どう足掻こうとも、この世界は所詮希望が消えている。

 だから、そんな世界じゃ太りすぎてちょっとも飛べない。

 依然僕にマチガイをインポートし続けるのだ。



≪メカクシコード【自己解釈】≫



 ズボンの裾が伸びきってiPodのコードが揺れている。

 イヤホンを充てがってフードを被っておけばひとまず問題はないだろう。

 僕は独り事のように呟く。「……目隠し完了」

 いつもどおりの見えない現状が広がる。まあ、非常灯が赤く光ればいいのさ。どうせ

また笑いをこらえるようなシュールな景色になるんだ。

 僕は思った。

 案外今日がこなかったとしても生涯不安症な君とローファイな風景を連れて、明日へ

行けるんじゃないか、と。

 でも、そんな簡単じゃない。現実はそんな甘くないのさ。

 だからいままで『メカクシ団』として準備を進めてきた。そして、今日だ。

「さぁさぁなんかないものか」

 ふと僕は呟いてイヤホンから流れる曲を聴きつつビートを揺れ気味に刻めば、この世

界もそうそう悪いものじゃないようにも思えてくる。

 でも、僕は飽きっぽい性格なのさ。

 虚栄心を呑み込んで、二つ目の遮断機を目印に右に曲がることにする。

 これからすることに、期待に胸が詰まって、口元がニヤケそうだが、それを僕は押さ

え込む。

 だけど、それが俄然空気に馴染んでしまって、誰にも気づかれていないのなら結果的

には断然オーライであったりする。

「任務続行」その言葉を聞いたときはもうタイムリミットまで20分だった。

「……こりゃ、引けないな……」そう言って僕はスニーカーの紐を結び直し。

「ほら、合図だ。クールに行こう」

 上昇中の体温ならハイパスで一気に飛ばして、延々肥大中の街を西へ、北へ、君のも

とへ向かおう。

「……おいおい、ちょっとオーバーだろ?」

 金髪の君はヒールを立てて嗤う。けれど、わかんないだろうなぁ。君には。到底、隠

し切れることもないし。

「募集人数に制限もなけりゃ、途中参加もオッケーだよ。
 要項にも条件ないし服装も自由だし。
 そりゃ、君はウブとか言うけどさ、大丈夫さ。
 合い言葉さえ言えば即加入出来ちゃうよ。
 ウブ位大丈夫さ。
 だって僕なんかニジオタコミュショーヒキニートだぜ?
 けど問題ないぜ?」



***



「……さて、時間か」

 気分は最高だ。ピーキーは揺れて、警鐘も止むこともない。

 科学者は恐れて、ネオンを不意に落とした。

 さぁ、今こそ君の出番さ。

 案外今日がこなかったとしても生涯不安症な君とローファイな風景を連れて、明日へ

行けるんじゃないか、と。

 僕はまた思うのさ。

「さぁさぁどんなもんなのさ」と僕は君と同じ赤い目をこすって見渡した。

「……なんだい、リーダーが言うほどつまらなくもないじゃないか」

 じゃあ、冷めないうちに





 いただいてしまおうか。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

メカクシコード【自己解釈】

本家様:http://www.nicovideo.jp/watch/sm14595248
今まで書かせていただいた『カゲロウプロジェクト』の自己解釈をまとめてみました:http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=944774


メカクシコードは僕が一番好きな歌です。

メロディが好きです。

閲覧数:4,542

投稿日:2012/04/02 22:13:26

文字数:1,246文字

カテゴリ:小説

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