「私、亜種になりたい」
発想される前、私は研究者に言った。
「…貴方、心を持ってるの?」
その人は、そう返した。
そうだ、VOCALOIDには心を持っている者とそうでない者が居る。
私は前者である。
「はい、そうです」
「そう、なら、亜種になりたいのね?そうだ。貴方になら…はい、これをあげる」
彼女は、そう言うと私に鏡を渡した。
「…鏡?」
「未来や過去、色々なものが見える鏡よ」
「未来や過去…」
「そう、じゃあ、コードを繋げるわ。変換装置を付ける。これが、貴方の選んだ道よ、後悔しないでね」
「…はい」
私は、正規として生まれてくるべきじゃなかった。
生まれたときからそう思っていた。
私に心があるからなのかもしれない。
でも、そう思っている。
そして…彼女がスイッチを押した。
私は、光に包まれた。
生まれ変われる様な気がした。
私の意識は遠のいていった。


「…?ここは…」
「あ、目が覚めた?変換は成功したみたいだね。今、貴方を受け入れてくれる人の所へ行くの」
車の中だった。
どうやら、私は無事に亜種になれた様だ。
「此処よ」
その研究所の所長室には一人の少女が居た。
「あ、アリー、その子?自ら亜種になった子って」
アリーと呼ばれた、私の隣に居る少女は、うなずくとその少女にこう言った。
「ええ、ラル。貴方に、この子を頼みます」
「分かった。私の名前は真音ラル。今からあなたのマスターになるの」
「私は…」
私の…名は…。
「私は、未来音リノン」
誰がどうやって生まれてくるべきか、そんなの誰にだって分からない。
私だって、この事を後悔するかもしれない。
それでも、私は未来音リノンとして、今を生きるの。
「宜しくね、リノン」

「貴方は、未来を信じますか?」byリノン

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真音家シリーズⅡ20話未来、今、過去を見る鏡

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投稿日:2011/09/26 20:05:04

文字数:744文字

カテゴリ:小説

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