「♪~」
「あ、俺だ。もしもし?」
追試中、俺のケータイが鳴った。
「あ、ルカか!?」
ルカからだ!!
ルカとは、俺の彼女。
綺麗で、桃色の髪がさらさらで。
そんなルカを、俺は世界で一番大好きだ。
『明日、空いてるかな?』
「明日?ん、まぁ大丈夫だけど…。」
『あのさ、デート、行かない?水族館なんだけど…』
「えっ、マジで?分かった!じゃあまたな!!」
『うん、またね。』
ルカからデートのお誘いなんて初めてだ。
当日、俺は30分前から待ち合わせ場所に来ていた。
そしたら、ルカはその5分後に来た。
「ごめんね、待たせちゃった?」
いつもと違う、花柄のワンピース。
その淡い色は、世界一ルカに似合っていると思う。
「待ってねぇよ!!てか、早いな!!」
「カイトこそ、早いじゃない。」
「楽しみだったからな!」
早めに来てくれたことが嬉しかった。
でも、何かいつもと雰囲気が違う。
決意をしているような、そんな雰囲気。
「じゃあ行こうか!」
「うん。」
「私、お魚好きなんだ。」
「食べる方の?」
「違うよ、観覧用。食べる方も好きだけどね。」
初耳だ。
ルカは自分をさらけ出すのが苦手なので、こういう話が聞けて嬉しかった。
「楽しかったな!ルカ。」
「あのね!」
「…どうした?」
空気が重い。
「あの…私たち、別れよ…?」
目の前がいきなり暗くなった。
さっきまでの嬉しさや楽しさと裏腹な負の感情。
何で?
俺は、こんなにもルカが好きなのに。
「じょ、冗談、だよな…?」
ルカは首を振った。
「ごめん…。私、これ以上カイトと付き合っちゃ、ダメなんだよ。」
「何でだよ…!!俺が好きなだけじゃダメなのか…!?」
「そんなの、カイトに悪いよ。」
「…じゃあルカ、最後に、ひとつだけお願いがある。」
「…何?」
「振り向かずに、そのまま去って欲しい。振り向いたら、俺はルカを諦めきれない気がする。」
「っ…」
「幸せになれよ!」
ルカは泣いていた。
泣きたいのはこっちなのに。
「…今まで、ごめんね。あと」
「ありがとう。」
そうしてルカは去って言った。
「ルカ…」
頬に涙が伝う。
『ありがとう』なんて。
俺はルカに何かをあげられただろうか。
ルカは、俺を少しでも好きになってくれただろうか。
わからない。
わからないけど、少なくとも俺は幸せだった。
大好きだった。
「ねぇ、なんでないてるの?」
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「なきたいときは、わらうんだって。おねえちゃんがいってたよ。」
こんなにも小さい女の子に、心配された。
泣きたいときは、笑う。
「…そうだな。笑えばいいよな!」
「うん!おにいさん、わらったほうがすてきだよ!」
「俺素敵かぁ?」
「うん!カッコイイ!」
「よしよし!いいこだな、お前!」
「すいません!ユキ、ダメじゃない、ひとりで歩いちゃ。」
「おかあさん!!」
「ごめんなさいね。ほら、行くわよ。」
「ばいばい、おにいさん!」
「あぁ。」
いつの間にか、無理に笑わなくなった。
素直に、笑えていた。
「不思議な女の子。」
ルカ、ありがとな。
俺、ルカが大好きだったよ。
でも、もう辛くない。
いつか、幸せになるから。
ルカも幸せになって。
そしたら、また一緒に笑おうな。
fin.
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