蝉が五月蠅く鳴く夏の午後。
「暑いーっ!暑い暑い暑いーっっ!」
「五月蠅いよ、リン…」
「だって暑いんだもんーっ!死んじゃうー!」
全開の窓と風鈴と扇風機。
真夏にこれだけで暑さをしのげというのも無理がある。
リンが叫ぶのもわかるけど…。
「俺、宿題やってんだ。だから静かにしてよっ!」
「リンも宿題やってるよー!」
「…」
やってないだろ、叫んでるだけだろ。
その言葉を飲み込んだ。
口にしてしまったら先が見えている。
「レン、クーラーつけようよぉ…」
「だめだよ」
「なんでぇーっ!?」
「マスターがだめって言ってただろー!」
「いいじゃん!マスターケチなんだからぁ!」
「だめだめ、約束は守るの!」
「ぷーっ…」
リンが頬を膨らます。
可愛い。
…そんなこと考えてる場合じゃない、と俺は机に向きなおす。
「暑いよぉー…暑いよぉー…!」
ああ、五月蠅い。蝉より五月蠅いよ。
でも不思議と嫌じゃなかった。むしろリンの声が心地良かった。
…やっぱり勝てない。
リンには負けるなぁ…。
「…ちょっとだけだぞ…」
僕はクーラーのスイッチを入れた。
「やったー!レンありがとっ!」
リンの笑顔。
リンのためならマスターに怒られてもいいや。
「あぁー、涼しいー♪」
「リン、宿題やれよ」
「わかってるよーっ!」
リンはシャーペンを持って机に向かう。
だけど全くペンは走らない。
考え込む顔。
やっぱり可愛いんだよなぁ…。
思わず見つめてしまう。
「…なぁに?」
「な、何でもない」
「カンニングー?もう、レンくんカンニングはだめですよー!」
「誰がリンのなんか見るかっ」
「あっ、ひどいっ!」
俺は笑ってもう一度机に向きなおす。
「レーンくぅーん!」
「レン、ミク姉が呼んでるよ」
「知ってるよ」
俺は立ち上がり、ミク姉のところへ向かった。
「―ミク姉にチャーハン食わされた…」
俺が部屋に戻ってくると、机の前にリンの姿はなかった。
代わりにソファーの上で寝ているリンがいた。
「寝てるし…」
俺は一人で呟き、リンの隣に座った。
きっと俺がいなくなって、『ちょっと休憩ー!』とか言ってそのまま寝ちゃったんだろうな。
またお腹出して寝て…。女の子なんだからもうちょっと気をつけろよな。
「風邪ひくよ」
俺はタオルケットをリンにかける。
昔から何も変わらない。寝顔も、寝像の悪さも。
やっぱり可愛い。
俺は寝ているリンの髪を撫でてみる。
俺とは違う、女の子の髪。
「むにゃ…」
リンはくるりと寝がえりをうった。
愛しくて愛しくてたまらなかった。
ちゅっ。
起こさないようにそっと頬にキスをして、ソファーから立った。
リンの机を覗くと、数学のワークが開いてあった。
隣の俺の机に開いてある数学のワークと同じページに同じ文字で書いてある。
回答は全然違うけど。間違えまくりだけど…。
…可愛い。
今日だけで何回思っただろう。
ちょっといいことしてやろっと。
俺はリンのシャーペンを持って、数学のワークを進めてやった。
「―きゃーっ!」
リンが起きたのは夕方だった。
「五月蠅いってば、リン」
「ワークが進んでるー♪」
リンはワークを片手に小躍り。
「レンだよねっ!?」
「知らないし」
俺はわざとそっぽを向く。
「だってリンと同じ字だもーん!」
リンは俺の頬を両手ではさんで自分のほうに向けた。
「ありがと、レンっ!」
リンの笑顔。
やっぱりリンには勝てない。
コメント3
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ご意見・ご感想
羽音
ご意見・ご感想
はとむね様>>
ありがとうございます。
やっぱレンはリンには甘いんです、きっと。
結局レンはうちに来て宿題やってくれませんでしたよ!!←
こんな駄文ですが、よかったらまた来てくださいねー♪
2009/09/19 23:23:53
はとむね
ご意見・ご感想
なんという可愛い二人…
何だかんだ言ってもリンに甘いレンに終始ニヤニヤが止まりませんでしたw
何よりそっ、と宿題をやってあげるレンの男気に惚れました(´q`*)
これからも頑張ってください。楽しみにしています!
2009/09/19 23:07:29
羽音
ご意見・ご感想
もちぐま様>>
ありがとうございます。
宿題やってほしいです。とくに数学を!それはもう切実に願っておりま…(殴
また妄想が炸裂したら書きに来ますねー!
ありがとうございました!
2009/08/13 14:41:41