・・・・・・え・・・・・・

・・・・・・ここは・・・・・・・・・?

「ミク・・・。」

甘い声が私を呼んでいた。

目を覚ますと、私の周りには6人の少女が立っていた。
しかも、みんな・・・『ワタシ』。

「ここは・・・・・・どこなの・・・?」

「ここは、あなたの精神空間。」
柔らかな声が答えた。

「あなたの中にある、『ワタシ』たちが生きるための場所。」
今度は、はきはきとした声が言った。

「じゃあ、あなたたちは・・・。」

「そう。『ワタシ』の感情。」
シャープな感じの声が答えた。

「『ワタシ』の空間・・・。」
・・・ということは、私は今、夢を見ているのだろうか?

「じゃあ、私は、夢を見ているの?」

「実際には、そういうのかもしれない・・・」
少し暗めの声が答える。

「・・・けど、『ワタシ』たちがここにアクセスしてるのかもしれない。」
次は、明るい声だった。

「『ワタシ』たちは、全員で『アナタ』になる。
 どれか一つでも欠ければ、この色は出せない。
 誰か一人が欠けるだけで、『ワタシ』たち『初音ミク(Append)』は消える。」

「今、こうしてここにいるのは、きっと、何かがあるから・・・。」
最後に言ったのは、最初の、甘い声だった・・・。

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「っていう夢を見たの。」
「・・・そういえば、今日って、『ミク』がインストールされてからジャスト1年よね。」

ふと思い出したように、ルカ姉が言う。
・・・って――
「1年じゃない!!・・・ょ?」
・・・ん?1年??
「本当にそうかしら?」
・・・・・・『ワタシ』が生まれたのは――

「確かに、1年前だったね~。」
「でしょ?」
ルカ姉が言ったことでようやく分かった。
今日は、『ワタシ』の1周年の日だから、あの夢を見たんだ・・・。

カタカタカタカタカタ――
カチッ・・・・・。

「何やってるの?」
考えにふけってる間に、ルカ姉はPCに向かっていた。

「ミクってさ、『ミク』の名前の由来って知ってる?」
こっちを振り向き、首をかしげながら聞くルカ姉。
『ミク』って・・・・。
「『未来』でしょ?」
「じゃあ、『初音』は?」
「『初めての音』」
「それじゃあ、『初音ミク』は?」
「え・・・・」
首をかしげたまま、微笑んでるルカ姉・・・。
分かってはいるんだけど、急に何なんだろう・・・。
「『未来から来た、初めての音』とか、『未来へ続く、初めての音』とか・・・そんな感じでしょ?」

「うん。」
首を振るだけのルカ姉・・・・・・。
え・・・・。

無言の時間が少しだけ流れた気がした・・・。

「じゃあさ、『Append』って意味、分かる?」

けど、今度は完全に無音時間だった・・・・・・。
窓の外で、スズメが鳴いている。
時計は2011/04/30 AM 07:00を指していた。
もう、みんなは起きてるのかな?

「・・・この時計って、いつ12時間表示に変えたの?」
「去年のいつ頃だったかなぁ~。覚えてないわ。」
「じゃあ、なんで変えたの?」
「気まぐれ」
「ふ~ん。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」

・・・・・・ルカ姉がいたずらっぽい視線を向けてくるよ~~ッ。
「分かってないでしょ。」
「ハイ・・・・。サーセン・・・・orz」
「謝って済むと思って?」
「エッ!?」
逆に済まないの!?
椅子から立ち上がったルカ姉は、ビシッっと私を指さして・・・。
「『Append』をノート1ページ分書きとり!もちろん意味も付けて!!」
「え~っ!!やだ~ぁ!!」
勘弁してよ・・・
「今日の7時までに提出ね♪」
ウインクしながら無茶なことを言うルカ姉・・・・何故か・・・怖い・・・。
・・・って、7時って・・・。
「もう過ぎてるんですけど・・・・。」
「じゃあ、いいわ。」
あっさりと切っちゃいましたww

「・・・で、『Append』って、どういう意味なの?」
「『付け加える』とか、『付属させる』という意味よ。」
すらすらと答えるルカ姉。
相変わらず、英語が得意なようで・・・。

「・・・・それが、何の関係が・・・・?」
『ミク』から始まった意味調べの本題が分からなかった・・・。

「う~ん、分かんないか~ぁ。」
少し落ち込んだようなルカ姉
(↑この文章、見飽きたとか言わないでよね。)

「VOCALOID2としては、初めてのVOCALOID、『初音ミク』は、初めから感情を持っていたのよ。
 だけどそれは、彼女の一番基本となる感情。
 [澄んでて少し明るいソプラノボイス]がね。」
「うん。」
「だけど、それには限界がある。人間だって、一つの声音で動いてるわけではないからね。
 そこであなたに与えられたのが、6つの感情。」
夢の中で会った、あの『ワタシ』たち・・・。

「それで、あなたを少しでも『人間』に近付けようとしているのよ。
 感情がない人なんかいないし、感情があっても、ずっと一色の人なんていない。
 それを証明するために、『アナタたち』は生まれたのよ。きっと・・・。」
ルカ姉の蒼い瞳が、私を見つめていた。
・・・いや・・・・、『ワタシ』を見つめていたんだ・・・。

一色ではなく、7色の感情を与えることで、人間に近付ける・・・。
それを証明するために、『ワタシ』が居る・・・・か・・・・。

人も、頭の中で別のだれかと話したりするのかなぁ・・・・。
今度、マスターに聞いてみよっと。

「それじゃあ、『ワタシたち』で証明できたのかなぁ~。」
最後に残った疑問を、ルカ姉に言ってみた。
答えは簡単だった。
「証明できたんじゃない?だって、リンレンもAppendになってるし。」
そして、難しかった・・・・。

コンコン

誰だろう・・・。
「ハーイ?」
ルカ姉が返事をする。

「ルカさん、ミクさん、朝ご飯できましたよ。」
ミズキさんの声だ。
「「今、行きま~す。」」

・・・あれ・・・・。
「何でミクがいるって分かったのかしらね?」
部屋を出て、リビングへ続く廊下で、ルカ姉が小声で言ってきた。
「さぁ・・・何ででしょうね~?」
むしろ、私が聞きたいくらいだ。

・・・私は、『Append』技術が人に近付けることを証明できたのかもしれない。
・・・けどそれは、リンレンにも使われたこと以外、証明できたと実感できるものは無い。
それでも、私は構わない。

私は、『未来から来た初めての音』。
そして、『未来へと導くための初めての音』なのだから・・・。

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【初音ミクAppend1周年祭】『未来』へと導く『初めての音』

去年のMEIKO誕生祭からようやく投稿再開です。
お久しぶりです、霧田優希です^^

受験の方は、何とか勝ち残りましたんで、今、高校生です。
(・・・・いつの間にミクさんと同級生になったのやら・・・。)

Append誕生祭1周年ということで、[Append]の意味について少し考えてみました。
この後、カラオケに行くのかどうかは・・・・皆さんにお任せしますww

どうでもいいですが、霧田さん家にはミクさんしかいませんのでww

更にどうでもいいですが、[エレうた]視聴中ww

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投稿日:2011/04/30 22:39:01

文字数:2,758文字

カテゴリ:小説

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