「絵本? ウン、わたし大好きだよ」
テトさんはうなずいて、アイスコーヒーのグラスを口に運んだ。
「だよね。絵本の、コレクションもしてるって聞いたから」
ミクさんの言葉に、彼女はちょっと恥ずかしそうに笑った。
「そうなんだ。結構、かわいい絵本を集めるの、好きでさ」
グラスに軽く両手を添えて、テトさんは聞いた。
「でも、絵本がどうかしたの?」
「あのねえ、実は」
ミクさんは、ちょっと顔を引いて、まじめな表情になった。
「絵本の商品、はじめようかな、って思ってね」
●絵本のシリーズにするの
「絵本を?ミクさんが?へぇ」
びっくりした表情で、聞き返す。でも、ちょっと面白そうな様子だ。
「何の絵本?」
「はっちゅーねの絵本。今やっている、“リンリンはっちゅーね”の、シリーズでね」
ミクさんは、紅茶のカップを口に運んだ。
「リンリン・はっちゅーね?今、フィギュアでやってるんでしょ。リンちゃんとのコラボで」
「そうそう」
うなずくミクさん。テトさんは、いっそう身を乗り出した。
2人の周りには、あまりお客さんはいない。平日の昼下がりだからだろう。
ハミングス1階の、「カフェ・ドナ」には、ゆったりとした空気が流れている。
外は燃えるような夏の暑さ。でもここは、涼しげな空調が効いて、静かな音楽のBGMが心地よい。
●きちんと作っていきたい
「絵本かあ。でも、なんで?」
テトさんは、またコーヒーのグラスを手に取った。
「ずいぶん、急な変化だね。第2弾のシリーズは。フィギュアから、絵本に...って」
彼女の言葉に、ミクさんはうなずいた。
「そうなんだけど。でもね、こんどのは、もうあんまり“バンバン売る”のは、やめようかと思って」
テトさんはちょっと笑ってうなずいた。
「バンバン、か。そうね。すごかったからね、フィギュアの展開」
「そうなの。でも、もうそういう売り方は、止めにしたの」
考えるようにミクさんは言う。
「いいモノを、きちんと作って、しっかり広めていこうと思って。それでね」
彼女は、テトさんの顔を見た。
「絵本に詳しい、あなたの意見を聞きたいなと思ったの」
「ふうん。絵本を」
テトさんはまた、グラスに両手を添えて聞き返した。
「わたしなんかの意見なら、いくらでも協力するよ。でもさ、誰に描いてもらうの?」
聞かれて、ミクさんは答えた。
「うん、絵は私が描くの」
「ええー!?」
驚くテトさん。
ミクさんは、ニガ笑いした。
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