、グモは私に復讐をしているのだ。
めぐみを奪った女から、めぐみを守る――
そんな使命感を抱きながら。
一見明るい、幼い少年・グモはあの時から、私の事を本当に恨んでいたのだろうか?
「あーもう、疲れた!」
家に着き、自分の部屋に入るとベッドにばふっ、と飛び込んだ。
「痛ッ!」
壁に打った背中の事を忘れていて、今度は背中を思いっきりベッドに打ってしまった。
「・・・何なの、もう」
枕に顔をうずめながら呟いた。
肉体的疲労と精神不安定状態が続き、睡魔が襲ってきた。
「・・・グモ」
めぐみのボディーガード。
私を恨んでいる男。
私がめぐみに近づかまいとしている男。
「・・・・大したこと無いじゃない」
私は何人もの人の反感を買ってきた。
今更たった一人の男に、恨まれようが嫌われようが、私にとっては痛くもかゆくも無い。
だいたいボディーガードって言ったって、私はもうめぐみの家の人には嫌われているし、近づくなという命令にだって猫をかぶって守らなくたっていいんじゃないのか?
「・・・やってやろーじゃん?」
私を長いこと苦しめて?きた嫌われ者体質が、今ようやく役立とうとしているのかもしれない。
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