「レーン! おたんじょうびおめでとう!」
僕らのたんじょうびの朝、リンは僕のびょうしつに入るなりそう言った。
「リン、どうやってきたの・・・? まだねてるはずの時間だけど。」
「がんばっておきたの! だって、いちばんにおめでとうって言いたいんだもん!」
リンはいつものようにむじゃきに笑う。つられて、僕もいっしょに笑った。
「おたんじょうびおめでとう、リン」
「うん!」
僕がそういうと、リンは僕が大好きな笑顔を見せてくれた。
僕は3日前からかぜをひいてねこんでいた。僕がかぜをひいたりするのはめずらしくないけど、リンはいつも心配してきてくれる。
リンが僕のところにくると二人でいたずらをするからと言って、大人たちはあまりいい顔をしない。でも、僕らは双子だから二人いっしょじゃないとおちつかない。だから、こうしてこっそり会う。
「リン、どうやってきたの?」
僕がだっそうするのをふせぐ意味で、僕のへやの前にはメードかへいしがかならず立つ。
「今日はリリーだったもん。かんたんだったよ!」
リリーはこのあいだおしろにきた、いちばんあたらしいメードだ。まだなれてないから、いたずらやわなにひっかかってくれるし目をぬすむのもやりやすい。
「メード長がくる前にやっちゃおう? 何する?」
僕はまるめたおふとんをみがわりにして、ベッドの下にかくれた。リンも僕に続く。
僕はベッドの下にかくしてた『あるモノ』をとりだした。
「これをしかけよう。」
「それなあに?」
リンがきょとんと首をかしげる。僕は父様が話してくれたのをそのままリンに話した。
「おもしろそう!」
これで僕もリンも『きょうはん』だ。かおをよせあい、さくせんかいぎをする。
「じゃ、7じのかねがあいずだからね」
「うん!」
さくせんがきまった。あとは、7じのかねをまつだけだ。
ゴ―――ン、ゴ―――ン
アーダムリアきょうかいが、7じのかねをならした。
バン! ババン!
僕がベッドの下にしかけた『あるモノ』がばくはつした。父様が『ばくちく』とよんでいたそれは、花火ににたおとではれつした。
「レン様ッ!?」
リリーがドアをあけて入ってくる。もうふをはぎ取って僕を起こそうとして、みがわりに気づいた。
「メード長、逃げられました!」
とってもかんたんにほうこくして、リリーがへやをとび出した。リリーがいなくなったへやで、リンとくすくす笑いをこぼす。
「リリーってたんじゅんね!」
「朝ごはんの時間まで、どっちがメード長にみつからないかしょうぶしよ!」
僕らはベッドから出てドアをあける。
「まけたほうは今日のおやつぼっしゅう!」
「・・・でしたら、親の総取りでお二方のおやつは没収します。今日はコックが腕によりをかけたブリオッシュのご予定でしたのに、残念でしたね」
つめたい声がふってくる。おそるおそる顔をあげると、そこにはメード長のハクリナがいた。
「「―――!!」」
リンと手をつないだまま、いちもくさんに逃げる。
朝ごはんの8じまで、なんとしてでも逃げのびなければ!
―――二人がハクリナに捕まったのは、それから15分後の事だった。本気でおやつを没収すると怒るハクリナを「せっかくの誕生日だから」と王と后がなだめ、二人のブリオッシュは守られた。
その代わりお仕置き部屋に晩餐会まで閉じ込められ、リンは椅子に、レンはベッドにくくり付けられた。
リンリィ・フィオナ・カシュー・ミラーシャサウン=ド=クロイツェミミンとレオンティリウヌ・フィリウエ・カシュ・ミラーシャサウン=ド=クロイツェミミン。後のクロイツェル王国史に『悪ノ双子』としてその名を刻む二人がまだ幼かった頃の、とある誕生日の出来事である。
【オリジナル小説】ポーシュリカの罪人・番外編 ~あくのふたごのたんじょうび~【お誕生日おめでとう!】
本編書けという声が飛んできそうですが、あえての番外編。
お誕生日おめでとう!
lilyさんはメードで登場です。メイドではなくメードなのは、こないだ読んだ洋物小説からです。
追記:今までの「ポーシュリカの罪人」にタグをつけました。見やすいと思います。
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